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【推し小説】 祝受賞!美しき暴力エンタメ 『テスカトリポカ』

※2021/7/14 追記
直木賞も受賞!やったぜ!


ー『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』と競おうと思ったら、一発の重みで勝負するしかない。(著者インタビューより抜粋)

私の推し小説『テスカトリポカ』が、山本周五郎賞(※直木賞の前哨戦的な賞)を受賞したので、noteを書いてお祝いします!もうホントみんな読んだ方がいい。

『テスカトリポカ』はこんな小説

【あらすじ】
メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。(公式サイトより引用)

ひたすら犯罪社会が描かれるサスペンス。そこにアステカ神話の要素が絡み、作品の世界観を作り上げています。
いわゆるクライムノベルと呼ばれるジャンルで、グロい部分もあり、苦手な方もいるかもしれません。でも、いろんな人に読んで欲しい作品です。何故なら、そこに美しさがあるから。

最推しポイント:恐怖と暴力の世界、なのに美しい!

山本賞の発表会見でも「詩的ですらある」という選評があリました。犯罪社会の暴力の応酬的な物語なんですけどね。わかるーってなりました。
ドラッグキメてても、(物理的に)心臓を捧げよ!ってしてても、それをやっているキャラクターの背景に神話のエッセンスが絡んでいて、命の輝きを感じてしまうんです。ここが本当に魅力的で。そのキャラクターの美学を感じる、と言うよりもさらに強く、そのキャラクターを通して命の神聖さみたいなものを感じるというか。人間賛歌というか。ちなみに暴力的な描写以外の、静的なシーンも魅力的。神聖さと人間臭さが内在しています。
私の陳腐な説明で作品の格を下げるわけにはいかないのでこの辺にしときます。お分かりいただけただろうか。

終わりに
作者のインタビューを読んだのですが、制作に入った最初の数ヶ月は原稿を一切書かず、事前調査&資料作成をずーっとしてたそうです。小説家さんってそれが普通なの…?たった1冊のためにすごくない…?
でもこの小説を読むと、確かにその下地が作品を骨太にしている感じが伝わってきます。ごまかしなんて一切無しの、本気の一撃。

冒頭に引用した作者のお言葉通り、ズドン!と一発の重みを感じられる作品。おすすめです。マンガやドラマもいいけど、小説もいいですよ。

もうホントみんな読んだ方がいい(二回目)。


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