朝焼けに飲む少し焦げたコーヒー 昼の青空の下で緑の香りをまとった風 夕暮れにキスをした月夜でピザを一切れ 今日も愛おしい夏の夜
表情をうまく読み取れるより、 あの人の心を読み解きたい。 声をうまく聞き取るより、 あの人の歌声だけ聞いていたい。 ケーキを12個も食べるより、 あの人と一緒にパンケーキを作りたい。 いずれも夢の中でしか起きないことではあるけど、 夢に見るだけなら、何も壊れないのよ。
灰色の森と 赤色の海と どっちがいいと聞かれたら 紫色の空でもいいから羽を頂戴と 答えるでしょう。 森をも海をも超えて行けるのならば 空を飛んだほうが早いんだもの。
ほろ苦いチョコじゃ喉に詰まるだけだから うんと濃くしたコーヒーで流し込んで 甘さが足りないなら、薔薇型の砂糖菓子をあげるから そのまま、キスしてね。
膝小僧にガラスが刺さったらもう抜けないし、 爪が薔薇の棘で避けたらもう治らない。 髪を短く切って、それでも鳥に狙われるなら坊主にしちゃえ。 恋愛で心を何度も壊されるより耐えれそうよ。
コンビニで流れる流行りの甘ったるい歌を 気づいたらおにぎりを選びながら一緒に口ずさんでいて それに気づいたあなたがお茶を手に取りながらこっそり合わせてきて ゆったりとした気持ちのいい幸せが もっとずっと続いて欲しいと願う。 何十年先も一緒にいるんだろうな、と 思ってしまう。
薄いピンクを唇に引いた朝のキス 真っ赤な口紅で描いた笑顔のキス 深い紫で妖しく誘う夜のキス 一つ、一つ 少しずつ 貝で作った毒を唇から舌へ 少しずつ、少しずつ 喉に張り付くように、胃を黒く腐らせるように 毒を愛と称して 少しずつ。
「あなたは覚えているだろうか」 この一文が最後となった 何年も前の歌声がおさがりのラジオから聞こえて さぁ、どうなんだろうと思った。 あなたは覚えているだろうか。 私への愛情を。 私からのキスを。 歌にはできないから、 せめてもと、あなたへの手紙を スケジュール帳の隅に書き綴る。
洒落た香水も 一昔前のワインも 可愛い口紅もいらないから 暖かい香りがするあなたの首に顔を埋めたい。 必死に入れたコーヒーがほろ苦くて、笑いながら飲む朝を迎えたい。 ゆるく指を絡めて散歩に行きたい。
夏のあなたはかっこよくて 秋のあなたは優しくて でも春のあなたを私は知らなくて 冬のあなたはここにいない。
くちびるかみしめはしりだせ てゆびにぎりしめさけびだせ あしがもつれようとも いきがきれようとも 生きて生きて生きていけ 恐怖を抱え、孤独を壊し、 守るため生きるため くちびるかみしめはしりだせ てゆびにぎりしめさけびだせ 逃げ出せ、助けを探せ 生き延びて
夢から覚めるひととき前に 聞こえた気がしたけど、やはり気のせいかしらね 夢から覚めたひとときの合間に 言うてくれたと信じたいけど、無駄なのかしらね 好きって囁いて、ほしいだけ。
愛することは終わらないのに 愛されることは終わってしまう
手についたアイシャドウ 口元に拭いて 爪にこびりついたルージュ 睫毛で擦りとって 指先に塗り残したチーク 舌に乗せて あなたの目に映っていないようだから 一つ一つ あなたが拭き取ってね
流れる気持ちに身を任せていたら 深い森の中に紛れ込んで 鳥の儚い声でさえ届かない場所にたどり着く。
溢れ出る涙を瓶に詰めて海に流したら いつかはあなたに届くのかしら 狂おしいほどの愛を、心臓を割いて出したら ごぼごぼと溢れ出るのかしら
おかえりというあなたの腕に包まれたくて 走って走って帰るの ただいまとあなたに言ってその口でキスをしたくて 走って走って帰るの
恋する前は 愛は笑顔だけだと思ってた 恋した後は 愛で泣くこともあるのだと知った 泣くほど悲しくて 泣くほど幸せで 泣くほど愛おしくて 恋する前は 愛は幸せだけだと思ってた 恋した後は 愛は想像できないほどの幸せであることを知った
一生という嘘も 明日という嘘も 過去だという嘘も、もういらないから 今この時愛しているという嘘だけついて
何気ない一言は 錆びた矢のように鋭く、腐り 一言を何気なく放てるぐらい無知なあなたは 水のように毒を飲むのでしょう
