「200字の書評」(335) 2023.1.25
こんにちは。
大寒です。昨日来の大寒波、豪雪強風低温による交通途絶、列車遅延、水道破裂などが報じられています。皆様の暮らしは如何でしょうか。都会の人にとってはロマンチックな雪景色も、北国では生死にかかわるような事態も発生します。まして生活インフラが破壊されているウクライナやアジアアフリカ各地の難民の苦難がしのばれます。自然界にも異変はあるようで、大阪湾や東京湾には珍客の鯨が現れたり、羽田空港ではトドが日向ぼっこをしながら飛行機を見ています。深海魚が大量に上がってきていて、リュウグウノツカイも網にかかったとか。天変地異が無ければよいのですが。
さて、今回の書評は父と娘の物語です。
梯久美子「この父ありて 娘たちの歳月」文藝春秋 2022年
子が親に抱く感情とは何だろうか。娘にとっての父は愛憎の対象であり、敬慕と怨念が相半ばするのであろうか。眼前で反乱軍に射殺された渡辺錠太郎の娘、父の葬儀の日に家を出た角川源義の娘、火宅の人であった萩原朔太郎の娘など、著者は9人の人世を辿っていく。いずれも勁烈さの中に、弱さと苦悩を秘めていることを読み取る。娘達の背には時代が色濃く滲み生い立ちを投影している。子と親はわかり合い、何処で分岐するのか。
【睦月雑感】
▼ キシダ政権は異次元の子育て支援策を提示するという。具体的な抗争や財源は示されていない。そもそも異次元なる表現にうさん臭さを感じ、違和感を禁じ得ない。少子化対策にしても、出産率が低下して人口構成が変化しするのは統計上、数十年前にわかっていたはず。付焼刃的にぶち上げても実効性があるのだろうか。いつものやっている感の演出では?
▼ 全国各地で強盗事件が相次ぎ、狛江市ではついに殺人にまでなっている。その乱暴な手、日本人の犯行に馴染まないのではと思ったりする。どうもSNSで集められた闇バイトではないかと報じられている。食い詰めた若者が粗暴な手口で、手っ取り早く金を得ようとする。個別の事件ではなく、相当組織的な犯罪集団があるのではないかと想像してしまいます。社会の歪みの一面だろうか。闇の世界でも組織暴力団がかつての勢いを失い序列が乱れ、ネットを駆使する新興勢力が勃興しているのでしょうか。
▼ 福島原発事故の東電経営陣の刑事責任を問う裁判で、東京高裁は地裁判決を支持し無罪判決でした。刑事事件としての法的構成では立証がかなり難しいと言われています。法律論はよくわかりません。国民感情としては、あれだけの事故を起こし全国を震撼とさせ、故郷を汚染し奪っておきながら何のお咎めもなし。責任の所在が不明確なのは国民感情としてはスッキリしない。司法の独立性に疑念がわく。
▼ 豪雪と低温により列車が運行できず車中に長時間とじこめられる事態発生。ポイント凍結による故障が原因とか。その昔国鉄時代には、天候を予測してポイントにはカンテラと言う火を焚いて作動を確実にしていた。そのチラチラ揺らぐ火を目にした人は多いはず、JRになってからは利益優先で人減らしをし、下請けも多いと聞く。公共交通機関としての自覚を問いたい。
<今週の本棚>
白井聡「長期腐敗体制」角川新書 2022年
日本という国は何処へ流れて行くのだろう。第2次安倍政権以来の政治を、2012年体制と名付けてその体質を不正、無能、腐敗であると断ずる。政府日銀の迷走に示されるように、国民生活は困難を極め貧困化が加速している。統一教会問題に見られる政治家(政治屋)の倫理喪失に見られる劣化は見事なほどである。気鋭の政治学者が説き起こす我が国の現状に愕然とする。主権者たる国民の覚醒が求められる。
岡本行夫「危機の外交 岡本行夫自伝」新潮社 2022年
キャリア外交官の情勢認識とメンタリティーがよくわかる。優れた頭脳と行動力を兼ね備えた、有能な人物ではある。外交の場での経験が豊富で、各国の外交畑との関係は深い。しかし、米国中心主義の呪縛にはまっていることは否めず、疑問符が付く。使い勝手がよく、時の政治家からは重用される。国士然として自ら恃むところ多く、過剰な自意識を感じさせる。
★徘徊老人日誌★
1月某日 寒気は厳しさを増している。その中で小さな小さな春の息吹をいくつか。
【その1】家人のお供で近くのスーパーに行った際、道端に黄色のタンポポが控えめに、ちょっと先に見逃しがちな青い点、オオイヌノフグリが一輪。
【その2】近くの農家の前庭に紅梅が開きかけていた。
【その3】蝋梅が満開の拙宅の庭、盆栽から土におろした小さな白梅の枝にちょこんと花芽が膨らんでいた。春よ来い!!
1月某日 みずほ台駅へ。30数年振りだろうか、駅前は整備されいかにも東京近郊の私鉄沿線と言う感じ。3年前まで通っていた太極拳教室は富士見市日中友好協会の主催。その協会の会合があり、ご無沙汰のお詫びを兼ねて出席した。困難を極める日中関係、市民レベルで何ができるか考えなくては。
☆徘徊老人の運転免許証更新顛末記☆
今月更新を済ませました。参考までに一連の流れを紹介します、若い人はまだまだと思うでしょうが、時の過ぎ去る速さはアッという間、すぐその日が来ますよ。私は2月生まれなので、それを前提に進行しました。
認知機能検査 9月28日(期日指定)於運転免許センター(鴻巣市)
検査は20名1組で教室に入り、説明後に問題用紙が配られた。主に記憶と判断力を見る内容。昔の試験を思い出して、少々緊張。幸い合格。経費は1,050円。自宅からの往復含め約4時間拘束。
高齢者講習 10月25日(期日指定)於埼玉自動車教習所(さいたま市)
7名ほど出席。講義とビデオ視聴、コースに出ての教習車による実技検査。及第。経費6,450円。往復含め約6時間拘束。
免許更新 1月11日(こちらの都合)近くの西入間警察署
午後の部は13時受付なので12時45分に到着、すでに交通課前のホールに相当数が参集、16番の番号札をとる。続々と人が増え、担当者の説明が始まり、返納者も数名。待つほどに番号を呼ばれ前記講習の証明書等の書類提出し、次は更新手数料の支払い、交通安全協会入会を勧誘されるが丁重にお断り。警察官の天下り先に協力するいわれはない。続いて視力検査2種類(通常の検査に加えて大型免許なので立体感と遠近感を図る深視力検査あり)を経て写真撮影へ。いつも思うのだが、どうして免許写真は人相悪く写るのだろう。ほどなく交付される。手数料2,500円。所要時間約1時間半。
今回の更新で掛かった時間は、3日間約11時間半。経費は丁度1万円也。
強烈な寒波が押し寄せています。日本海側が直撃されています。雪との戦いは辛いものです。雪道で苦闘する物流トラックの運転手さんへの感謝を忘れてはなりませんね。
冬が厳しいほど春の兆しは格別、耐え抜きましょう。コロナとインフルエンザのダブル感染が心配です、どうぞご自愛ください。
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