#うどんの勘 外食中に後ろを誰か通ると落ち着かない。 うどん屋の座敷で冷やしうどんを食べる。とても美味しい。 だが、店内が狭いため、奥の客も店員も僕の後ろを「すみません」と通っていく。その度うどんが喉を通らない。 幸せを誰かに邪魔されないようにする動物的な勘を感じる。
#正月休みの魔力 お正月休みの魔力にかかっている。 こんなにぐうたらが似合う日があるだろうか。ひたすら食べて飲み、まどろんでいる。 何かを決めようとするのに力が要る。面倒臭い。 外出しても寒いし、混雑してるしとかって理由づけをしている。 なくなってしまうぞ、正月!
バスの窓からスーパー入口が見えた。 自動ドア横の消毒液交換が終わり、店員が固定している。 誰のため?お客様のため。 バスでお尻がへばりついた、間接的な僕も、その店員さんから見たらお客様の一人。 利害関係ばかりで博愛の精神が少し足りないのは僕だと思った。
#会いに行く 今朝はキリリと冷えて、とても寒い土曜。 そんな中でも車は通り、宅配便屋には荷物依頼の人が並び、酒屋は開店準備を始めている。 街はもう動き出している。 生活というのは誰かが誰かに会いに行くことなのだなと、ぼんやり感じる。 さて、今日は誰に会いに行こうか。
#トイレへ加速 黄色信号でもスピードを上げて、バスは交差点に入って行く。加速を怠らない。 走り過ぎたのか、次のバス停で定刻待ちを何分かする。 そして、また唸りをあげる。 次は僕の降りるバス停だ。急な左折! 何だか急ぎっぷりがトイレを我慢しているようにしか思えなかった。
#小さな幸せ 晩御飯の鍋を朝から楽しみにしている。 小さなことだが、明日も休みな分、どれだけ幸せに食べられるかだ。 大金を動かすとか、絶世の美女に会うとか、みんなを侍らせるとか、そんなことはどうだっていい。 小さな幸せをいくつ集められるかに人生はかかっている気がする。
#倉庫が命 僕は倉庫好きなのだと思う。 遅い年賀状を出しに行くと、ご近所の裏の古びた倉庫を見た。 ペンキも剥がれて、お決まりの引き戸で、何か不要な物が入っているのだろう。 その暗闇感と人の寄り付かなさ感で溢れる。 特撮も刑事物もサスペンスも倉庫が命で静かに興奮する。
#お決まりの味 お決まりという言葉が好きだ。その居心地の良さにうっとりする。 お決まりのミックスフライ。今日も食べられて良かった。味も変わらず、ここに戻って来られて嬉しい。 実家もこういう感じではないだろうか。時間が止まっている。 いつまでも止まっていて欲しいと思う。
#食欲は原動力 昼御飯にはこれを食べると思いながら仕事をする。 その願いが叶い、食べている時にふと冷静になる。自然と心が落ち着いていくのに気付く。 食欲はやる気にもなるし、やけにもなれる。飼い慣らせると、僕らの原動力にもなれるのか! 子供の時から始まる長い戦い。
#祈り待ち 今は祈って待つしかできない時間は確かにある。 遅刻した電車の中や入院前日、入試前日、仕事でミスして誰かが代わりにカバーしてる時とか。 もう何か新しく始める場合じゃないし、自分本位で動いても揉めるだけ。 コマンド?じっとしている仕事。 必死で耐える時なのだ。
#温泉背徳感 温泉地に来ると、若い男女がバス停で待っている。二人は風に吹かれても楽しそうだ。 リゾートは南国のイメージな分、温泉は山沿いにあり、どこか影を背負った感じがする。 でも、そんなところが良い。 どこかで自然に還ろうとするのか?背徳感を感じに帰って来てるのか?
