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海のことば、空のいろ

少し深めのエッセイ。創作にまつわるエピソード。時々、小説。 海の傍で生きてきた私のなかにある、たくさんの“いろ”と“ことば”たち。より自然体で紡いでいけたら、と思います。
いつもより深めのエッセイ、創作インスピレーション、創作小説等を月4本以上、ランダムにお届けします。…
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#記憶

【新しい記憶の欠片〜降り積もる音の連なり】

「滝を見に行きたい」 そう言い出したのは、私だった。相方は、すんなりとそれに乗ってくれた…

碧月はる
2年前
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【そのことを忘れそうになった夜には】

記憶の糸は、自身が意図しない形であちらこちらにつながっている。良い記憶も、悪い記憶も、な…

碧月はる
2年前
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「無理矢理されたのまで律儀にカウントしてんじゃねえよ」

「触ってもいい?」  切羽詰まった様子でそう言った彼は、私の答えを聞く気なんてないみたい…

200
碧月はる
4年前
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秋空の下、想いごと。

「きょうね、おやすみしたいの」 我が家の息子たちは、集団生活があまり得意ではない。長男も…

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碧月はる
4年前
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”まだら模様”を抱えて。

「大丈夫」と「大丈夫じゃない」の狭間で、随分長いこともがいているような気がする。 「大丈…

200
碧月はる
4年前
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それさえ叶えてくれたら、もう他には、何も要らないから。

「お母さん、覚えてないの?」 「おかあさん、わすれんぼうだなぁ」 長男の声は、不安そうだ…

200
碧月はる
4年前
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離しても離しても繋がるものと、二度と出会えない手のひら。

からからに乾いた田んぼに水が張られ、青々とした苗が植え付けられる。その苗がぐんぐんと育ち、稲穂の先にぷっくりとした米の粒が実り始めている。田んぼの景色はそのまま、季節の移ろいでもある。 旦那との別居を決めてアパートに越してきた当初、夜になると部屋に暖房を付けていた。1階の住まいなので、ひんやりと冷たい空気が床下から流れてくる。その寒さに末端冷え性である私の足先は、わかりやすく固まった。古傷がかすかに痛む。寒さと気圧はいつだって、昔痛めたあれこれを容赦なく責め苛む。こたつを買

¥200