クラノ・テキニマスセ(仲根工機)

京セラコンタックスのジャーマンプラナー50mmというのは本当に夢のあるレンズでした。 あのコンタックスを手放してから10年がたちました。バースイヤーライカM3も、宮崎さんのレンズも。 いい体験をさせていただきました。今はiPhoneだけです笑 というわけで、よろしくです

クラノ・テキニマスセ(仲根工機)

京セラコンタックスのジャーマンプラナー50mmというのは本当に夢のあるレンズでした。 あのコンタックスを手放してから10年がたちました。バースイヤーライカM3も、宮崎さんのレンズも。 いい体験をさせていただきました。今はiPhoneだけです笑 というわけで、よろしくです

最近の記事

はじまりの線

 ハスの葉っぱに包んだ。  変わらず頭は冴えない。腕枕している右手にヒヤリ。血だ。拭うのも面倒、そうサクリが言ったから俺は補助線一本を描き、夢再現のタスクを止めた。五日ぶりに水が使えるのだから顔を洗えばいいのに、と言うと、もう少し寝よかな、とサクリが囁く。午前四時。捕まえていないと時間は掌からこぼれる砂の速度で消えてなくなる。捕まえなきゃ。止めておかなきゃ。それが叶わなければ死はすぐに来るのさ、サクリの寝顔を眺めながら、俺は呟く。何かを忘れた、ということだけを憶えている心許

    • ドキノレパーク駅にて

       悔しいことだが、もうすでに私の小さな計画は頓挫しはじめていた。ひとつにはナンシーの時間が足りなくなってしまったこと、ふたつ目には、私が市場から裏切られたことが原因だ。もうどうしようもない。パイン曹長が、ドキノレパーク駅に到着するしたのはちょうど仕事帰りの人たちが到着した電車から降りてくるタイミングだったという。ナンシーは彼を目撃していたと後になって言ったが、もうその時には駅前のロータリーから放射状にちらばって帰途につく彼らの影に紛れて、曹長の姿を追うことはできなかったそうだ

      • ノートサボりすぎてる

        • さて少し真面目に書くか!

          スケッチ 3/27

           どういうわけか、今朝は私が私をとり戻しているらしい。こんな状態はベータが私に融合してから久しぶりだ。ベータの力で、私とベータは粒子レベルで時間をかけて融合した。私であったものはベータであったものという二者を隔てていたものが崩れ、私でもベータでもない何かになっていたはず。赤いペンキと青いペンキが一定の時間をかけて混じり合い紫のペンキになるというアレだ。ベータは、私と彼を私と彼に保っていた粒子の繋がりを解きまぜこぜにした。いうまでもなくこの融合は不可逆だ。それなのに今朝、私は私

          佐倉在住の自動執筆人間が、早朝からそのただれた肛門から短編小説をひり出している。ここんとこ便秘が続いていたので久々の収穫。今回は十代の男子が主人公の切ない恋愛小説だ。ひりたての小説を読みながら、彼は自分がもう長くはないなと思った。いい気持ちで便所から出ようとしたがトイペが切れてて

          佐倉在住の自動執筆人間が、早朝からそのただれた肛門から短編小説をひり出している。ここんとこ便秘が続いていたので久々の収穫。今回は十代の男子が主人公の切ない恋愛小説だ。ひりたての小説を読みながら、彼は自分がもう長くはないなと思った。いい気持ちで便所から出ようとしたがトイペが切れてて

          ブルナック・ヴァルハードのケツの穴 せまいくらいふかいくさい つっこんだ私の頭とけていく どろどろどろどろとけていく くるしいけれどとてもえろい ブルナック・ヴァルハードのケツの穴 えろいえろいえろいえろい お手紙届いて大爆発 まちのおとなにくそがとぶ 焼けたくそがとびちって

          ブルナック・ヴァルハードのケツの穴 せまいくらいふかいくさい つっこんだ私の頭とけていく どろどろどろどろとけていく くるしいけれどとてもえろい ブルナック・ヴァルハードのケツの穴 えろいえろいえろいえろい お手紙届いて大爆発 まちのおとなにくそがとぶ 焼けたくそがとびちって

          銀座線

           昨夜「消去」されたのはDJ・ハンプトン。大学は大騒ぎだが、世界に影響はない。一昨日ホイアンの繁華街で拾った細身で青白い顔の少年にギンザミツコシで服を買い与え、マンダリントーキョーのレストランでディナーを愉しんでいる。  歳のせいかすっかり少食になった俺に、コースは過剰だ。左手でメインの皿を押し出すと、少年は遠慮なく喰らいつく。フォアグラと仔牛が纏っていた無花果のソースが彼の薄情そうな唇を濡らす。紫に染まった唇のやわらかな触感を想像し、少年を徹底的に破壊する妄想のなか私は充分

