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大好きな東北地方への気持ちを文章にのせて。地方でライターと他の仕事、両方を楽しむ働き方。

2018年より東北地方の良さをその地に住みながら発信する”市民ライター”として活動し、今年で6年目になる鈴木千絵さん。現在は、ライターとして複数のWebメディアで東北地方の記事を執筆中です。それ以外にも会社員としてフルタイムで働いており、2つの仕事を持つことは多忙そうに見えて、それぞれに魅力があるのだそう。自分らしく働くための工夫や、ライター活動を続けていくモチベーションについて聞いてみました。

鈴木千絵(すずきちえ /  市民ライター)
岩手県生まれで宮城県育ち。2019年より東北の住民参加型ニュースサイト”TOHOKU360などで、宮城県を中心とした地域の取材記事を執筆。東北地方が大好きで、2023年に宮城県の産業・観光・食材・歴史・文化・復興等に関する知識を求められるご当地検定「宮城マスター検定1級」を取得。好きな休日の過ごし方は、宮城の温泉や美味しいコーヒーを求めてドライブすること。
鈴木千絵さんが書いた記事の一覧はこちら 
鈴木千絵さんのブログ  

−−市民ライターになったきっかけを教えてください。
会社員として働くなかでも文章を書く機会があり、もっと文章力を上げたくて2018年に仙台で市民ライター講座を受けました。グループで冊子を制作したり、地域に関する記事を書き始めました。東北が好きで、書いて伝えることも好きです。

−−現在の働き方、最近のライターとしてのお仕事について教えてください。
会社員として、週5日フルタイムで働いています。ライターとしては、東北地方を紹介するWebメディアで記事を毎月書いています。休みが平日なので、平日に取材に行ったり、記事を書いたりしています。

−−2つの仕事をかけもちするメリットとデメリットを教えてください
メリットは、お金のことを心配せず「ライターとして自分が本当に書きたいものが選べること」。
デメリットは、フルタイムで働きながら記事を仕上げるにはスケジュールがタイトになるので、執筆に思う存分時間がかけられないことです。

−−ライター活動は、お金も大事ですか?
私にとって答えるのが難しい質問です。お金をいただけるのはもちろん嬉しいですが、記事を掲載するメディアのコンセプトに共感できるかどうかを大事にしています。地域活性化につながる活動をされている団体や個人の方を特に応援したいと思っています。

−−休日をライター活動に充て、やる気が出ない時はありますか?対処法もあれば教えてください。
取材ですごくいいお話を聞けたのに、自分の文章力の至らなさのせいで上手く表現できないと感じる時です。そんな時は、一旦その原稿から距離を置くために寝てしまうこともあります。あとは、勤め先でいろんな同僚と話をしたり、書くことが好きな人たちが集まるオンラインサロンに所属しているので、他のメンバーのブログや記事を読むことで刺激をもらったりしています。

−−活動のモチベーションの源はなんですか?
自分の育った場所である宮城県が好きなことです。記事を書くことで、宮城県の魅力を全国に発信し、活性化への手助けになりたいと思って活動しています。県外から宮城県に来られた方に”宮城県のイメージ”について聞いてみたことがあります。すると、県庁所在地である「仙台」、「東北大震災の被災地」といったキーワードが返ってきました。まだまだ魅力が県外の方に伝わっていないと感じたので、東北で暮らす一市民の目線で、宮城の素敵なところを多くの人に伝えたいと思っています。

仙台駅前での焚き火体験の取材中の鈴木さん(右端)
※仙台市市民活動サポートセンター提供 
記事はこちら https://blog.canpan.info/fukkou/archive/3863

−−どうしてそんなにも東北地方が大好きなのでしょうか。
宮城県を出て東京に出ようと考えたこともあったのですが、東北地方や住んでいる宮城県内の各地の魅力に気づいてから、やはりすごく好きだなと感じて住み続けて、今に至ります。両親の仕事の都合で、10歳になるまでに4回の引っ越しを経験していることも影響が大きいです。岩手県で生まれた後、すぐに宮城県へ引っ越し、県内各地を転々としました。仙台市を始め、沿岸部や山間地域にも住みました。宮城県は自然が豊かで、場所によって雰囲気が全く違います。沿岸部なら美味しい魚もあり、いい温泉も各地にあるので行きやすいです。

−−取材テーマは、どうやって見つけるのですか?
不思議なことに、取材テーマのアイデアが頭の中に突然降ってくるんです。ドライブが好きなので、資料館や道の駅などドライブ先で思わぬ出会いがあったり、ネットで調べ物をしていて取材テーマをひらめいたりします。

−−東北以外で興味のある地域はありますか?
東北大震災を経験した身として、2024年1月に地震があった能登地方のことに興味があり、いつか訪ねてみたいと思っています。複雑な海の地形など、なんだか能登には東北と近しいものを感じています。2011年の東北大震災の時、私は29歳でした。そこから時を経て、今では各地の様子を落ち着いて、客観的に見られるようになりました。私が宮城の地域情報を発信しているのは「東北大震災の後の現在の宮城はこんなに元気です」と伝えたいからでもあるのです。

鈴木さんがおすすめするドライブスポット、宮城県気仙沼市の気仙沼大島大橋からの風景。
三陸の海の深みのあるブルーが好きなのだそう。

−−今後やってみたいことはありますか?
東日本大震災により甚大な被害があった地域で、自然再生に取り組み、葡萄を育てることからワイン作りを始めた団体の活動を取材してみたいです。震災の記憶を風化させないことにもつながると思うし、とても希望があるプロジェクトだと思うので、興味があります。

−−ライターを続けていてよかったことを教えてください
自分の書いた記事を読んだ読者からの反応があったり、取材先の方に喜んでもらえたりすると嬉しくなることです。実は、私は人前で極度に緊張してしまうタイプで、取材では毎回ドキドキが止まりません。でも人に喜んでもらえることが嬉しくて、その緊張を乗り越えてでも相手の想いを文章で伝えたいなと思っています。取材や記事を通して出会いが増えていき、自分の世界が広がっていく充実した気持ちを感じていて。これもライターを続けていてよかったことの一つです。


会社員として過ごしやすい人間関係を築きながら生活の基盤を作り、ライターとして「共感」を一番大切に活動してきたからこそ、培ってきた鈴木さんなりのバランス。筆者である私もまたライターと別の仕事をかけもちしている身。何に重きを置いて生きていくかということを始め、自分なりのバランスを常に探っていきたいと思いました。
これからも鈴木さんの東北地方を想う気持ちを軸にしたご活躍、応援しています。


インタビュー・文・バナーデザイン 原井けいこ
画像提供 
鈴木千絵、仙台市市民活動サポートセンター



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