シュールと思った科学者(石黒浩氏)は壮大な夢を持ち、やはりシュールだった
先日、河野大臣がご自身のアバターロボを遠隔操作して実証実験するというプレスリリースがあった。
この少し前には、イーロン・マスク氏もこんな発表を!
これらのニュースを見て思い出したのが、
Styxの”Mr.Roboto” どもありがっとミスターロボット🎵
ではなく(古くて若い方にはわからないだろう笑)、
以前購読した「ロボットと人間 人とは何か(石黒浩)」である。
著者は、この河野大臣による実証実験を担当されている方である。
割と前になるが、NHKの番組で石黒教授を初めて拝見した時は、失礼ながらちょっと…いや、かなり怪しい臭いを感じた。
巻頭にも写真を載せているが、初めてこの方をテレビで見たのがこの絵面だったからである。
初見では、NHKに出していいの?くらいに思ったのが正直なところである。ただ、それは見た目だけ(個人の感想です)のことであり、石黒氏はロボット研究における業界の第一人者であった。
もちろん、だからこそ前述の実証実験を任されるのである。
人にそっくりなロボット(正確にはアンドロイド)に違和感を持つ方は多いのではないだろうか。
もし自分のアバターが目の前にいたら、感動よりも気持ち悪いに違いない。そして、河野大臣が語るように「予算委員会で代わりに答弁する」ことができたら、一瞬便利なようにも思うが、そうなると自分の存在って何だろう、という気持ちになるかもしれない。
同様の話が、石黒氏本人よりも自身のアンドロイドの方が人気が出てしまったことで「自身のアイデンティティ」について複雑な思いになったエピソードが本書でも語られる。
これは思ったより深いかも💦
この投稿は本の解説書ではないので、自分として学んだことを2点あげる。
(1)「人間を知る」の意味・意義を知る
ロボット研究にも当然目的がある。
石黒教授は、人間と同じ機能を持つロボットを作ることで「心って何だろう」のようなことを解明しようとしている。そういえば、「心」ってどこにあるの?やっぱり脳の中?そもそも「心」って何?
つまり、自律性や心、脳と体の関係といった人間独特の機能を解明してからロボットを作るのではなく、仮説を立ててロボットを作り、実証実験を経て「人間」を解明しようというのである。
(正確に言えてないと思いますが、ご容赦を)
このようなアプローチを「構成的方法」と言うのだそうだ。
スマホやインターネットのようなイノベーションは、この「構成的方法」で生まれている。
理屈ばっかり考えているより、まずやってみろ!ってことかな(^^♪
(2)「ロボット社会の実現」それは、
「人間がどのように進化したいのか」
「人間としての生きる意味」の追求である
そう、(1)とも絡むが、教授はロボット研究を通じて、このような思いで「人間の未来」を創造しようとしている。この夢に向かって研究をすすめる熱意に圧倒され、本書を一気に読みすすめるに至った。
最後に、遠い未来では「人間は無機物から生まれ、無機物に戻ろろうとしている」と話されているが、ここは正直まったくピンと来なかった。
人間が無機物・・・?
このあたりは、固定観念のかたまり且つ文系脳の私の考えの及ばない世界だろうか・・・
数学・物理といった理系科目を極力避けて生きてきた私であるが、本書は全体として私でも十分に興味を持てたし、一定の理解ができた。
何よりも「AIやDXを学ばねば」のような強迫観念的な学びではなく、「夢」「面白そう」「ユニーク笑」のような興味で入れれば、楽しく学ぶことができそうだ。
いずれにしても、先進的だからこそ倫理上の問題を含めた課題や批判も多いだろうが「まずやってみる」ことで日本がこの分野で先導していくことを期待したい。この手の話は「デメリット」の話ばかりしてイノベーションの芽を摘む風潮を感じるので・・・
これからも石黒教授に注目です。
▼ 以下、要旨抜粋 ▼
最後まで読んでいただき感謝です。
購読したのは半年ほど前で、言語化したいと思いつつもできていなかったので、実現できて満足です。