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組織の中に「新しいもの」を作るということ【わたしの研究所ライフ(前編)】

お久しぶりです。みねこです。

気づいたら、このnoteでの発信が、とてつもなくご無沙汰になってしまいました。。。30代になり、部署異動もあり、仕事でも私生活でも色々な意味で過渡期を迎えたこの一年。最近になって、色々思うところがあり、ようやく文章を書きたくなってきたので、久々にnoteを開きました。

現在、育休を頂いています。(!)
時間があるときに、自分が社会人になってから産休に入るまでの約6年をあれこれ振り返ってみるのですが、そのたびに、思いの外、色々出てくるな〜としみじみしています。その中でも「私、これ結構頑張ったんじゃない?」と思えることがいくつかあったので、ここにまとめておきたいと思いました。

それは、組織の中に、共通言語のないような全く“新しいもの“を作ること。


その1:Twitterを始めたこと(※あえてTwitterと表記しています)

1つめは、組織公式SNSの運用体制を整えたことです。
(※私が運営に携わっていた2018年〜2023年頃の話になりますので、以下はTwitterを前提としたものになります。)

ウェブサイトが更新されるたびに、そのお知らせ情報を自動配信するのみとなっていた職場の公式Twitterアカウントを手動配信にし、中の人運用を始めたのが2018年

ある日の昼休み、食堂で「研究所のことをTwitterを使ってもっと情報発信したらいいと思うんですよね〜」、と何の気なしに呟いたところから、それいいじゃん!やってみよう!と後押ししてくれる方々がいて、そこからやりたい放題、好きにやらせていただけました。

当時はフォロワー数が5000人程度だったのですが、6年かけて1万人弱と、スローペースではありますが倍増させることができました。
その後、YouTubeでの動画発信なども始動。SNS運営に携わる人数も、部署横断的に増え、倍以上になりました。

組織のお知らせだけでなく、諸外国でクーデターやデモがあった際には、弊所アカウントから、関連する研究成果を紹介するなどしてきました。
情報過多となっている今、安易な情報源に飛びつくのではなく、そのバックグラウンドにも目を向けて多角的にその国・地域のことを知ろう、ということを意識してきたつもりです。諸外国の情勢を知りたいと思った時に、情報源の1つとして弊所アカウントを見ていただけている手応えを感じることも。

これらの投稿は、研究者や他部署の協力無しには実現しません…!

ただ、個人的にはそれ以上に、SNS投稿がきっかけで研究職採用に関心を持ってくださる方がいたり(そして今では職場の同僚に!)、外部の研究機関にも見ていただけたりといったリアクションが得られたことも、嬉しかったです。

研究者の顔が見えるSNSを目指して

組織のSNS運用に携わった当初から私がやりたかったのは、研究者の顔、研究所の普段の様子を見せていくこと、そして、いかに分かりやすく研究成果を見せていけるか…を追求することでした。
それは、私が就職したときの問題意識でもありました。

身近なことで言うと、まずはシャイ(?)な研究者の皆さんの写真をたくさん撮って、SNSやメディアにも積極的に活用してもらいました。以下の投稿は、同僚の作成したコラージュ!

私は、研究者がどのように世界を見ているのか、その話を聞くのが好きで、それが仕事になりました。研究者ってこんなふうにお仕事しているのか、研究の世界ってこういう場所なんだ、と覗き見てもらい、研究所=お固くて小難しそうな場所、というイメージを緩めてみる。
特に若年層や一般社会に向けて裾野を広げる発信をすることで、海外のことで何か知りたいことが出てきたら「そういえばアジ研という組織があったな」「研究の世界って面白いな」と、少しでも多くの人に思ってもらえるような、種まきのような情報発信にやりがいを感じてきました。

SNSはコミュニケーションツールである

SNS運用に携わっていて、最も悩んだのは、研究所の新着情報(イベント情報、採用情報、新着論文・記事、など)を「〜〜が掲載されました」と一方向に発信して終わりがちなところ。
しかしSNSは、自己表現が無限にできる場であり、外部との繋がりを作っていける場であり、関係性構築のプラットフォームである、と私は思っています。

SNS上に投稿した文章や画像は、その投稿内容以上に、様々な情報を含んでいます。投稿した時間、前後の投稿との連続性や順序、どの投稿を固定表示しているか…。その全てに、自分たちの研究所をどのように見せていくのか、どのような取り組みを組織のトップニュースとして打ち出しているのか、どのような研究者がいて、どのような研究に取り組んできたのかが、明記されていなくても、ジワリジワリと情報を発し続けているのです。

SNSは情報を出す場所ではなくて、研究所の見せ方を実践する場所なのだということ。さらにいえば、組織側の都合に合わせて運用しようとするのは、伝わる情報量という点でもったいないことだし、リスク管理という点で危うさがあるのだということ。その認識を共有し、運営体制に落とし込み、それを継承していくまでには、それなりの時間を要した、という感覚を持っています。

社会から得られた反応が、次の研究のヒントになるかもしれない?

こうしてSNSをやっていると、通常であればなかなかリーチできないような、特定のジャンル・テーマに関心の高いコミュニティや、新たな層に研究所の情報が届いた、ということもありました。

こういったコミュニティにウケた、こんなところから意外な感想があった、といった1つ1つの反応はとても新鮮で、もしかしたら次の研究題材や、新しい議論を呼び起こすヒントになるかもしれない、と思ったりします。

研究の世界は、閉ざされた世界になりがち
私たちの公式SNSアカウントは、組織の運用方針上、どうしても個別アカウントに返信していくようなことは難しいのですが、世に発信して得られるフレッシュな反応や、意外なコラボレーションは見過ごさずに、研究所や研究者に還元できるところは積極的に取り入れていきたいと考えています。



長くなってきたので、続きは後編へ。「その2」と「その3」を書きます。

▼続きはこちら




※本記事に書かれていること、このnoteで発信していることは、全て個人の見解に基づくものです。いずれも所属機関の公式見解とは関係ありませんので、どうかご了承ください。

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