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働きたくない理由

さっきまでとある企業のインターンにエントリーするため「働きたい理由」を捏造していたのだが、ぼんやりしている間にサイトを開いて1時間が経過していたようであり、1000文字ほど書いていた真っ赤な嘘が真っ白な空欄に逆戻りした辺りで全てがアホらしくなった。あれほど「一時保存」ボタンが強調されていたのにね!御社と貴社の違いとか今日知ったもんね!!アホくさ!!!と叫びたかったけど、アホは大学生実質4年目なのにそんなことも知らない私でしたとさ。トホホ。



ところで、働きたくて働いている人ってどれくらいいるんだろうか。

①働きたくて働いている人、
②働きたいのに働けない人、
③働きたくないけど働く人、
④働きたくないから働かない人。

体感では圧倒的に③が多い世の中で、④を掲げた者に待っているのは死。だってお金がないと生きていけない。高校の時コミュ英の変なおじさんの先生が「よのなかおかねなのよ」という回文を教えてくれたな、と最近よく思い出す。①に当てはまる人も存在することは知っているが、私には到底辿り着けない境地のように思える。


働きたくない芸人・私にとって、「働きたい理由」がないと始まらない就職活動は矛盾そのものである。ここ半年以上働きたい理由を考え続けているが「生きるのに金が必要だから」以上のものが見つからない。でもそんな本音を聞いて内定をくれる会社なんてこの世にはないらしい。その手の本を読めば「仕事を通して自分が社会にどう貢献したいか」を考えろ、などと説教を垂れてくる。社会に貢献?ふざけんな。私は社会に参画したいだなんて一言もこぼしたことはない。すべては計画もせず出来損ない3人もつくった両親のせいです。親不孝でごめんね!過保護に育てていただいたおかげで、遅れて来た反抗期の終点を見失いました!


こうやって中学生みたいな反出生主義を唱えても誰も相手をしてくれないので、「働きたくない理由」を先に明文化して「働きたい理由」を帰納法で消極的に絞り出してみようとしているのがこの記事。バイトに明け暮れてばかりの典型的なダメ大学生をやってきたから、それなりに労働モドキは経験済みだ。周りの働く大人、働かない大人のことも思い出しながら、ちょっとまとめてみよう。


①眠いから。

過眠症と診断されたわけではないし、恐らく自律神経系つまり自己管理能力の問題だが、人より眠くなりやすい。
原因不明の低血圧で朝に異常に弱い。アラームはセットしても聞こえないので、いまだに母に叩き起こされている(21歳成人女性)。高校は通学に1時間以上かかったから毎朝6時台に起きなくてはならず、満員の田園都市線に乗るたびに目の前に座って寝ているサラリーマン一人ひとりに丁寧に呪詛を送っていた。

眠気が特に酷かったのは、受験生の頃から大学1年生の頃まで。苦手な数学の映像授業を見ていると5分以内に必ず寝てしまう魔法にかかったようで、チューターに椅子の背もたれを揺すられるくだりを日に5回以上はやっていた。自習時間ランキングは常に1位だったが、成績はランク外だった。数学に見切りをつけた後も、英語の長文を読むと同じ魔法が威力を発揮する。ちなみに今でも魔法は解けていない。

朝起きられないなら夜に活動しよう、と大3の冬にカラオケの夜勤バイトを始めたら、5限のゼミに平気で寝坊するなどというよくわからないことになった。それ以来、朝起きて夜眠るのが余計下手くそなままだ。仮に3日連続で「朝起きて夜寝る」の範囲に収まるリズムが作れても、4日目に丸一日寝て過ごさないとその次の日まるで使い物にならない。

以上の状況を踏まえると、定時に帰れるホワイト企業でも就業は不可能である。


②無能だから。

私は仕事ができない。なんとなく察している。

まず、電話ができない。塾講師のバイトをしていた際、余計なことを口走ってあるお母様を激昂させたことがある。コンビニバイトの電話を取ったのに、かけてきた相手の名前を忘れて店長に怒鳴られたこともある。そういうことがあって以来、バイト先では着信音を聞くたびにできるだけ子機に手が届かないところまで離れるようにしている。

わからないことをすぐに質問する、というのもできない。大人はよく「なんでも聞いてね」と言うが、実際にタイミングを見誤って聞くと「それ今必要?」「前言わなかったっけ?」と目が笑ってない営業スマイルで問いかけてくる。それが怖くてなんとなく自力で進めた結果、「なんで質問しなかったんだ」と怒鳴られるのがオチだ。聞いても聞かなくても怒られるなら、そういう質問が発生しないように難しいことはしないでおこう、と、いつまでも必要最低限のことしかしてこなかった。

