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【ラノベ】a ラストティア

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【ラノベ】a ラストティア ~荒野の楽園編~ 第一章	満ちた世界と天変地異

【ラノベ】a ラストティア ~荒野の楽園編~ 第一章 満ちた世界と天変地異

ほんのり柔らかい暖かさを含んだ冷たい風が、薄く白い服がめくれ出たおなかに触れる。
―また同じ夢の続きを見ていた。
 自分が物語の主人公で、その物語は剣や魔法が使える世界で、たくさんの冒険者達がダンジョンや洞窟に踏み入れお宝探しをしながら生活をしている中で、魔王軍と戦う戦士なんかもいて・・・。その中でも自分が伝説の勇者として仲間と共に魔王を討ち滅ぼす。
 でもその物語はいっこうに完結する気配も見せず

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『aラストティア』~荒野の楽園編~ 第二章セピア世界 10見えない鳥

『aラストティア』~荒野の楽園編~ 第二章セピア世界 10見えない鳥

 第二章セピア世界 10見えない鳥

 その日はもうすでに遅くなっていたので皆は次の日の作業に備えて就寝した。
きっとこの世界に来てから一番質の良い睡眠がとれたのは言うまでも無いだろう。
朝になると昨日の疲れなどもろともせずに大人達が豊穣神の種を植える土地の耕作に励む。
お昼休憩をとってから小一時間ほどして柵や収穫に必要な道具は完成した。
カレンが豊穣神の種を耕作して盛り上がった畑の真ん中に植える

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『aラストティア』~荒野の楽園編~ 第二章セピア世界 09豊穣神の種と豊穣神の花

『aラストティア』~荒野の楽園編~ 第二章セピア世界 09豊穣神の種と豊穣神の花

第二章セピア世界 09豊穣神の種と豊穣神の花

 カレンと優理は自然の楽園を後にして、ヒロキチ村長の待つ村へと戻っていた。
 二人の姿を見るなり、村長は待ってましたといわんばかりに立ち上がり駆け寄る。
「いやはや、待ちくたびれましたよお二人さん。待ちすぎて皮膚がこんなになってしまいましたよ。」
 冗談めして言う村長だったが、彼が放つ言葉は全て嫌みに聞こえてくるのはなぜだろうか。
興奮して落ち着かな

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『aラストティア』~荒野の楽園編~ 第二章セピア世界 08自然の楽園に住む美少女?

第二章セピア世界 08自然の楽園に住む美少女?

中に入るとまず目についたのは、前方に見える、遙か上の方から滝のように流れる水と、それを受け止め貯水している噴水広場のようなもの。それが全体の3分の1程度を占めている。残りの3分の2程度は宝の山のように摘まれた煌びやかで艶のある美味しそうなフルーツだったり、無造作に咲き乱れる花々や植物だったりと、自然の産物が色とりどりにある。壁は大樹の中なので、カボ

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『aラストティア』~荒野の楽園編~ 第二章セピア世界 07自然の楽園

『aラストティア』~荒野の楽園編~ 第二章セピア世界 07自然の楽園

第二章セピア世界 07自然の楽園 

優理が目を覚ましたのは翌日の昼過ぎであった。
 昨日の疲れもあってぐっすり寝むれたようだ。
 んーーーっと声にならない声を出しながら腕を横に伸ばし広げると、右手に何かが当たった。
「ん?なんだろ」
 半開きの目をこすりながらそっちの方を見ると、そこには赤くさらさらした長い髪の女の子が・・・・・・。
「えっええ!なんでカレンが隣に・・・・・・」
隣で添い寝をする

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『aラストティア』~荒野の楽園編~ 第二章 06七色に輝く鏡の盾

『aラストティア』~荒野の楽園編~ 第二章 06七色に輝く鏡の盾

第二章セピア世界 06七色に輝く鏡の盾  

 火炎竜が通った跡は黒く燃え焦げている。
 優理はその焼け焦げた跡と一掃されて倒れている骸骨等をみて背筋が固まった。
「あんなの、僕も食らったらひとたまりも・・・・・・」
「ふぅ、危うく巻き込むところだった」
 汗をぬぐいながらカレンがつぶやと「それはアウトだろ!」と突っ込む。
しかしそれには構うことなく力強く近づいてきて
「なんで合図を待たずに戻って

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『aラストティア』~荒野の楽園編~第二章セピア世界 03赤の剣士

第二章セピア世界 03赤の剣士

キーーーン!
金属がぶつかりあったような高い音が辺りに響く。
「ん?」
一瞬何が起こったのか分からず、ただ固まっていた優理だったが、自分が死んでいないことに気づくと、ゆっくりとまぶたを開いた。
すると目に映ったのは、太もも辺りの色白な肌と膝下まで覆っている長めのブーツ。そして美しくつややかで真っ赤な色をした髪だった。
「誰だてめーは、邪魔するなら殺すぞ!」
 カッ

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『a ラストティア』~荒野の楽園編~ 第二章セピア世界 02得体の知れぬ生物

『a ラストティア』~荒野の楽園編~ 第二章セピア世界 02得体の知れぬ生物

第二章セピア世界  

02得体の知れぬ生物 

優理が子供達の相手をするようになってから1週間が経った日、いつものように子供達と遊んだあとでヘロヘロになっていた優理は村長に呼ばれて、村長の家に居た。
 村長はそわそわと貧乏揺すりをしながら優理の方をちらちらと見ている。
「あのー、どうかしましたか?」
 警戒するように優理が尋ねると、村長は狂ったように叫んだ。
「どうかしましたじゃないでしょう!も

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