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長編恋愛ファンタジー小説|シャングリラ

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長編/恋愛/ハイファンタジー/シリアス/R15/完結済作品連載(80万字)/毎週末更新だけど、読む人がいなくなったらやめる 【内容】 謎の美青年と異国の王子の邂逅がおこす、歴史の…
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2024年10月の記事一覧

長編|恋愛ファンタジー|余所見などするな-12-

 干し肉、小麦を薄くのばして焼いたもの、それに水。簡単な食事を済ませた一行は、再び歩きは…

市井へい
3週間前
2

長編|恋愛ファンタジー|彼らについて知っているのは、表面的なことばかり-11-

 昼寝は怠惰である──。  北の国での常識は、暑い国で生活する人間たちにとっては、とんだ…

市井へい
4週間前
4

長編|恋愛ファンタジー|利害の一致「契約成立だな」-10-

「どうやって?」  間髪入れずに返された問いに、ハルは苦笑し、メイラは憮然とする。  先…

市井へい
1か月前
1

長編|恋愛ファンタジー|命を狙われる覚えは?-9-

 返り血に衣を赤く染めて戻ってきた二人の姿に、ハルは息を呑む。リドルフは、なにも言わずに…

市井へい
1か月前
5

長編|恋愛ファンタジー|無用な殺生は好まない-8-

 部屋を出て階段を降りたところでセティはメイラと別れた。  左腰に佩いた剣の柄尻に左手を…

市井へい
1か月前
3

長編|恋愛ファンタジー|宿の主人は買収された-7-

「囲まれたみたいだ」  足音もなく、いつの間にか戻ってきた女神の化身かと思うほど美しい青…

市井へい
1か月前
1

長編|恋愛ファンタジー|ゆるやかな誘導尋問-6-

 ランプの炎が揺れ、ほの明るく照らし出された壁にうつる影が乱れる。  寝台のかたわらに引き寄せた椅子に座るハルは、前ぶれなく肩にかけられた温かみに驚き、外套をかけてくれた人物を見上げ、ていねいに礼を言った。 「お休みにはならないのですか?」  リドルフは目で長椅子に横たわる老女を示して訊いた。 「メイラは襲撃にあった時、老体に鞭打って剣を振るい、賊を必死で追い払ってくれたのです」  ハルは目を伏せ、薄く笑う。 「私は、守られていただけで何もしなかった。こうしているぐら