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水澄む草青む

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空から降り注ぐ雨水が、何十年もかけて森の奥の清らかな泉の一滴となるように。我が身を生きることを通して言葉を綴る5人の書き手によるちいさなWebマガジン。
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私の中の「きれいにまとめすぎる問題」

「きれいにまとめてくださってありがとう」 「あのまとまらない話を、よくぞここまでまとめてくださいましたね」 インタビューイや取材相手から、ときどき言われる言葉。先方にとっては心からの褒め言葉なのだろうし、ライター冥利に尽きるうれしい反応だな、と思う。でも私はここ数年、そういった言葉を受け取るたびに、少し心にざわつきを覚えるようになった。 「きれいにまとめる」ということメディアの記事において、「きれいにまとめる」とは。 インタビュー記事なら、相手の伝えたいことの本質を捉え

どんなに好きなことだって、しんどく感じるときがある。ライター5人が語る、書くことのしんどさ

好きで始めた仕事やプロジェクト。でも、「正直しんどいなぁ」って思うこと、ありますよね。しんどさの感じ方は、人それぞれ。そこには、その人自身のあり方や大切にしたいことが、にじみ出ている気がします。 我が身を生きることを通して言葉を綴る5人の書き手によるちいさなWebマガジン「水澄む、草青む」。集まるたびに、「書くこと」についての雑談が始まり、いつしかその話は大切にしたいことや価値観にまで落とし込まれ、本質的なものになっていきます。 そんな話を、記録として残す試みの第2回目(

ライターは何を目標に書いている?

#ドーナツトーク は、誰かが出したお題についてバトンリレー式の連載。書き終えたら次の人を指名し、最後はお題発案者が〆めます。 はじめての #ドーナツトーク 「ライターとしての目標はなんですか?」が ひとめぐりしました。最後に、お題発案者のわたしが、ドーナツのかたちをなぞって〆ます。 この世界は変えられるという希望/杉本恭子 はじまりは、わたしが宮本拓海くんに「書くことで目指す目標みたいなものがあるんですか?」と問いかけられたこと。わたしは、とっさに自分のなかに思い浮かんだ

ライターとしての目標はなんですか?

#ドーナツトーク は、誰かが出したお題についてバトンリレー式の連載。書き終えたら次の人を指名し、最後はお題発案者が〆ます。 杉本恭子さんから始まった「ライターとしての目標はなんですか?」というバトンリレー。増村江利子さん、平川友紀さん、池田美砂子さんを経て、バトンが回ってきました。アンカーだ! 前走者のみなさんに恥じない走りをしなければ。 ライターとしての目標、書くことで目指しているもの。色々あるけど、軸となっているのは、「昔の自分に見せたい世界を紹介すること」でしょうか

ライターとしての目標はなんですか?

#ドーナツトーク は、誰かが出したお題についてのバトンリレー式の連載。書き終えたら次の人を指名し、最後はお題発案者が〆めます。 「ライターとしての目標」というお題に、戸惑う私がいる。引っかかったのは、「目標」という言葉。私はいつからか、目標を定めなくなった。 かつては、「30歳までに○○したい」みたいなことを考えるのが好きだったし、それに向かって努力する自分が愛おしくも思えた。 でも今は、先を見据えてゴールに向かって走るよりも、今この瞬間に心惹かれることや、感覚的に「い

「聞く」ということ、「書く」ということ。書くことで何がしたいのか、ライターとしてのありかたを考える

空から降り注ぐ雨水が、何十年もかけて森の奥の清らかな泉の一滴となるように。生きることを通して言葉を綴る5人の書き手によるちいさなWebマガジン「水澄む、草青む」。 メンバーが集まると、自然と「書くこととは何か」「書く上で大切にしたいことって何だろう」といった話になります。 雑談だけど、私たちにとって、それぞれに大切な時間。 そんな話を、記録として残せないか。 今回は、インタビューの下準備から「聞く」ということ、インタビューの場所のセッティングやディレクション、文字起こし

ライターとしての目標はなんですか?

