マガジンのカバー画像

77
言の葉の詩集🌿
運営しているクリエイター

#いきるということ

白髪

白髪

八人目の孫が産まれて
充分に、ばぁばになった
だから白髪を染めるのをやめた
おばあちゃんになる為に

孫たちは私をおばあちゃんとは呼ばない
ばぁばと呼ぶ

私には母たちがいて
そちらが
おばあちゃん
もしくは
大きいおばあちゃんだ

彼女たちは全てに綺麗に白髪で
素敵なおばあちゃん
もしくは
素敵な大きいおばあちゃん

私はグレイのばぁばから始めることにした

やがては尊くまっとうな白髪に
できう

もっとみる
壁

人間、この空虚な壁から突出した生きもの

ひとつ出来た
ふたつ出来た

真空の階段を少しづつ昇り
その肌のぬくもりもいつか忘れてしまうのに
笑顔を汲んで
いつも満たされたくて踠いている奥のおく

こんなにも嬉しかったことや
こんなにも悲しかったことが

忘れるという仕業の前に
もろもろと崩れて落ちて

フロントガラスの向こうに
積み重ねてきた日常を探すが
何処にも見あたらない

すべて壁が持ち去っ

もっとみる
いきた

いきた

今日も生きた
今日を生きた

誰のためでもなく
自分の為でもない

生きた

生きていていいと許したので

生きた

お腹が空いたから
眠いから

生きた

脳みそを削ぎ落とし
ナマで生きた

砂山とトンネルと

砂山とトンネルと

校庭の砂場
みんなでつくる砂の街
泥だらけになって
裸足になって

砂山の中で
手と手が繋がる
トンネル開通
川には木の橋
池にはオモチャの舟

公園で
若いお父さんが砂山を作っている
子どもはそっちのけ
一所懸命トンネルを掘っている
「トンネル出来たよー!」
呼ばれた子どもは
砂山にドンと座って
トンネル崩落

砂場に流れる優しい時間

そして

人生をつくる
夢中になって
夢中にならずとも

もっとみる