3分で読める!間違いだらけの【農業のブランディング】(農業以外のあなたも使えますよ!)
農家の皆さまをはじめ、多くの人たちが大きな大きな間違いをしてるのが「農業のブランディング」についての捉え方です。
【間違い1】ブランド化=高級感ではない
【間違い2】ブランド化=可愛いロゴではない
今回はこの2つの大きな大きな間違いについて、13年間にわたり650軒以上の農家ブランディングを行ってまいりました株式会社はりまぜデザインのCEO角田誠がお話いたします。
【間違い1】ブランド化=高級感ではない
ブランド=高級品、と考えている人が多いのではないでしょうか。僕は和歌山県立農林大学校の講師もしているのですが、授業で生徒さんに同じ質問をすると、やはりそのように答えます。
しかしブランドとは「=高級品」ではありません。ブランドの語源は古ノルド語で「焼印をつける」という意味の「brandr(ブランドル)」だと言われています。つまり「自分たちの商品ですよ」という目印です。
ではなぜ、目印を付ける必要があるのか?それは他社と比べるためです。人は比べないと違いがわかりません。
例えばトマト🍅。あなたが作るトマト🍅はとても味が濃い。しかし「味が濃い」や「味が薄い」というのは一体何を基準にして導きだした数値なのでしょうか。仮に世の中にたった一種類しかトマト🍅が存在しないとします。そうするとその味しかありませんので濃いや薄いという概念は存在しませんよね。つまり比べるからこそ特徴になるのです。
しかし、ここで大きな課題が生まれます。消費者はわざわざ何種類も買って食べ比べたりはしませんし、いちいち詳しく売り場で調べたり確認もしません(試食も出来ませんしね)。ということは食べ比べせずとも消費者自身が、自分の食べたい特徴を持ったトマト🍅を購入できるようにしっかりと特徴を伝えないといけません。その特徴を言語化したものが【独自性】です。そしてその独自性を商品名やロゴマーク、色、パッケージなどで形にしたものをブランドと呼ぶのです。
ですのでブランドとは高級感ではなく【独自性】なのです。
【間違い2】ブランド化=可愛いロゴではない
ブランドを作りましょう、というとすぐに「ロゴが必要だ」と考える人が多いです。もちろん、絶対にロゴは必要です!必要なのですが目的を持たずに「ロゴが必要だ」では効果がないのです。
では、その目的とは何でしょうか?
ちなみにロゴを作ったからと言ってブランドにはなりません。ブランドを作ること(ブランディング)が目的ではないからです。ブランドをなぜ作らないといけないのか?それは消費者に選んでもらうためです。「トマト🍅が食べたいな。あ、この前のトマト🍅おいしかったなあ、また買いたいな。なんていうトマト🍅だったっけ?」という場面で「そうそう、いつものこれこれ」と最初に思い出してもらえて初めて、商品(農園、お店、会社など)がブランドになります。つまりブランドとは消費者の頭の中にあるものなんです。消費者の頭の中にガチャコン!っとしっかりと植え付けるためにロゴが必要なのです。したがってロゴを作る目的とは、ブランドを作るためにロゴを作るのではなく、覚えてもらうためにロゴを作るのです。
人は文字情報だけでは中々覚えられません。お恥ずかしいですが僕のように記憶力の悪い男は昨日行ったレストランの名前ですら朧げです。。。特にローマ字や外国語の名前などは全く覚えられません。そこで必要となるのが「記号」なのです。丸、四角、三角といった形状記号や赤、青、黄色といった色彩記号などです。わかりやすいネーミングも記号ですね。自分たちの独自性をその記号で表し、消費者の頭の中に埋め込むことが重要です。ここがロゴをデザインする場合の一番の勘所です。可愛いイラストやかっこいいマークがロゴではない、とご理解いただけましたでしょうか。大切なのは「覚えてもらうこと」なのです。繰り返しですが可愛いいイラストだからロゴにしました、ということだけは避けていただきたいのです。それはあなたが可愛いと思っただけで、消費者に刺さるかどうかは別だからです。ロゴだけではなくすべてのデザインに共通して言えるのが「デザインはあなたのものであって、あなたのものではない」です。では誰のものでしょうか?それは消費者のものなのです。
まとめ
いかがだったでしょうか?弊社へも「高級路線でいきたいのでブランド化したい」という内容や「ブランド化したいのでロゴが欲しい」といった
ご依頼がありますが、その都度「ブランド=高級感」では無いですよ、「ロゴを作ってもブランドにはなりませんよ」とお伝えしております。
ブランドとは、消費者にとっての「選ぶべき独自性」であってそれを形にして覚えやすくしたものが「ロゴマーク」なのです。ブランドとは消費者の頭の中にしかありません。ですのでいかにして消費者の頭の中に残すか、それを考えることが「ブランディング」なのです。
ロゴのデザインはシンプルが良い、とよく言われるのはこういう理由からです。しかし、覚えてもらうことができるのであれば、多少複雑なイラストを組み合わせたロゴでも問題ありません。そのかわり複雑さが増すのでしっかりと記憶に残すことを意識したデザイン処理と技術が必要になりますが。それはまたロゴの回でいずれ詳しくお話いたします。では今回も少しでも皆さまのご参考になれたら嬉しいです!