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第一次世界大戦の勃発に至る英独関係の歴史を記したThe Rise of the Anglo-German Antagonism(1980)の紹介

かのバイエルンのルードヴィヒ二世も同性愛者の暗愚の君であるという点がヴィルヘルム二世と共通しているが、彼等は同じような価値観を持っていたのだろう このドイツは政治不安の要素しか存在しない いや、それはこの時代だけの話ではない ドイツには伝統的に宗教しか存在せず、政治など無かった

同性愛者で白人至上主義者のヴィルヘルム二世は、カトリックなら確実に問題視される存在である とはいえ、プロテスタントには白人至上主義を肯定する派閥もあり、同性愛を肯定する派閥もある ヴィルヘルム二世はプロテスタント教徒であったので、彼の性質は存外に問題ないかもしれない

ヒトラーもルードヴィッヒ二世やらヴィルヘルム二世やらと同じような価値観を持っていたことは説明不要だ こうした民族主義者がゲルマン民族至上主義を唱え、一次大戦と二次大戦を引き起こしてヨーロッパ全体を破壊した 産業革命のイギリスが近代を造り、民族主義のドイツが近代を壊したわけだ

ヴィルヘルム二世もルードヴィッヒ二世も貴族として生きるには軟弱に過ぎて、妄想の世界に逃避することを繰り返していた 今でいうメタバースに嵌る引き籠りのアニメオタクである ヴィルヘルム二世には女装趣味があったらしいが、メタバースでも男性が女性の3Dモデルを使うことが多いらしい

坪内隆彦「中国脅威論の背後にある黄禍論」(『維新と興亜』第16号、令和5年1月号)