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[書評,要約]10分で名著(著 古市 憲寿)[感想,批評,レビュー,あらすじ]


古市 憲寿さんと見出しの本に詳しい人の対談


 有名な本を要約してあるの本である。読んでみたい本もあったので手を伸ばした。個人的に興味がある本の要約の、感想と要約を記事にする
 古市 憲寿さんが見出しの本に詳しい人と対談し、それを文字に起こしたという様式になっているので、読みやすい

紫式部 源氏物語(談者/大塚ひかり)

 身分が高く、見た目にも恵まれた光源氏が多くの女性と関係を持つという話である。光源氏は選び放題の身分だが、あまり可愛くない女性も憐れんで捨てなかったと書いてある。好き合った男女が関係を保てなくなっても、また新しく好き合える人間は居る、というメッセージがあるのではと締めくくられている。原文を読んだわけでないが、読み物として面白そうだと感じられた

プルースト 失われた時を求めて(対談者/高遠弘美)

 ものすごく長く、物語に挟まってくる読書論や芸術論、ドストエフスキーやベートーヴェンの話を楽しむ本であるようだ。重要でないシーンにページを費やしているので、読みにくい一面もある
 有名なマドレーヌの話についても言及してある。紅茶に浸したマドレーヌの味で忙しい日常を抜け出し、主人公は母が寒い日に出してくれたマドレーヌを思い出す。このような夢想に浸る瞬間は誰にもあり、誰でも自分の内部の世界を持っている。内部の真実こそ重要である、というプルーストの創作手帳に挟まった言葉から、プルーストは人間の内部世界に主題を置いているのではないかと書いている

アドルフ・ヒトラー 我が闘争(対談者/佐藤卓己)

 一巻はヒトラーの自叙伝的な内容で、生まれ、画家として暮らした日々、第一次世界大戦での従軍、ナチス党への入党へのきっかけが書かれている
 二巻はナチス党の政策について書かれている。反ユダヤ主義や反共主義についてである
 二巻に書かれた大衆宣伝については現代でも見本にされる。ヒトラーは文筆家による影響力よりも、演説家が話した言葉の方が大衆に影響すると著作の中で述べている。ナチ党は大衆を相手にしてプロパガンダを広めた。インテリを相手にせず、大衆の感情に訴えかけることで支持を集めた。大衆はものを考えず、信じやすいという心理のもとである
 我が闘争では教育論についての言及もある。ヒトラーが生きた第二帝政からワイマール共和国の時代は、階級社会であり、生まれが出世に影響した。才能に恵まれたが、教育を受ける機会には巡り合えなかったものを見捨てるというのは、国益を損なう。その状況を知ったヒトラーは、ナチス党ではいかなる階級の者でも能力に応じて出世の機会を与えた。ナチス党が政権を獲る前のドイツの社会党は、野心があるものの生まれに恵まれなかった者が出世するルートを作っていた。ヒトラーはそれを手本にした
 宗教に関してはこうある。ナチス党はキリスト教を敵視していたが、カトリック教会をナチズムの組織作りの見本にした。ミサを歌うというは身体的な連帯を生む。神父が妻帯しないのは、教会の中から優秀な若者を抜粋できるきっかけになり、優秀な司祭が生まれる
 以上の理由から、当時のドイツの国民が抱えていた不満をヒトラーは解消することができた
 ヒトラーが作った真実の時代は、真実はこちら側(ナチス側)にしかない、検閲や取り締まり、迫害はその真実を基に行われている。ナチス党が作った真実しか認められない時代ということである

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