
忘れていたトキメキを再び
こんにちは。
近代建築、文学、明治大正時代の文化に魅かれる私に友人がすすめてくれた漫画があります。
それがこちらの『煙と蜜』です。
第一話の試し読みで引き込まれ、久しぶりに漫画を紙媒体で購入しました。
花塚姫子12歳、土屋文治30歳。ふたりの関係は「許婚」だった――。西洋のモダンな文化が広がり始めた大正時代。華やかで活気に溢れたその空気の中で、「文治さま」「許婚殿」と呼び合うふたりは、18の歳の差を超え、ゆっくりと愛を育んでいく。『ルドルフ・ターキー』でアメリカ黄金期を活写した長蔵ヒロコの最新作は、濃厚で芳醇な愛の物語。読切掲載時に熱狂的な支持を得て連載化が決まった本作、待ち望まれた第1巻がついに刊行!!
ひと回り以上年の離れた二人ですが、ヒロイン宅での定期的なお夕飯の時間を中心に共に過ごしながらお互いを知っていく。
大人と子ども、男と女、煙と蜜の匂い、髭と桃肌。
あらゆる意味で正反対の二人ではあるものの、大切に想い、歩み寄ろうとする様子は、読んでいてキュンとしまう。
周囲に決められた許嫁同士、まだ2巻の時点では登場していない事情が隠れていそうな気配があるものの、適度な距離感がありながらも仲睦まじい様子が素敵。
決してロリコンという訳ではないものの、単に子ども扱いするわけではなく、姫子さんの意思を尊重しながら慈しむ文治さん。
文治さんを一途に慕い、相応しい女性になりたいと努力を重ねる姫子さん。
見守る周囲の人物も姫子さんの健気な姿に愛おしさ倍増。
二人の距離感は大人と子どもというだけではなく、現代を舞台にした作品にはない時代特有の価値観もベースにあってのもの。
3年後に結婚することが決まっている二人。
子どもの頃の3年間は長いものですが、大人にとってはあっという間。
第2集の中では一緒に庭に3年後に成長するであろう栗を埋めるシーンや3年間での成長目標を真剣にノートにつづる姫子さんと励ます文治さん。
許嫁のために手ずから浴衣を仕立てられるようになりたいという感覚は現代的ではありませんが、相手に見合うように努力を惜しまない姿勢は、持ち合わせている語彙力では表現しきれない胸の奥がムズムズする感覚。
『煙と蜜』は今ではもう思い出せないような初恋の甘酸っぱさとトキメキが感じられる作品です。
LINEで手軽に用件のみを伝えたり、スピーディーでクイックな現代とは異なる恋愛スタイルに忘れていたトキメキが蘇ります。
最近、恋愛をしていない人も初恋を忘れた人にも、久しぶりにトキメキを感じたい人にもおすすめしたい一冊です。
そろそろ、初夏には3冊目が発行予定ですので、今の内に試してみてはいかがでしょうか。
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