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お着物散財日記 6 他人の振り見て

「他人のふり見て我がふりなおせ」の「ふり」とは「振り」=「袖」のことだと私は勝手に信じています。着物が日常着だったころ、袖の揺れるさま=振り、とは動作そのもののことでもあったでしょう。着物を着ると立体裁断の洋服よりも動作が抑えられる部分が自然に出てきますが、それこそが着物を着た時ならではの「落ち着いた所作=様子=振り」に繋がります。

さて、他人の振り。

先日かなり正式な茶会に客として伺いました。茶席の素晴らしさは何よりもご亭主のお心配りとお茶への愛だと思っていますが、もちろんそこには運びに入るお社中の皆様の客応対も含まれます。

茶席に正座しているとですね、普通にしていれば客の視線はいやでも立ち働くお運びの皆様の帯から下、足さばき、それこそ立ち居振る舞いがダイレクトに目に入ってきます。だからこそ気を付けたい着物ならではの歩き方、座り方、立ち方、膝の回し方、でございます。

先日のお茶席のひとつはお道具は素晴らしい、お菓子もお茶も美味しいけれど、水屋から出てくるお運びの皆様方(お一人などではなく、大半の方)の歩き方が悪すぎて、客として正座している身としてはげんなりしてしまいました。

あろうことか皆さん着物なのに外股でドシドシ歩いていらっしゃる。。。お相撲さんかと思いました。お稽古も外股で歩かれているのでしょうか。。。(涙)。外股で歩いてこられてドシっと前に座られ、ドン、とお茶を出される。これではどんなにお茶が美味しくてもちっとも優雅な気持ちにはなれません。

帯から下しか見ていなかったけれど怖いもの見たさでそこから上も拝見すると、多くの方が髪を整えていらっしゃらない。「寝起きですか?」というくらいの凄さの方も。。。一体何でしょう、これは。いくらお運びでも、髪が長ければまとめる、中途半端な長さならば少なくとも清潔感を失わないように整える、など当然の心構えが全くありません。いかにも「仕方なく着物を着てきました」という雰囲気。

私は茶バアではありませんので、他人様の着付けをあれこれ言ったり勝手に触って直したり、という趣味はありませんが、でも。。。予想通り帯揚げもただの固結びで帯からだらしなくはみ出ている方ばかり。

他人の振り見て我が振り直せ。

大変勉強になった一日でした。

★お写真の所作はもちろん良い例です。指先まで整って美しいですね。

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