そして、期限を守れない。私は先延ばし癖がひどく、大学に入ってから課題の提出〆切を守れた試しがない。教授のお情けで単位をもらえているからいいものの、会社で納期を守らない奴が勤めていけるわけがない。そのくせ変に完璧主義なので、妥協してなんとか間に合わせるというのもプライドが許さない。同じように時間も守れない。人との待ち合わせでも似たようなことを続けた結果、友達がいなくなった。

こういった能力的な問題は、枚挙にいとまがない。コンビニはレジミスなしで帰れたことがないし、カラオケ店のマグカップは5個割った。シフトをすっぽかして電話越しの店長の怒号に号泣したこともある。冬季講習とのダブルブッキングでマルーン5のライブを諦めた日も忘れられない。その度に泣いて帰るのに、翌日にはまた同じミスを繰り返す。私は恐らく働けない、いや、世間様のために「働いてはいけない」人間である。


③人間関係めんどいから。

上で挙げたバイト下手くそエピソードからもわかる通り、私は人に叱られるのがとても嫌いだ。周りの大人の顔色を窺って生きてきたツケがまわってきたのか、何をするにも「他者の評価が全て」の、現代のダメな若者の代表である。教育の在り方がどうだとかSNSの影響がどうだとか、擦られまくった議論はここではしないが、ともかくどこにでもいがちな意思のない指示待ち人間である。

新しい人間関係を構築することは、監視者が増えるのと同じことだ。誰かが隣にいれば常に自分の容姿が相手にどう映っているか気になって仕方がないし、誰かと会話すれば自分が愚かでコミュ障で空っぽであることがバレないように取り繕おうとする。ある程度仲のいい人間に対しては、どうせ破れる化けの皮は積極的に捨てようとするのだが、それは結局「気遣いのできない人間」とジャッジされて終わる。

そして急遽街中や家庭内で発生してしまう避けられないやりとり以外は、あらゆるコミュニケーションは私の精神衛生にとって基本マイナスにしか働かない。どんなに気心の知れた恋人相手でも、1週間旅行に行ったら最終日目前にして全てが無理になった。私より気遣いの友人らとごはんに行くと、気遣いの応酬が息苦しくなって帰り道1人で食う棒アイスの方がうめぇや、となる。現状家に帰ればイヌもウサギもトリもいるわけで、話し相手は彼らで十分。私の話に対してリアクションをしないので尚更その方がいい。人間、他人に関心あるのすごい。私はもう放っておかれたいし、放っておきたいのだ。

職場だけの関係だから、と割り切れるほど私は器用ではないので、まだ見ぬパワハラクソ上司や自分より優秀な同期と出会う前に、戦略的撤退を図りたい。


④忙しくなるから。

ここまで駄々を捏ねておきながら、実は今バイトを掛け持ちしている。本屋とインド料理屋。眠いけど気持ち悪くなる限界までカフェインぶち込んで朝から働く。同じミスを繰り返しすぎて関わる人全員からうっすら嫌われている。当然クソみたいな客は来るし、クソみたいな人間も働いているが、心の中で「死ね!!!」と叫んでやり過ごす。なぜ耐えられるかって、来月サマソニ行くし、その後ジブリパーク行って、11月には椎名林檎のワンマンだってある。卒業旅行はインドに行きたいから今から貯金しなきゃいけないし、読みたい本、着たい服、聴きたい曲が多すぎる。

しかし所謂「社会人」になってしまったら、そういった「働かざるをえない理由」が、自分の生活費くらいになってしまう。①で書いた通り体力がない人間なので、月から金まで8時間労働して、やっとの休みに好きなアーティストのライブに行けるほど元気なはずがない。心の余裕がなくなると本も音楽も遠くに感じる。働き始めたら私服なんて休日しか着ないしババアは何を着てもババアなので、オシャレの幅は狭まる一方だろう。となると、金を稼ぐ理由が私というポンコツ人間の生命維持費くらいになってしまう。家庭をつくるつもりは毛頭ないので、ただ1人、この世で最も忌み嫌う自分のために働かなくてはいけない状況が生まれる。恐ろしいったらありゃあしない。