#誰も気付かない常連感 同じ旅館に「帰って来た!」と思う瞬間に、wi-fiが自然につながった時ではないだろうか。 何だか旅館の人に挨拶されるより嬉しくなり、誰も気付かない常連感を得る。 忘れてないでいてくれて有難う。 フロントから電波が強いと、何故か浮かれた気分になる。
#三日の年賀状 正月も三日を過ぎた頃、ようやく重い腰が上がり、年賀状を作り、夜のポストに出しに行く。 毎年の恒例行事。この時の冬の空のきれいなこと、寒いことを一年振りに思い出す。 何か成長したのかとも思うが、まだ出しに行ってる時点で大丈夫。 また来年同じことをする。
犬を連れたおばさんと女性が出会う。 当たり前のように犬同士は見つめ合い、互いを知ろうとする。 二人はその様子を見て、知り合いではないのに話し始める。お互い絆が芽生え始めている。 ある意味犬と人間のマッチングアプリ。 アプリがない僕は通り過ぎる。 #犬人マッチングアプリ
#おせちで笑う おせち料理は冷たいのが多い。蒲鉾も栗きんとんも、田作りも。お雑煮を食べても体は冷えてしまう。 でも、新年早々バカなこと言いながら、笑って食べる時間は温かい。 昔の人は揃って夜作ったおせちを食べながら、賑やかな雰囲気を味わったのだろう。そんなことが幸せ。
鬱屈とした気持ちを抱えながら帰ると、誰かに聞いて欲しいと思う。だが、その熱量は自分が思うより果てしなく高い。 帰って数分で怒鳴られる。 昇華できなくなった僕の思いはすぐに怒りに変わる。 働けど働けどなお我が暮らし楽にならざり。意味を変えて納得する。
#折角だから お正月の準備でスーパーは人がごった返している。 普段は並ぶことのない海老やアワビなどが幅を利かせている。 様々な日本酒の前でぼんやり見ているお父さん。 「折角だから」という大義名分でみんなが買い物を進めていく。何だか笑ってしまう程、人間味があるこの時期。
#年末の仲間 年末の夜の街は人通りも車も少ない。 まるでみんなが集団で旅行に行ったような気さえもしてくる。 コンビニスーパーに入ると、同志が割と沢山いて、みんな同じと少し安心する。 品物たちも年越しをする準備をしている。年末売り切れる生鮮食品は何だかいつも羨ましい。
誰も食べなくて、冷蔵庫に冷えていたスーパーの焼き鳥。 温めて、真横一文字に串を頬張り、肉を引き抜く。 その時に口の両端が汚れた方が美味しい。動物は串を使わないはずなのに、動物の野生の勘が僕に戻ってくるみたいだ。 行儀がいいというのは何かを我慢してる。
#無断でお宅訪問 小田原厚木道路を走ると、トンネル上に家が建てられてるのが面白い。 車でお宅訪問を無断でやってるみたいだ。 神奈川県に入ると、山の斜面に段々に家が 増える。 山や丘の上で暮らすのもリアルであり、生活はそのまま。人の生活は何十年も変わらないのが面白い。
#納税見守りおばちゃん 期限が近い固定資産税。用紙を見ると今日が期限だった。 コンビニレジの機械に一万円札が吸い込まれていく。 後一枚となったところで、レジのおばちゃんは収納印を徐ろに手に取り、力強く請求書に押し付けた。 途中で僕が逃げることはないと分かったのだろう。
#年末年始急足 年末が近付くにつれ、みんな急足で生活を始める。 夕方は我先に感が強くなる。気が付けば、職場は閑散としている。街も人の移動が速い。 暑いとこうはならない。 年末年始は自分の秘密基地に帰るような、孤独感が醸し出される。 それが特別であり、どこか何か寂しい。
#コインランドリーシェルター 年末朝のコインランドリーは空いている。一台稼働しているだけ。 整然と並ぶ洗濯乾燥機の蓋を開けると、金属製の入口みたいでどこかにつながっているようだ。 誰もいない場所の薄っすら暖房もちょっと怖い。 飲み込まれた洗濯物はワンワンと乾き始めた。
#願ってもない先輩面 歳を取ると人生の先輩面したくなったり、せねばならない切迫した場面が増える。 年輪を重ねても細い木々だってあるはずなのに、みんな大木を期待するし、自分も大木でありたいと思う。 普段会わない人に会う年末年始、特に取り繕うことが多くなる。よそゆきの顔。
