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11年ぶりイワガキ収穫 宮水3年 栽培漁業実習 初物「濃厚でおいしい」

 宮城水産高校(瀧田雅樹校長・生徒305人)の3年生3人が24日、石巻市前網浜の栽培漁業実習場で11年ぶりにイワガキを水揚げした。東日本大震災後、種ガキの入手が困難だったこともあり、何とか養殖にこぎつけた3年物を収穫。大きく育った身を口にし、「濃厚でおいしい」と満面の笑みを浮かべた。

 収穫に参加したのは海洋総合科生物環境類型カキ班の阿部優斗さん、高橋銀さん、山下礼悠人さん。前網浜岸壁から2キロほど沖合の養殖場で、県漁協前網浜支部の漁師のサポートを受け、約300キロを水揚げした。

イワガキを水揚げする生徒たち

 3人は収穫後、採りたてのカキをほおばって「濃厚でおいしい」(山下さん)、「プリプリしている」(高橋さん)と顔をほころばせた。指導した海洋総合科の鈴木秀一教諭によると、イワガキは日本海側では波が荒く養殖に適さないほか、太平洋側でも一定条件を満たさないとうまく育たないため、東北では前網浜でしか養殖を行っていないという。特に、震災後はなかなか条件が整わず、やっと収穫できるまでになった。

手塩にかけて育てたイワガキは身入りが抜群

 卒業後、漁師の父親と一緒に船に乗ることを決めていた阿部さんは、前夜からドキドキしていたという。自分で水揚げしたイワガキは「すごく濃厚」と大満足。種付け後、いかだ掃除など3年間手をかけてきただけに喜びもひとしお。将来は「カキの養殖で一番になりたい」と大きな夢を披露した。

休む間もなく出荷に向けた作業に励む生徒

 学校の実習場では出荷用に殻をきれいにする作業などを行った。イワガキは夏に向けて最盛期を迎える。阿部さんと同じく漁師になる高橋さん、警備会社に勤める山下さんは、卒業前の最後の共同作業を「楽しかった」と言って浜を後にした。

 25日の競りでは大12個入りが1箱4200円(4箱)、中20個入りは5千円(8箱)で取引された。【本庄雅之】


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