No.1 ⛩"SFM"6分間のマイファンタジー🌈《はじまり編》
この物語は、ノンフィクションです。
登場人物は、霊感0%でスピ好き100%の『僕(早坂渚)』と、霊感30%のスピ好き70%の7つ下『後輩B』、
そして、
後輩と同級生の、霊感100%でスピに全く興味が無い『能力者A』の男3人による、「10年間の不思議な神社体験」です。
タイトルは、
『SFM』
この10年間をファンタジー小説として皆さんに届けます。
ぜひ、普段なかなか味わえない体験を一緒にしてもらえたら嬉しいです。
タイトルの『SFM』は、僕らの頭文字をとったものではありません。
もっと言えば、何の意味が込められているのか、私も分からないんです。
しかし、きっと意味があるはず。
そして、いつか解ける時が来るでしょう。
未来は全て決まっていますから……。
では、さっそく参りましょう!
最初に3人で行ったのは、『伊勢神宮』です。
3人は、出会ってからわずか1ヶ月後に、なぜか神社ツアーを決行することになります。
ここから不思議なファンタジー体験がスタートします。
ぜひ、楽しんでいってください🌈
とある10月の秋、ようやく暑い夏が終わった少し肌寒い季節。その日は気候も天気も旅行には最適な日だった。
出会ったばかりの僕ら3人は、電車に乗って伊勢市に行く。
目的は、
「ファンタジーな体験をするため」
世にも奇妙な動機だ。
いや、それをずっと前から僕は求めていたのかもしれない。
そもそも、3人の出会いは僕の元仕事仲間の後輩B君から、
「大学の僕の同期で、早坂さんに合わせたい人がいる」
と言われ、一度会う約束をしたのが始まりだ。
その彼の同期こそが、これからの旅に重要となる人物、A君だ。
後輩のB君いわく、彼は何かしらのファンタジー能力者で、スピマニアの僕に会ってみたいとのことを受け、ある日集まることになった。
占い好きだった僕は何人かの占い師と対面してきたが、彼に会った瞬間の不思議な緊張感と第一印象がまるでない、人間離れしたあの初めての感覚は今でも忘れない。
その時の不思議なエピソードはまた改めて話すとして……。
彼とはまだ会って2、3回程度。その初々しさのまま、今回の3人旅が決まったのだ。
当時の僕は、本で学んだスピ知識だけがある、いわゆる現実逃避でハマった頭でっかち。
実際にファンタジーな体験ができるとなれば、断わる理由は一つもない。
そんな好奇心に溢れ、未知との遭遇を求めるあまり、流れで今日この日を迎えたてしまったのだ。
「遅くなりました!! おはようございます! 早坂さん、お久しぶりです!」
能力者のA君と出会ってから、すぐ1か月後に旅行へ行こうと誘われ、今日この日を迎えた。
季節は10月。
この日は旅行シーズンで地元の駅の改札口にも人が溢れ返っていた。
早めに集合場所に来た僕だったが、時間になっても二人は現れず、遅刻のLINEが入り、40分過ぎた頃にA君だけが現れた。
しかも、初めましてから3回目ぐらいなのに、もの凄いハイテンションで彼が登場してきたのだ。
そんな彼の容姿は、身長が180センチ以上あり、長めのオシャレな前髪が特徴だ。白色をベースにジャケットをモデルのように着こなしている都会の若者。そんな印象だった。
(あれ? こんな人だったっけ?)
出逢った時、あまりにも印象がなかっただけに、軽く戸惑いつつも、能力者という一面が全く見えてこない今日の容姿に、内心、ホッとした。
能力者A「早坂さん、いきなりぶっちゃけて申し訳ないですが、B君とは大学の同期で今まで隠してたことがありまして……」
何度も言うが、僕とは出会って、まだ2、3回目。
そしてすぐ伊勢旅行という、極めて稀な状況。
そんなに話しもしていないのに、七つ下の彼は、テンションが高いまま笑顔で今から何かのカミングアウトを僕にするようだ。
能力者A「実は私、関西出身で、こっちがホントの自分なんです〜ww B君にはまだ伝えていないので、相当驚くと思います。今まで猫被っていたのでww 早坂さんと出会いましたし、きっかけとしてそろそろイイかなぁ〜ってww」
昔を知らない僕にとって、何のことかさっぱりわからないが、どうやら、この旅行で、大学の同期であるB君に素の自分をさらそうと決意した模様。
背が高くて能力者で関西人で明るくて……それにしても、未だに人物像が見えてこない。
とにかく、A君が場を盛り上げ、自分が話を聞くスタイルが。この数分で確立した。
すると、そこへようやく後輩B君が到着。
彼も、僕より少し背が高く、175センチくらい。イケメンの長めの黒髪ロングで黒色のパーカーとリュックを背負っている。
普段から見慣れた彼のスタイルだ。
