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【読書】まねっこルビー(絵本)
歳を重ねるごとに、人と関わることの難しさを感じます。
学生時代、先生は「”学ぶ”とは”まねぶ”が転じた言葉。どんどん真似をしなさい。」と話していました。しかし、私が学生時代に一番恐れていた陰口は「〇〇さんっていつも△△さんの真似をしているよね。」というものでした。
「あなたにはオリジナリティがない。」「真似しないでよ!」「〇〇さんがすごく良いことを書いていたよ、読ませてもらえば?」「自分の意見とかないの?」「あなたもこれ好きなの?一緒だ!嬉しい!!」「その服似合わないかも。〇〇さんみたいな服着てみれば?きっと似合うよ!」
きっと、どれも正しい言葉なのです。真似することで学び、共感することで距離が縮まる。しかし、真似ばかりすると相手は嫌な気分になる。この”良い塩梅(あんばい)”というか、“状況に応じた対応”が、社会で生きていく上で求められているのだと思います。
そしてそれを学びそびれた私は、この歳になっても相手の話に無意味に同調して失敗したり、自分の道を突き進みすぎて協調性がないと言われたり、上手くいかない経験ばかりを積み重ねています。
『まねっこルビー』(作:ペギー・ラスマン 徳間書店)に出会ったのは小学生のときです。アメリカってお昼ご飯は家で食べるんだな〜、まねっこばっかりして変なの!という感想が強く残ったのを覚えています。
大人になってからもう一度読みたくなって、絵本を購入しました。改めて読んでみて、主人公ルビーの涙に胸が苦しくなりました。
ルビーは転校生です。ルビーの席の前には、赤いリボンをつけたアンジェラが座っていました。
“「みんな、あたらしいお友だちのルビーですよ」とハート先生がしょうかいしました。
「さあルビー、アンジェラのうしろのせきにすわってちょうだい。あの赤いリボンをしたのが、アンジェラよ」
アンジェラはルビーをみて、にっこりしました。
ルビーもアンジェラのリボンをみつめたままにっこりして、それから、そっとせきにつきました。”
ルビーが席に着くと、担任のハート先生はみんなに日曜日の出来事を聞きました。真っ先に挙手して話すアンジェラ。積極的な子どものようです。
アンジェラが話したのは、お姉さんの結婚式で花びらを撒く係をした、というものでした。
すかさず挙手するルビー。「あたしもおねえさんの結婚式で、花びらを撒く係をしました。」
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アンジェラは、偶然の一致ににっこりします。ルビーはアンジェラのリボンに向かってにっこりします。
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お昼休みに家に帰ったルビー。学校に戻ってきたとき、その頭にはアンジェラと同じ赤いリボンが付いていました。
「すてきなリボンね!」とルビーにささやくアンジェラ。ここから、ルビーのまねっこが続いていきます。
次の日にアンジェラの花柄セーターを見たルビーは、紫色のセーターに紙のお花をピンで留めたものを着ます。
その次の日は、アンジェラの虹色Tシャツを見て、白いTシャツに虹を描きました。
だんだんアンジェラの表情が曇っていきますが、ルビーは気付きません。
翌々日、国語の時間にアンジェラが詩を作って発表すると、ルビーも似たような内容を発表しました。
ついに怒ったアンジェラ。メモを書くとルビーに渡します。
“まねっこ!
ハートせんせいにいいつけてやるから!
ついでにそのリボン、ぜんぜんにあってないわよ”
初日にリボンを見て微笑んでくれたアンジェラから冷たい言葉を書かれ、ルビーは大きな涙をこぼします。
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担任のハート先生は、放課後にルビーへ「全部真似しなくて良いのよ。ルビーらしくしなくっちゃ。」と伝えます。にっこり微笑みながら「ルビーが大好きよ。」と話す先生。その先生の綺麗なピンク色の爪を見つめながらにっこり微笑み返したルビー。さて、次の日どうなったでしょう。
ルビーの爪には、ハート先生のようなピンク色の付け爪が付いていました。「先生はオペラを見に行きました。みんなは何をしましたか?」という質問に「あたしもオペラを見に行きましたー!」と話すルビー。前の日のハート先生のお話はルビーには難しかったようですね。
「うそばっかり!」と小さな声でつぶやくアンジェラ。完全に嫌われています。
そこでハート先生が「他に何かしなかったの?」と優しく聞きます。少し考えたルビーは、「あたし、スキップをしました。」と話します。
みんなはクスクス笑いますが、ルビーが実際にスキップをしてみせると、手拍子をしたりまねっこしたりします。そして、その日はアンジェラと一緒にスキップをしながら帰ります。
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”自分らしく”と言いながらも協調性を求められ、個性が強すぎるのは「承認欲求が強い」と言われてしまう社会において、上手に生きる方法なんてないのかもしれません。
せめてこのnoteの世界は、他の方々の記事から学びつつ、ありのままの自分を自由に出せる場にし続けたいなと思います。