島に流れ着いた少女が島の儀式や性差によって言語を変える風習を不思議と感じながら,歴史の闇を知り容認していくところに,日本のゆがみに気づかされた。台湾もそう,二言語の時代があった。男が戦争をはじめ,社会を壊す。女性リーダーによる統治時代がもう近い #彼岸花が咲く島 49/115
ボケなのかマジなのか。のっけからヘン。マグロと恋愛した夢をみた..とはじまるのだから。電話でそそのかされ「うーみーしーばーうらっ」まで電車で出かけていく私。ブレードランナー×沖縄が三重県のコンビナートにつながる不思議。最後までキレよく痛快だった 第111回 芥川賞 39/113
家族は痛い。聞かれたくも触れられたくもない。一方,汚れたアカをほじくり出して臭いごと差出してみたり。崩壊家族が映画撮影に再会するが,それぞれ役割を演じる中, チクリと刺さった棘がぬけない,そんな物語。 私的な断片さらけ出す著者,苦手だが避けられない。116回 芥川賞 41/113
スナックの女たち三人を連れての沖縄離島への厄落としの旅。正吉は亡き父の風葬に心を遺し、島唯一の民宿に泊まり、豚にあたった女の下痢や懺悔の言葉を自ら引きうける。「試練がないと悟りにいたらない」「人間にすくうのは人間」深い業が透けてみえる。 #豚の報い #芥川賞 38/113冊
大学サークルの先輩と草むしりをしながら,とりとめないよもやま話。30代男女の再会だが,どきどき展開はなく,哲学やイルカ知能についてビール片手に語り合う。いいなぁこんな関係。たった数時間の濃密な時間,なんでもない日常こそ貴重なんだな。133回 40/113冊 #この人の閾(いき
ここはアルゼンチンか、はたまた戦後の港町か雪国か。郷里のうらぶれた温泉ホテルに戻った男と、視力と記憶を過去におき去った老女。降りしきる雪の夜、タンゴを踊り続けるふたり。#ブエノスアイレス午前零時 を聴き浸るとさらに哀愁漂う。抒情詩みたいな短編。藤沢周二 第119回 芥川賞
ボクシングなんて!憎んでもいない相手を叩きのめすなんて!と満島みちる #未来への10カウント 同様思っていた。対戦相手を意識するあまり仲良くなる逆夢を見るだの,キツい減量で大嫌いなラーメンですら腹一杯喰らいたいだの,リアルな棘が刺さる。決戦前にストンと完,あぁ潔い。#芥川賞