時が経ち 気持ち薄れ 忘れ 思い出積み重なる 時が経ち 気持ち重なり 一枚、一枚、色が褪せて インクも擦れて消えて けれども 一枚、一枚と重さは増え 思い出沈む 涙の奥底に 時が経ち 振り返り ページめくり 思い出溢れる あの日歩いたことは忘れても、 愛情は、消えはしない。
胸の間に、さよならを囁いても聞こえない 臍をなぞりながら、すきだよを呟いても聞こえない 目を見て耳で遊んで唇を摘んで そうして吐き出すあいしてるしか聞こえない
桜色のシャツと、すみれ色のスカートで かわいく歩くあの子にはなれない たんぽぽ色のジャンパーと勿忘草色のズボンで あなたの横で歩くあの子になりたい
一人でいることもあるけれど できるならば独りではいたくないの 一人でいることもあるけれど できるならば二人で歩きたいの 裸足で砂利道踏んで、二人で「痛い」と笑って 裸足で草の上走って、緑色になった足の裏を見てまた笑う 一人でいることもあるけれど、 できるならば、二人で。
戸棚の奥に隠した宝箱 開けるとそこには子供の頃の思い出と 愛と 信じる心。 そこに紛れ込むように、そっと入れる。 あなたへの感情を、そっと入れる。
声は鯨に 目は鮫に 耳は海豚に、与え、 足は鷹に 腕は梟に 胸は雀に、奪われ、 愛と哀は 髪に編み込んで、隠し、 あなたに見つからぬよう、 息を潜める。
雨が降るから地は固まるけれど、 雨が降っても染み付かない。 雨が降るから川は流れるけれど、 雨が降っても溶けはしない。
ありがとうも、ごめんねも、いらない 「あいしている」をもう一度聞きたいの 留守電にすら残してくれなかった あなたの声を、もう一度、もう一度。
確かに、あの日 花火で浴衣の裾、焦がして 芝生に浮く雨粒で足元濡らし 高く結った髪に、花の香りが絡みとられていたわ 全て確かに起きたのに、目を閉じなければ思い出せれないの 全て目を開けてしまえば、夢の奥底に沈んで 心は溺れて また、忘れてしまうの 確かに、あの日 恋したはずなのに
耳元で揺れる羽をあなたは捥ぎ取った あなたの鎖骨を流れるようになぞる、その煌びやかな鎖 どう壊してやろうかしら
夕暮れに溶ける歌声 レコードに刻んで 明日の夏空に雲を流す 山奥の川に魚を泳がせる 明け方に映える笑顔 フィルムで切り取って 明日の夏夜の月に貼る 森の奥の木陰で鳥が舞う
ゆっくりと、煙が溶けるように消えてく 儚いかさぶたを残したくて、何度も引っ掻く 唇の感触忘れたくないわ もう一度、耳元の髪をかきあげるその指で、触れて欲しくて
桜咲いて 海が吠える 木枯らしで影が揺れて 愛は雪に埋もれるけど 思い出を陽が温めて 心に空いた穴が涙で池になり 陰を落とす雲が夜に溶け 愛は雪の下でもう一度根を張る。
否定されても 認められなくても 一人でも味方がいるのなら 心は砕けないんだ 嫌われても 相手にされなくても 一人でも愛してくれる人がいるのなら その人のために強くなれるんだ
くちもと寂しいのなら 煙草じゃなくて飴はどう? 甘いもの寂しいのなら 飴じゃなくてキスはどう?
あきらめろ あきらめろ あきらめな。 あきらめろ あきらめろ あきらめたらどうだい。 あきらめろ あきらめろ あきらめなさいよ。 あきらめろ あきらめろ 諦めてたまるか、私の人生だ。
一つ一つの思い出を箱にしまうことも 煙に隠して忘れることもしないわ 積み重ねて、本のようにもう一度読み返して 舌で砂糖菓子を転がすように、幸せを味わうのよ 何度も、なんども。
ふっと振り向いて すっと落ちて ころっと転がる あなたのもとへ
一目惚れ、天国まで登ったかと思った。 恋に堕ちたんだということに気づいたのは、地面から這い出た時だった。 這い出て、気づいたんだ。 今まで私は地中の奥深くに閉じこもってた、と。 天国なんて程遠い。 あなたなんて程遠いのよ、手が届くわけないじゃない。 私のところに落ちてこないかしら
私の朝ごはんは あなたからの手紙 黒ヤギさんからお手紙届いたかしら 毎朝ポストを確認する。 今日の朝ごはんきてるかしら。
涙が空を飛び 笑いがサメに食われ 怒りはモグラに叩かれた。 わたしの肌を燃やすあなたの声は 鳥の卵とともに蛇に食われてしまえばいい。
戦争は夕日のマーチング 祈りは朝日のあくび キスは昼の笑い声 夜中の月が最後に吠える言葉は謝りの挨拶