この問題は希死念慮にすら関わっている。だって現状、実家で暮らせば働かなくても食いっぱぐれなくて済むし、寝床が確保されてるし、イヌいるし、好きなことして過ごせている。これ以上幸せなことはない。それをわざわざ扶養から抜け出して嫌々仕事して好きなこともなく生きるなんて…この先今より幸せになれる気が全くしない。それに周囲の働く大人は皆、幸せそうには全く見えない。母なんて父が家庭に金を入れないので私と同じくらいの時給でフルタイムこき使われている。そのうえ休日は弟の野球部のためにボランティア精神だけで大量の飯を用意し、泥だらけのユニフォームを洗い、保護者の集まりに参加している。尊敬とかより先に恐怖を覚える。私はこんなふうになりたくない。

だったら社会に放り出される前に死んじゃうのが一番いいんじゃないかと本気で毎日思ってる。受験戦争や未熟な人間関係のもつれに巻き込まれていた高校までの学生生活に比べれば、ノーリスクで自分の好きなように生活できる今は人生最高の時期じゃん。「今が1番幸せ」を更新し続けてるからこそ、今のうちに死んで勝ち逃げしたい。逃走中でリタイアする奴はネットでダサいと叩かれるが、死ぬなら叩かれようが私の知ったことではない。勝手に何とでも言え、私は私の中でベストの人生を全うしたぞ!と地獄でガッツポーズを決めてやる。


考察と結論

とまぁ、働きたくない理由なら3000字くらい、全く嘘なしに書ける。考えれば考えるほど働きたくない。しかしインターンのエントリー締め切りは目前に迫っている。上に挙げた理由を一つひとつ検討して、「働いてやってもいい」と思えるようにしたい。

①の眠さは、たとえばシフトが柔軟に組める仕事を探すことで誤魔化しが効くかもしれない。好きなだけ寝て、起きている数時間にばっと集中的に取り組めるような、そういう仕事ならできるかもしれない。いや、そんな仕事あるか?と考えた時に思いつくのは、完全オンラインの個人事業、具体的にはウェブデザイナーとかである。しかし私機械にめっぽう弱い。高校の初めての情報の授業で、タイピング課題がクラス一遅くて泣いたことがある。父がIT企業で働いているので、父親と一緒くたにしてパソコンを嫌っている節もある。

②に関しては、もう解決のしようがないので「ミス」が発生し得ないような職種に就くしかない。クリエイティブな仕事に就くための経験も才能もないので、アーティスト系は無理だ。となると、教師とかはどうだろうと思う。教え方って正解はないし、結果も生徒の出来という曖昧なものとしてしか現れない。そう考えると非常に「ミス」と呼ばれる状況は起きにくいのかもしれない。ただ、人の手本であるべき教師がこんな舐め腐った考えで仕事をするのは、やはり生徒が気の毒。

③はどうしようもない。仕事というのは人がいて初めて生まれるものだから、そこから人との関わりを抜くことはできない。できないなら、なるべく少ない仕事を選ぶしかない。となると機械相手の仕事、プログラマーなどは条件的に当てはまっている。実際適職診断などすると8割方プログラマーをオススメされる。それが私は気に食わない。先にも書いたようにパソコンに対する苦手意識が強すぎる。文系でもなれるよ、などと甘いセリフが聞こえてくるが、なるために新しく興味のないことを勉強したくない。

④は新しい生き甲斐のようなものを見つけるしかない。ホワイトな就労体制を期待するならもっと熱心に就活して大企業に行かなくてはならないが、もう遅い。じゃあ、生き甲斐とは何なのか。最後はやはり、LOVEなのか。最近映画やドラマを見ていると、どんなに人を殺すキャラでも愛する家族がいるもんだよ、的な感じで必ず物語に裏切られることに気がついた。おい、お前はそのまま冷血で残忍なかっこいいヴィランのままでいてくれよ!と悲しくなる。どんな悪い奴も大切な人のためなら何もかも捧げられるよ、みたいな、性善説ベースの無償の愛的なルールが、どんな創作にもある。まぁ、愛って人類ウケするコンテンツだもんね…でも、そういうの目撃するたびにどんなバッドエンドよりずっと絶望的な気持ちになる。そんなに誰かのために生きることって高尚なんですかね?その「誰か」がいない私は欠陥人間なんでしょうか?やっぱりイヌ飼うしかないのかな。



考察の結果、私は

将来的にイヌを飼い、完全オンラインで(なんとか苦手意識を克服し)機械相手の個人事業をする

のがベストらしい。結局このプランでもイヤイヤ仕事をせざるをえないし、イヌに生きる意味を押し付けているので最悪だが、手当たり次第に行きたくもない有名企業のエントリーシートを書くよりはマシかもしれない。5000文字かいてわかったのは、ブロガーはダメだということだ。長すぎる。私は文章が下手だ。

♪ 週6はきつい / おとぼけビ〜バ〜

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