#クリスマスの戦い ケーキ屋に次々とお客が入って行く。 いつもならショートケーキが少し残るだけの時間なのに、今日はいつもと違う。ケーキも輝いている。 蕎麦屋はいつも通り開いている。 コンビニもエスニック料理屋も電飾が煌びやかだ。 蕎麦屋は虎視眈々と数日後を狙っている。
#秘密基地ガソリンスタンド 洗車しにガソリンスタンドへ来た。 時間待ちのため、店内でぼんやりしている。何故か子供の時から店内は悪の巣窟っぽく思えてくる。 きっとショッカーの秘密基地みたく見えるのだ。割と薄暗目だし。 ライダーを見た子供の時の想像力はいつまでも続いてる。
#美容院の年末 年末の美容院は混んでいる。美容師はみんな複数の客を回している。 トークもいつの間にか切り上げられ、僕はずっと独り言を喋っていた。恥ずかしい。 無駄がないので、あっという間に終わってしまう。 切られた髪は兄ちゃんに沢山踏まれてどこか行った。何だか悔しい。
#話題選びは慎重に 三人でしばらく話すと、絶対に一人は付いていけない思い出話になってしまう。 まあ、基本的に思い出話で共感するのも難しいのに、二人だけで分かる人間関係まで絡んでくると、もうダメだ。 取りこぼされないように食らいついても、さすがに知らない人じゃあなぁ。
#午前6時のブランコ 午前6時の小さな公園で、ブランコを力一杯漕ぐ男がいた。 反動を使ってさらに高く伸びる。 顔は楽しそうに見えたが、きっと何かあったのだろう。意を決したのか、意を決せなかったのか。 普段やらないことを妙にやりたくなる時がある。男に幸あれと強く願う!
#時間感覚が全く 時の経つのを忘れているものの代表格は、散髪と足の指の爪切りだ! ごつく伸びれば伸びる程時間は経つのに、自分の時間感覚が全く追い付いていない。ついこの間と思う。 髪も足もなかなか見えづらい。それが小さく積もり積もって大変なズボラを引き起こすのだろう。
#話したい人聞いてもいい人 世の中話したい人がいる一方で、聞いてもいいかなと思う人がいることで成り立っている。 前者は割と話が長く、同じ種類の話が繰り返されることが多い。 そして、聞く人はあまり本腰入れて聞いていないから、何とか上手く回っている。 話す人は気付かない。
同じバスに乗ると、人の行動特徴に気付く。 二人席を一人で占領するおばちゃん。 華奢な女性の隣限定で座るスキンヘッドの大柄な男。 後部座席に座る男、僕。 みんな毎日必ずそうするから笑ってしまう。 魂胆は必ずある。気付かれないようにする。だが、バレてる。
#着てればいい 仕事着に自己流がある人をたまに見る。 診察室の医者はジーパンだった。 サラリーマンだがよく見ると、登山ウェアのパンツ。 頑なにスキニー。 半ズボンが冬でも欠かせない人。 色んな人がいて思うことがあっても、お互い何も言わない。人間着てればいいでよいのだ。
好きなことやろうと様々な媒体で文字が並ぶ。 今は瞬時に世界の隅々まで知れる。無数の中から趣味も探せる。 だが、ネットもない時代は数少ない活動で楽しいと思ってたはず。 暗闇の中で寝るしかなかった人たちこそ充実した毎日を過ごしてた気がする。 現代は切ない。
会社でもらった金券を使うため、期限最終日夜のコンビニへ向かう。 全台セルフレジにし、店員さん一人が品出ししてる。 そんな中、煙草やお酒のため、度々有人レジに戻さないといけない。少し苛立ってる。 僕は金券とともに、ポイントを付けるのも気が引けた。
#電池は生き物 電池式の髭剃りを使い続けている。 力強く剃ると振動が力尽きる。電池が切れそうだ。スイッチを押し、残りの力を振り絞らせる。 子供の時、電池は充電後が一番速いと聞き、ミニ四駆を逆さにして電池を一度切らせていたっけ。 力尽きそうな電池は生き物そのものだった。
#休日の無防備 土曜の朝は資源ゴミの日。 自転車で走ると、みんなが空き缶を箱に入れている。 見た男の人は盛大な寝癖だった。さっきまで寝ていたのだろう。 一週間空き缶と共にする運命を避けるために寝癖のまま出てきた。 そんな僕もさっきは同じ。 休日のゴミ捨ては無防備だ。
#むずがるのは大人も 1歳くらいの女の子がバスでむずがっている。 自分は立つ、席はここじゃない。 みんな黙って聞いている。 何だか大人がこぼす愚痴とあまり変わらない気がしてきた。本能や直感に従い、言葉に出して怒る。 年を取っても心がむず痒いから、争うのではないだろうか?
