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【劇評360】役者の色気で魅せる『天保十二年のシェイクスピア』。浦井健治の進境。



娯楽作品の本質

 エンターテインメントは、役者を観に行くものという考えがある。
能楽にしろ、歌舞伎にしろ、その出発点には、役者の色気があり、現在もその根本は変わっていない。
 今回、藤田俊太郎演出で再演された『天保十二年のシェイクスピア』(井上ひさし作 宮川彬良音楽)は、その王道を歩んでいる。まずは、浦井健治、大貫勇輔、唯月ふうかについて考えてみる。

 まず、佐渡の三世次を演じた浦井健治である。
 前回はきじるしの王次を演じたが、今回は、口先のぺてんで出世へと邁進する三世次に挑んでいる。
 浦井は、ミュージカルのジャンルにとどまらない。新国立劇場の『ヘンリー六世』三部作では、タイトルロールを務めた。その魅力がエプロンステージのフットライトから前に出る俳優は、ストレートプレイのジャンルでは貴重である。


写真提供:東宝演劇部 サムネールも

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年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。