【本棚から冒険を】コッケモーモー!(絵本)
10年と少し昔のお話です。小さい頃に読んだ、とある児童書をもう一度読みたくて、でも題名を忘れてしまった私は、買ってもらったばかりのパソコンで検索をかけました。手掛かりは「コケモモのジャム」。もうお分かりかと思いますが、探していたのは『小さなスプーンおばさん』(作:アルフ・プリョイセン)です。しかし、パソコンに不慣れだった私が入力したのは「コケモモ」ではなく「コッケモモー」だったようで、画面に現れたのは大きなおんどりの顔でした。
これが『コッケモーモー!』(作:ジュリエット・ダラス=コンテ)との出会いです。せっかくの出会いを無駄にしたくなくて、翌日書店へ行って購入しました。もちろん『小さなスプーンおばさん』も一緒に。
文字が少なくて、ページ数も32ページと短いお話です。また、1人で静かに読むより、誰かと声に出して読みたいな、音やリズムを楽しみたいな、と感じる作品です。
朝が来たのでいつものように鳴こうとしたおんどりですが…。
鳴き方を忘れてしまいました。「コッケモーモー!」と鳴くと、牛たちが「それは牛の鳴き声よ!」と口々に言います。
気を取り直して鳴いてみるものの、「コッケブーブー!」「コッケメーメー!」と、どうしてもいつもの鳴き方を思い出せません。
かわいそうに、すっかり自信を喪失してしまいます。自信のあったことが上手くできなくなるのは辛いことですね。
その日の晩、みんなが寝静まったところに狐がやってきます。狐は家畜を襲う悪役として描かれています。
誰よりも早く狐に気付いたおんどりは、大きな声で鳴いてみんなに知らせます。その声は…。
一匹で様々な鳴き声を出したおんどり。その声に、牛や豚、羊たちがとび起き、みんなで狐を追い出します。
昼間はおんどりの鳴き声に怪訝そうにしていた動物たちが、おんどりをたくさん褒めてくれます。あまりの嬉しさに、おんどりは…。
鳴き方を思い出すことができました!
「どうしたの?いつもとちがうじゃん。」「忘れたの?」「ちゃんとやってよ!」といった言葉よりも、「すごいね。」「あなたのおかげ。」といった温かい言葉をかけられた方が自分らしさを発揮できるのですね。
いつも通りにできなくても、上手くいかないことがあっても、温かい言葉で受け止め合えるようにしたいです。