          断片整理 20240126

           北側に向いた窓ガラスを通過して、例の小さな白い奴らが侵入してくる。部屋に入るなり一辺五ミリメートル程度の大きさの立方体に成長し薄いグリーンの光を放ちながら「ぶーん」という小さな音を立てて翔び回るのだ。国連は、奴らを〈やごりん〉と呼んでいて、世界中の「現実」に居住している人々に対し  ベッドに寝ている顔の周りを蚊のように煩わしいのでパチンと叩き殺してやりたくなるのだが、ひとつ叩けばそれが十くらいの個体に分裂して増殖することが解ってるので、しばらくは放っておくしかない。  呟く

          断片整理 20240121

          銀座線  昨夜「消去」されたのはDJ・ハンプトン。大学は大騒ぎだが、世界に影響はない。一昨日ホイアンの繁華街で拾った細身で青白い顔の少年にギンザミツコシで服を買い与え、マンダリントーキョーのレストランでディナーを愉しんでいる。  歳のせいかすっかり少食になった俺に、コースは過剰だ。左手でメインの皿を押し出すと、少年は遠慮なく喰らいつく。フォアグラと仔牛が纏っていた無花果のソースが彼の薄情そうな唇を濡らす。紫に染まった唇のやわらかな触感を想像し、少年を徹底的に破壊する妄想のな

          あと、十年余りの人生は ノーガードで行くことにした。 やっと気づいたよ、東谷。 きみは偉大だった。

          あと、十年余りの人生は ノーガードで行くことにした。 やっと気づいたよ、東谷。 きみは偉大だった。

          くだらない朝

           いつから、こんな調子になってしまったのかわからん。  確かに最初の数年は凄かった。大先輩の大石さんがひとりで闘っていたから。あの頃の大石さんのガッツは、週末に徹夜でマージャン卓を囲む教育委員会の中堅職員みたいにねちっこい粘りがあったから、善彦も津村も彼の勢いの渦が自分自身を複製しながら巨大な怪物曲線を描くかのように一緒になってガッツを振りまいていたな。あまりに勢いがあり過ぎて、心配になっちゃうくらいだったぜ。 「フナイ。お前が大石さんよりも才能があると思い込んでいるのミエ

          ローマ字打ちとか、あり得ん派

          仕事の都合でローマ字入力の速度を上げなくてはならなくなった。派遣会社がそういうテストを受けさせるのだ。カナ入力ではテストが受けられないという。 どう考えたって効率的ではない。 もちろん、ローマ字入力もマスターしている。カナ入力の欠点は高速で文章を打つときにシフトが効かないときがあることくらいで、ほぼ考えるスピードで入力できるという大きなメリットがあるからそんなのは気にならない。 というわけで、この文章は、ローマ字入力で書いている。 だいぶ時間がかかっているが、まあ慣れれば少し

          ローマ字打ちとか、あり得ん派

          Audibleでホロヴィッツ三昧

           というわけで、さっき『ヨルガオ殺人事件』の下巻をさっき聴き終わった。Audible生活もすっかり板についてきて、通勤の電車、帰ってから仕事しながらなどながら読書(聴書)すっかり生活の中に溶け込んでいる。サブスクで利用し始めてから2ヶ月目くらいになるのだが、まず最初に、『三体』三部作を一度は単行本で読み通していたのだが、聴き通した。  その後、『プロジェクト・ヘイルメアリー』上下。このあたりで、Audible読書の何より楽ちんなこと、耳から入ることで目で読むのとは違って変に記

          屋上パーコ

          1  誰もいない屋上から眺める街は、徹夜明けの網膜の上に薄桃色に染まる。   錆びついた鋼鉄の手すりの上にすらりとした姿勢で立つクリアは、軽く両手を合わせ片足立ちになったまま瞑想の真似事をしている。両手を翼にして飛び降りるほどナルシストではない。むしろ肉体の死は物語ではなくひどく凡庸なものだってことをクリアは知っている。  少し冷たい風がオレンジ色のストレートヘアを揺らすが、それを心地よいと感じる余裕もいまのところはない。限界まで自分を追い込んだ後の気怠い気分は、いつも

          彼振動カットバック'83        クラノ・テキニマスセ

             1  ドバシ弘道は、月ラコ三世の幼少期から六百年後の転生まで見守り続けた。子安三丁目のセブンイレブン跡地に居座り真夜中まで腰痛と闘いながら。駐車場で安物のビールと合成ウイスキーを飲んで大騒ぎしている七人組のボイガーキッズらを蹴散らし、五百年前に拾ったホンダを全速力で躯った。城東の一般道に場面をずらしたまでは良かったが、まさかの水素切れ。新幹線の窓から一瞬だけ見えた気がした富士山のように、無駄に記憶に焼きついたボイガーキッズのひとりの少女の微笑みに、十数年間勉強机の抽

          彼振動カットバック'83        クラノ・テキニマスセ