【詩】愛を知らない僕たちは
愛を知らない僕たちは
沈む太陽を傍観してた
愛を知らない僕たちは
雑踏の隙間の歪みを探す
愛を知らない僕たちは
爪先の感覚すらもう忘れて
愛を知らない僕たちは
どうしようもない残像にまた微睡む
愛を知らない僕たちは
黒い海に石を投げ
愛を知らない僕たちは
月の明かりが歪むのを見る
愛を知らない僕たちは
その針先が刺さるのを待ち
愛を知らない僕たちは
泡のような惨めさを抱く
愛を知らない僕たちは
冷たい風を餌にして
愛を知らない僕たちは
薄紫の朝焼けを今日も眺める
愛を知らない僕たちは
変わらないことを何度も確かめ
愛を知らない僕たちは
変わることを恐れてまた此処に還る
ひとつ
ふたつ
みっつ
よっつ
地面に落ちて腐っていった
干からびた僕たちの破片達は
雨に流されることすら敵わず
この世界の吐きそうなほどの
無慈悲な美しさにじりじり焼かれる
記憶の海に溺れながら
深淵の浅瀬でまた立ち止まる
愛を知らない僕たちは
死ねない理由を見つけられないまま
愛を知らない僕たちは
終わらない景色を今日も傍観する