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「おかいさん」作ってみた

  三重・奈良・和歌山の山中に生まれ育ち、
  炭焼き・造林に携わってきた方の、
  手記を今読んでいるのだが、

  炭焼きの家の「茶粥」は旨いという話でそそられた。

  配偶者も先祖は和歌山で、
  粥と言えば茶粥だと言う。
  「朝じいちゃんに作ってもらって食べてた思い出が」
  と懐かしそうに語る。

  言わずもがなだが、
  「それって美味しいの?」とか、
  「栄養価とかそれで良いの?」といった質問は、
  ノスタルジーも色濃いご当地グルメに対しては、
  愚問であるから避けるべきだ。

  配偶者は三人兄弟の真ん中であり、
  兄弟の中でも特におじいちゃんっ子だったそうだ。
  勝手なイメージで隠居部屋にただ二人
  (おばあちゃんは早くになくなっている)、
  囲炉裏に掛けた鉄鍋から粥をすくっている様を想像した。

  「作り方知ってる?」
  「作ってもらってたから分かんないけど、
   お茶パックと一緒に煮込めば良いんじゃない?」
  基本はそれとしても一応調べてみて、
  分量通りに作ってみたはずなのだが、
  配偶者には不評。あら。

  「お茶の量こんなに多くなかったかな」
  「一応レシピ通りではあるんだが。
   よく食べてたって頻度は具体的にどのくらい?」
  「週の半分」
  「そんなにか!」

  だから勝手に週末だけおじいちゃんの家で過ごしてた、
  みたいな図を想像していたんだが。
  「じいちゃん同居してたから一家全員の朝ごはんがそれ」
  「ソイツを先に言わんかい!」
  ごはんたっぷり入れて、
  粥と言うよりおじやになったそれを、
  一家で和気あいあいと食うとるやないかい。

  ご当地グルメは経験者の境遇を思いやった上でだ。
  そこを踏まえて今週末辺りもう一回やってみる。

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