呟】狂言の大名や山伏などは 腕を開いた姿勢で出てござる 彼らは立場として偉いと云うことを示してござる そのお偉い方の名乗りの語尾はござるにあらず 「大名〜です」 となりなんとも丁寧で笑いの起きることもござるがこれは現代の丁寧語ではなく「で候(そうろう)」を縮めているそうでござる
呟】秋の代表的な狂言の一つ萩大名はその名にあるように萩の花が出てまいりまする 萩は秋の七草にも数えられるほどの花ではござれども、これまでその花を意識したことはござりませなんだ 狂言では赤い花が落花した様子が描かれてござるが思うよりは淡い赤むしろ薄赤紫色でござろうか
呟】狂言の演目では主役をシテと云い その相手役は一人でも二人でもアドと申しまする アドは挨答と表記され、シテに返事をする者と云うような意味でござる 大名狂言では大名がシテ、従者や他の者はアドとなりまするがシテのみでは成りませぬ アドシテ皆が自身を全うすることで狂言なのでござる