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藤田俊太郎の進撃

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演出家藤田俊太郎の仕事についてふれた記事を集めました。蜷川幸雄の演出助手として10年学び、デビューは遅くなりましたが、その後の快進撃はご存知の通りです。
このマガジンは、俊英、藤田俊太郎の演出作品とその周辺についての記事を集めました。近年の仕事をみつめ…
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記事一覧

【劇評360】役者の色気で魅せる『天保十二年のシェイクスピア』。浦井健治の進境。

娯楽作品の本質  エンターテインメントは、役者を観に行くものという考えがある。 能楽にし…

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長谷部浩
1か月前
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次期副大統領J.D. ヴァンスの回想録には、ある種の切迫感があった

 光文社未来ライブラリーで文庫になった『ヒルビリー・エレジー』を読み始めたら、既視感に捉…

長谷部浩
2か月前
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のたうちまわる演出。藤田俊太郎『リア王の悲劇』をめぐって

 のたうちまわって演出をする。蜷川幸雄さんは、自らの演出について、こんな言葉を使った。日…

長谷部浩
4か月前
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【劇評335】ミージカルの最前線。三浦透子の深く、悲しい演技と歌唱。人間の心の闇を…

 傷痕は、誰のこころにも刻まれている。  藤田俊太郎演出の『VIOLET』(ジニーン。テソーリ…

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長谷部浩
9か月前
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【劇評321】女優六人で演じられる『東京ローズ』は常識を疑う意欲作となった

 新国立劇場が、フルオーディションによるミュージカル『東京ローズ』を上演した。スウィング…

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長谷部浩
1年前
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【劇評315】『RAGTIME』は、不安定な私たちの時代をあからさまにする。

 私たちは、ラグタイムの時代から、進歩したのだろうか。それとも、懲りることなく、墜落をや…

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長谷部浩
1年前
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高橋一生、その光と影

 現在、東京芸術劇場で上演されている『兎、波を走る』(野田秀樹作・演出)で、高橋一生は、脱兎の役を演じている。『フェイクスピア』以来、二度目の野田作品での主役。髙橋は妄想の闇のなかで、孤独に生きる人間を見事に演じていた。  高橋一生は、まぎれもなく二枚目だけれども、明るいだけの好青年ではない。そこには、陰翳を礼賛する精神がある。蛍光灯の明かりではなく、行燈の灯りに揺れる人影の美しさ。その傾きを大切に生きる日本的な美意識をからだにまとっているのだった。  舞台俳優の幸福は、

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【劇評298】幼い子を亡くす。いつの世も変わらぬ痛みを掘り下げた『ラビット・ホール…

 幼い子供を事故で亡くした夫婦は、日常を取り戻すことはできるのか。  『ラビット・ホール…

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長谷部浩
1年前
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【劇評281】花村想太の出世作となった『ジャージー・ボーイズ』チームグリーンのドラ…

 中川晃教のヴァリーを擁して『ジャジー・ボーイズ』(藤田俊太郎演出 小田島恒志訳)は、再演…

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長谷部浩
2年前
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沈黙は金ではない。沈黙は死である。久し振りに演出家藤田俊太郎と対話して。

 演出家の藤田俊太郎さんと、公の場で話す機会があった。  この五月、場所は、東京藝術大学…

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長谷部浩
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村井良大、spiによる『手紙』に、ミュージカルの可能性を読む。

 ミュージカルでは、再演は最高の勲章となる。トニー賞には、ベストリバイバル部門があるし、…

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長谷部浩
2年前
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【劇評222】ゴミ袋から発見された赤子は、路上生活者を救うか。藤田俊太郎演出『東京…

 生まれたばかりの幼子ほど、保護を求めている存在はない。また、ときに、幼子は、奇跡を呼ぶ…

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長谷部浩
3年前
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藤田俊太郎への聞書きを再読して思うこと、いくつか

 今回、「権力と孤独 演出家蜷川幸雄の時代」を書き進めるために、2016年9月12日に藤田俊太…

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長谷部浩
4年前
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藤田俊太郎 師・蜷川幸雄の思い出。その6(完結編) 蜷川幸雄と女優。大竹しのぶとの葛藤。

長谷部 蜷川さんは、唐十郎さんとか清水邦夫さんには、かつて恩があると思っていました。劇作家は恵まれませんから、晩年は、ふたりの作品を、自分が演出し上演して、上演料が入るようにしなきゃいけないって思ってたのかな。 藤田 それは、公に言っていましたね。唐さんの作品、清水さんの作品をどんどん大きい劇場でやりたいって言ってましたね。立場が逆転しているとは、蜷川さんは言わないと思うんですけど、若い時に唐さんがいたから、清水さんが居たから、演劇人として生き残れたってことを返していってる

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