#ドーナツトーク は、誰かが出したお題についてのバトンリレー式の連載。書き終えたら次の人を指名し、最後はお題発案者が〆めます。 思えば、私の世界はいつも狭く、浅い。 音楽ライターをやっていたとき、興味があったのは、世の中的にはほとんど知られていないインディーズバンドだった。無事にメジャーデビューが決まると、私の役目は終わったような気持ちになって送り出し、勝手にひと区切りつけて、新たなインディーズバンドを発掘する。ライブハウスよりも広いところへ出たいとも、出ようとも思わなか

ライターとして東北へ取材に通った7年間で考えたこと

2019年3月1日に、初著書『復興から自立への「ものづくり」』が小学館から発売となりました。2012年から取材を続けてきた、“東日本大震災後に始まった手仕事と、その背景”をまとめた本です。この機会に、ライターとして東北に通い続けた7年を振り返ろうと思います。 「写真撮りたいのでどいてくれませんか」に感じた憤りの正体私が初めて東北沿岸部を訪れたのは、東日本大震災から1ヶ月後のことでした。 参加したボランティアは「被災地とNPOをつないで支えるプロジェクト(つなプロ)」。数人

ライターとしての目標はなんですか?

#ドーナツトーク は、誰かが出したお題についてバトンリレー式の連載。書き終えたら次の人を指名し、最後はお題発案者が〆めます。 「書くことで目指す目標みたいなものがあるんですか?」 さて、自分の番が回ってきてしまいました。書くことで目指す目標というのは、つまり、書くという行為の先にある、自分が掴み取りたいもの、ということですよね。 うーん、と考えてすぐに思い浮かんだのは、学生時代の先輩のことばでした。 そのことばは、心の一番手前に、常にある。 私は音楽大学に通っていた

言葉の効能と副作用

写真は、つい先日生後3ヶ月を迎えたばかりの我が家の長男。ここ最近、右手をあげて、じーっと見つめてばかりいる。いったいなにを考えてるんでしょうね。 今日は、息子とともに生きる日々のなかで、言葉について改めて感じていることを書いてみたいと思う。 私たちが享受している言葉の“効能”言葉には、物事を定義する役割がある。「ラベリング」というとわかりやすいかな。ある現象や事象に名前をつけて言葉で定義付けすることによって、固定化した概念として捉えられるようにする役割。 これはとても便

ライターとしての目標はなんですか?

#ドーナツトーク は、誰かが出したお題についてバトンリレー式の連載。書き終えたら次の人を指名し、最後はお題発案者が〆めます。 拓海くんの問い 先日、宮本拓海くんというライターさんが岩手から訪ねてきてくれました。 もともと、拓海くんとの出会ったのは、徳島・神山町。当時の彼は、宿泊したWEEK神山のスタッフさんでした。その後、地元の岩手・奥州市に戻り、ライターとして書くようになりました。京都にもご縁があり、ときどき訪ねてきてくれます。 会うといつも「ライターの仕事」について

言葉をめぐる世界で本質を見つめる

私は今、生後1ヶ月の小さな命とともに暮らしている。 当然のごとく、彼はまだ、言葉を持っていない。 何かを伝えたいとき、彼はただ、泣く。 手足をバタバタさせて、顔をしわくちゃにして。 ただ、全力で。 母である私は、彼のメッセージを受け取り、 自分なりに解釈して、行動する。 そこに言葉は存在しないけれど、通じ会えたとき、 確かな安心感が生まれる。 もちろん、通じないこともあって。 そんなときはお互い、なんとも言えず悲しい気持ちになる。 そしてもう一度、言葉にならない言葉を伝え

人が、言葉の前に立ち止まるとき。

人が、言葉の前に立ち止まるとき、 そのときにしか見えない、風景が立ち上がる。 その風景には、きっとその人にとって特別な意味があると思う。 いま、言葉は乱雑に扱われている。 嘘や誇張、ちいさな悪意をあざとく隠して、どんどん流れていく。 私はもう一度、言葉を信じたいと思う。 水が澄み、草が青む。 静かで満ち足りた風景が、人の心に宿ることを祈って。

言葉をめぐる思索の旅へ。「水澄む、草青む」はじまりに寄せて

「どうしてライターになったんですか?」 そう聞かれる度に無数にある理由の中から適当なものを選んで答えるのだけど、レパートリーのひとつに「口下手だったから」がある。 質問されたとき、とっさに固有名詞が出てこない。 胸の中を漂う漠然とした考えや気持ちは言葉にならず、無理やり喉から絞り出した音は表現したかったことと微妙にずれていて唇を噛む。 こうした歯がゆさを何度も味わいながら、伝えたかったことは体の中に溜まっていったのだと思う。出口となったのが、文章を書くことだった。焦ら