彼はアクセサリー関係の仕事をしているためか、感性に優れている。だが、どうやら旅行だからといって、特別な服を着てくるタイプではなさそうだ。
普段はたまにご飯食べたりするくらいの仲で、後輩のB君とも、旅行は今回が初めて。
後輩B「遅くなりました。予定の電車に乗れなかったので、次のこれに乗って行きましょうか?」
どうやら遅れてズレた分の調整を下調べしてくれていたようだ。
能力者A「うぃーっ!! 久しぶりっ! とりあえず時間ないので、出発しましょう!」
後輩B「んんっ? なんかめっちゃテンション高くない?? 凄い違和感あるんだけどw」
能力者A「ごめん、今まで猫かぶってたw 今日からよろしくww」
後輩B「えっ!? どういうこと? いきなりパニックなんだけどw イントネーションも違うしw」
能力者A「ま、後から説明するわw 行きますよ、早坂さん!」
今回は、ファンタジーな体験ツアーだと気合いを入れてきた僕だったが、その前にどうやら二人の関係が新たに一新する日となりそうだ。
突如、不思議な三人の関係となってしまったまま、満員の電車に乗り込む。何とか吊り輪をゲットした三人は伊勢神宮に向かい、動き始めた。
想定としては、最初っからどっぷりとスピファンタジーの話で盛り上がるのかと思っていた。
しかし、今から旅行に行く3人が初対面のような変な空気に。
とりあえず、電車に揺られながら、二人の大学での話を聞いた。
僕「自分とB君は、前の会社の先輩後輩の関係だけど、二人は大学からの知り合ったんだよね?」
後輩B「そうなんです。大学2年の時に、大学の生徒会に入ったのがきっかけなんです。彼はこんな性格じゃなくて、普段から無口で大人しい感じで。でも、なぜか今、関西弁で喋ってるしww 自分が今一番焦ってますよw」
僕「確かにこの前まではそっちの雰囲気だったね。大人しい人って印象って感じで」
能力者A「驚かせて申し訳ない! ずっと隠して大学生活してたから。B君にはなかなか言いづらくて。僕にとって、大学生活は闇の時期でめっちゃ生きづらかって。やっぱ関西と関東はテンションが違うし、合わせんといかんなって、ずっと猫かぶってたんよ。やっと素で話せて嬉しいw」
後輩B「いやだって、在学中に能力があるってカミングアウトされただけでも充分驚いたのに次は関西弁ってww 全然知らん人と話してるみたいだし、何か複雑だわ〜ww」
話を聞くと、どうやら大学の在学中に仲の良い友達に「OBKが視える」とカミングアウトをしたようで、そのまま肝試しに行ったところ、ガチの能力者すぎて友人が離れていき、B君だけが残ったとのこと。
在学中と言っても、彼らにとって、つい2、3年前の話だ。それだけで、後輩のB君にとっては充分なカミングアウトだったが、さらなる混乱を今迎えている様子。
能力者A「逆に関西の友人にこの話をすると、お前が関西弁使わずに大人しく生活するとかありえんって言われるからww でも、多分B君からしたら驚いて当たり前だよね。僕みたいな雰囲気の人とは普段、友達にならんと思うしww」
後輩B「間違いなくならんねww 疲れるもんw」
能力者A「そうなんですよ〜。だから大学生活は隠してたんです。で、自分のことを何も知らない早坂さんと出会って、ついでにカミングアウトしちゃえーってなってww」
僕「まぁ何となく流れが分かったよ。とりあえず、今日から新たな関係ってことかww スタートから面白いねw」
後輩B「色々複雑だわ〜ww 早坂さん、よく分からん関係に巻き込んでしまってすみませんw」
僕「俺は、面白ければ、何でも良いからww それよりも、スピリチュアル好きだから、そっちの話が聞きたくてずっとウズウズしてる。今日は楽しみすぎて眠れんかったからww」
能力者A「そうでしたね、そのために、今日は3人で伊勢神宮に行くんでしたww では、そろそろそっちの話に話題を変えましょうか?」
満員電車に乗り込んで、どっぷりスピリチュアルな会話をしても大丈夫なのかなと少し不安が過ぎりましたが、すぐに人目よりも好奇心が勝ちました。
理由はもちろん、僕らだけが味わえる、ファンタジーフルコースの前菜が運ばれてきたからです。
僕「今更だけど、そもそも何で会ってすぐに3人で伊勢神宮に旅行になったんだっけ?」
能力者A「確かに、早坂さんに会ってまだ2回目くらいですもんね。そもそも早坂さんのことは会う前からB君から話は聞いてました。スピに詳しい人だって。人って、少なからず興味あってもなくても霊感はあるんです。ない人なんていないくらい。それからどうなのかな〜って興味持って。そして、1ヶ月前に実際に早坂さんに会って直接視てみたのですが……早坂さんは興味はあるけど全く霊感が無いんですww」
(な、なんと…?)
