初119 21.9.19
実はこの日、救急車に乗っていた。
人生初。
あ、僕が運ばれたわけではない。
順を追って話そう。
9月5日、朝6時半に僕の部屋をノックする音が。
寝ていた僕が「なに?」と答えると、家族の者が「血圧が高くてめまいする」と。
測ったら200近くあるという。
本人の希望で、救急車を呼ぶことに。
初めてダイヤルする119。
オペレーターの男性に、症状を細々と訊かれ、本人にも聴きながら答える。特に、ころな関係の質問を多く訊かれる。たまたまこの日は、僕が二回目ワクチンを打ってからちょうど二週間後。
「救急車を手配したので、マスクを用意してお待ちください」
ただ、近所の手前、本人が家の近くでサイレンを消してほしいと言う。
それを伝えると、サイレン音は消せないが、早めに誘導すれば結果としてサイレンを切ると。
そうこうしている間に、サイレン音が近づく。部屋着のままだった僕は、その上にシャツを着て、ジャケットを羽織り、外へ出て、救急車を誘導。
救急隊員、家の中までずかずかと入ってくる。
家族を、隊員二人がかりでストレッチャーに乗せて、車内へ。
すぐ病院に向かうのかと思ったら、心電図計測・問診が行われる。僕にも、ころな関係の質問が再度隊員により繰り返される。
僕も一緒に乗っていくか迷ったが、最初に車でついていくと救急隊員に言ったことで、僕はそのまま救急車を降りて車で付いて行くことに。
長引くことも考えて、慌ててカ●リーメイトと、麦茶入りの水筒をカバンに入れる。
近くの病院へ搬送。車で追うが、当然ながら赤信号を無視するわけにはいかず、見失う。
知っていた病院なので、道順を思い出し、遅れて到着。
その間に、心電図や脳の写真も撮ってもらう。
結果は異常なくそのまま帰宅へ。
本人は点滴を打ってもらうなり薬の処方をしてほしかったようだが。
――という顛末。
ちなみに、この時に、病院の駐車場のチケットを無くしている。
救急隊員の方は、ドラマのイメージから、もっとハードというか事務的というか、熱血な感じを想像していたが、思ったよりソフトで丁寧な対応をしていただいた。
僕自身の対応は、良かったのかどうなのかわからないが、初めてにしてはまぁ、そこまで悪くはなかったのでは、と。
都会では、救急車を呼んでも病院をたらい回しにされるケースをよくニュースで見るが、すぐに受け入れ先が見つかったのは、田舎だからか。
本人によれば、「いつもは我慢するところだが、たまたま前日に、軽度の脳梗塞になって救急車を呼んだ人と話をして、自分でも呼んでいい(病状)と思った」とのこと。
一般人にとっては、救急車を呼ぶのは非日常体験であり、生死に関わる状態でないと呼んではいけないのではないか、という意識がありがちだが、タクシー代わりに呼ぶのは論外にしても、普段と違う病状の場合は、ためらわずに119してもいいのかな、と思った。
ちなみに、家族の者はいまは元気。「なんでもっと(自分を)心配しないんだ」と理不尽にキレる程度には。
こんな体験はこれきりであってほしいと思いつつも、齢50を過ぎた身としては、どこかで覚悟はしておかないといけないのかなぁ。
覚悟を持つのは苦手だが。