館山の大好きなスーパー銭湯。 高濃度炭酸泉温泉が特に体に合った。 効能は血行促進などと書かれている。実感はないが、信じてみたくなる。汗が吹き出す。 世の中実感がないことばかり。その中で信じることが明日へとつながる。 湯上がり後、ノンアル炭酸で清める。 #その中で信じる
#もしかしてみんな 急にサイレンが響き渡り、前方のUberのバイクを白バイが追いかけて止める。 Uber運転手はおばちゃんで、光るスマホを首からぶら下げながら、高らかな声で笑う。 数分でまた走り出したが、また手元のスマホを操作している。 また白バイは音を出し、追いかけ始めた
三連休が影響するのか、金曜朝のバスはいつも乗る人が何人かいない。 四連休を計画しているのだろう。 いつもの同士がいなくなったようで、少し寂しい。いつの間に仲間化してたのだろう? 連休はどうせ明日から休みだしモードを早くから作り出す。嬉しい。
顔を洗うと、一時間遅れの時計表示が輝いていた。 なんてこった! 昨夜スマートスピーカーに喋ってかけたアラーム。魔法の言葉がいまいち思い出せない。 それより走らねばならない。いつと通りのルーティンは無駄も含んでいたことに気付く。 無駄こそ、ゆとりなのだな。 #魔法の言葉
NHKホール開場前に代々木公園にいる。 イベントが幾つもあり、大爆音で音楽は流れ、フットサル練習し、ツリーが飾られ、多くの人が行き交っている。 よくこんな盛り上がってるもんだと田舎者は感心する。 みんな平日頑張るためのエネルギーを溜め込んでるのだ。 #溜め込む代々木公園
たっぷり寝た後で目を覚ますと、同じ日常。 また昨日をぶり返しそうになるが、グッと我慢する。 これが、起きたら温泉宿だったとか、せめて日曜だったら気分も違うが、そんな簡単に日曜はやってこない。 いる場所が度々変わる旅人になりたいと思った子供の頃を思い出した。
お腹が空いたので、お酒を飲みながら回転寿司を注文する。 リクエスト通りに届けられる寿司を高いレーンから取る姿勢がスクワットっぽくなる。割とトレーニングになる。 最初順番待ちで苛ついていても、食べてしまうとそれまでが嘘みたいになる。 満腹はとても寛大だ。 #満腹は寛大
信号が変わり、大勢の人が待ってましたと歩き始める。 その側には、警備員のおっちゃんが口をつぐみ、ムスリとした表情で動かない。 勤務開始の7時までのあと数分を大事にしているのか。 人間の表情でこのムスリが、何故できたのか分からない。威圧だけとしたら無駄だな。
秋の交通安全週間らしく、アピールするように週末は交差点に警察官が立つ。 やれ、横断歩道に人が通る時にピー、曲がってよしピーというように、やたらと笛を吹きまくる。 そんなのは知ってると言わんばかりに、車は渋滞する。 気まぐれでやられてると思うとピーだ。
口内炎と恋は似てる。 深く傷付けた瞬間からしばらくその傷が痛む。 治り始めた頃から痛みに慣れて、当たり前のように思える。 だが、急に滲みたりして、その傷を大きく思い出す。後悔する。早く治れと切に願う。 治った後はニアミスでもしないと思い出さない。 #口内炎と恋は似てる
くたびれた食洗機から、新品のコーティングされたビニールが剥がれてきてる。 傷が付かないよう放っていた。 CDのビニール、新車の座席ビニール、リモコンもそうか。 新品はビニールで守られ続けてる。僕らはその後も守り続けてる。 今日は汚いので思い切り剥がした。 #ビニール解放