これまでマネーは匿名だったが、デジタル化すればすべてのデータが政府に集まることになる。アメリカの動きは、そうした激変をにらんだものだろう https://president.jp/articles/-/51777
情報通信技術の著しい発展にもかかわらず、これまで金融の世界はあまり大きく変化することがなかった。それがいま、根本から変わろうとしている。その影響は、金融の領域にとどまらず、経済の基本的な仕組みを大きく変えていくことになるだろう。
重要なのは、電子マネーと仮想通貨の仕組みの違いを理解することだ。
電子マネーの登場によって、これまでは利用することができなかったマネーのデータを利用できるようになった。マネーのデータは、様々な意味で、従来のビッグデータより強力だ。
銀行口座へのログインの方法として、現在の仕組みに代えて「分散型ID」という仕組みが可能である。これは、個人のプライバシーを守りつつ、本人確認を行なうための仕組みだ。
アメリカの巨大IT企業であるGoogleやFacebookが保有しているビッグデータの価値がどの程度のものかについて、推計を行なっている。
オープンバンキング、チャレンジャーバンク、ネオバンク、BaaS、組み込み型金融など、銀行APIを利用した様々の新しい仕組みやサービスが登場している。中央銀行デジタル通貨が導入されれば、さらに大きな変化が生じることとなるだろう。
日本はこれまで、ビッグデータの活用に立ち遅れた。日本経済衰退の根本的原因は、工場や店舗でなくデータが基本的資本となる「データ資本主義」に対応できなかったことだ。新しいビッグデータであるマネーのデータを活用することによって、日本再生の手がかりをむことが期待される。
マネーという最強のデータを巡る争奪戦は、すでに始まっている。その勝者が未来の世界を支配することとなるだろう。
「マネーはデータ」という基本的な視点に立ってマネーの未来像を描く。 マネーのデータとしての側面を重視するのは、経済活動の基本がいま大きく変質しつつあると考えるからだ。工場や機械、店舗などの物的な資本ではなくデータが経済的価値を生み出す「データ資本主義」への移行が生じつつあるのだ。
マネーのデータを利用可能にする手段としては、電子マネー以外のものもある。その一つが、銀行APIの公開(銀行のデータを外部の組織が利用できるようにすること)だ。
ビットコイン発案者が唱えた「マネーはデータである」という言葉の本当の意味 個人の行動が完璧にわかってしまう https://president.jp/preview/bcb7001a9e2fc1ab3af2c536598350d3ddedcc92
ビッグデータは、個々のデータにはあまり価値はないが、それらが大量に集まることによって価値が生み出されるものだ。 ビッグデータの利用としては、「プロファイリング」による「ターゲティング広告」や、コンピュータの機械学習への利用などがある。
日本でも、「個人情報保護法」によってデータの利用が規制されている。さらに独禁法の適用や課税強化が必要との考えもある。また、「クッキー」と呼ばれる仕組みについても、見直しがなされている。
マネーが大きく変化することは、仕事だけではなく、日常生活にも大きな影響を与える。したがって、この問題は、金融関連の仕事に直接に携わっている人だけではなく、多くの人が知るべきものだ。
とりわけ重要なのが、「ビッグデータ」と呼ばれるデータだ。これを巧みに活用すれば、巨額の収益を上げられることが分かった。アメリカや中国の巨大IT企業がビッグデータを基礎としたビジネスモデルを築きあげ、目覚ましい成長を遂げている。