そんな馬鹿なだった。今、目の前で霊感がない人なんていないくらいって言ったばかり。そんな彼の口から「全くない」って言われているのだから。
それは美味しそうに並ぶ前菜を目の前にして、「あなたは食べる資格はございません」と言われているようなものだ。
能力者A「そうなんです。興味はあるけど霊感が全くない珍しいタイプなんです。普通は、何かを感じて、それに対して調べたり勉強したりするのですが、何も感じていないのに、見えない世界を熱く信じられる。言葉は悪いですが、いわゆる変わった人なんですよ、早坂さんってw」
変わった人=ただの変人。
そう、彼みたいな魔法使いから見たら、僕は、才能が一切ない、ただのマジャン。
毎日のように魔術書を研究しといて、いざ魔法を唱えれば、ただ帽子から折り紙の鳩が飛び出て「魔法が使えた」と喜んでいるただの変人なのだ。
僕「何それ? 凄いショックなんだけど……。神さまや守護霊さまを誰よりも純粋に信じて生きてきたのに霊感ゼロって……。少なからず、他の人よりはあるもんだと思ってた。本やネットで勉強もしてるし、毎日瞑想だってしてるのに……」
能力者A「ショックですよねw 私から視る感じですと、B君は霊感がありますし、一緒にそういう所に出かけても、たまに視えたりもします。ですので、彼はある方なんですが、早坂さんは霊感が全くないですね。でも、スピリチュアルに関して一番詳しいのは、間違いなく早坂さんです。私は、視えるのが当たり前で、その世界に全く興味がないので勉強もしないし、オーラや人以外のものを視えても、意外と何とも思わないんですよw」
後輩B「凄いですよね〜。視えるのに興味がないんですよ彼。僕も早坂さんと同じで、興味はあって、神さまと喋りたいし見てみたいですから」
能力者A「そうなんです。ですので、この3人で伊勢神宮に行けば、私の視えるものでお二人は楽しんでもらえるのかなと。大体の人は、怖がるか信じてもらえれないのでw 早坂さんの性格上、信じられる人だと思ったので誘ってみました」
僕「はい、間違いなく私は、人の話を一度鵜呑みにして家に持ち帰って考えてから消化するタイプ。神さまの話だろうと、すぐ信じちゃうね!」
能力者A「ある意味、この旅行に一番テンションが上がってるのが、早坂さんですw スピの話になると、毎回オーラが黄色に輝いてますのでw」
後輩B「わかりやすいですね〜、早坂さんw」
僕「凄い!! オーラとかサラっと視えるんだ」
後輩B「そう、だから彼に嘘をついてもすぐバレますよw でもこれ、もしかして興味があるから視えないのかもしれないですね? 彼は全く興味がないから視えるとか」
能力者A「それはあると思います。視ようとすると視えないものなんで。例えば、すれ違った人のオーラが黒と黄色だとして、お二人がもし視えていたら『あの色の意味はなんだろう?』って興味持ったり調べたりしません?」
後輩B「間違いなくするね」
能力者A「そうでしょw 僕の場合は『こいつのオーラは虎か』ってツッコミを入れて終わりですw 興味ないんで」
「「ww面白っww」」
能力者A「常に視えているとそんなもんですよ。いちいち反応してたら疲れちゃいますからww よくテレビとかで『私は視えます』とか言ってる人いますが、実際に視える人はそんなこといちいち言いません。人に言って変な目で見られるのを経験してるので、少なからず人を選びます。むしろ、普通の人の振りをしたがるのが能力者ですよww」
後輩B「これ、能力者あるあるだね、きっとww」
僕「うわー! こういう話を昔っからしたかった! 脅したり怖がらせたりしてお金を取ろうとする偽物ばっかで飽き飽きしてて! リアルな人の体験をずっと待ってたんだよー! 良かった今まで見えない世界を信じてきて! 今、最高に楽しい!ww」
後輩B「なんか全然年齢差を感じないくらい、無邪気に楽しんでますねww 神社に着いたらもっと楽しめんじゃないですかww」
能力者A「早坂さん、まだ始まったばかりですからww」
僕と彼らは、七つ歳の差がある。もともと僕は年齢のことを意識するタイプではないが、この二人とは全く持って同期の感覚。B君は普段から自分より落ち着いてるし、A君は能力のおかげで人生の先輩みたいなこと言うし。
しかし、ここまでの内容は、電車の中で話せる、言わば序章の序章。これは、あくまでファンタジーフルコースでいう、前菜が運ばれた程度にしか過ぎないのだ。
それに、まだ彼の能力がどのぐらいなのかを知らない僕らにとって、シェフの味付けや今日のコンセプトを少しだけ味わえたのかなぐらい。後で振り返ってみれば、この時はまだそんな会話だった。
3人は、日常の空間に居ながらも、異世界の話に盛り上がりながら、伊勢神宮へ向かった。