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長谷川ひとね
2024年9月2日 18:45
長かった夏の休暇が終わりほっとしている日常が戻ってきた夏は囁いた「現実は夢だよ」だから間違いなくほっとしているほんとうの孤独のはじまり寂しくはないだってこの世には私しかいないのだひりひりした光も幻だったというわけだ誰に気兼ねなく私は私をみつめる 夢は夢現実も夢
2023年1月15日 16:04
まだ何ものをにも汚されていない気は無言の前奏曲を奏でツンと冷たいオレンジの色山の上を染めていく車を右車線に停め見つめる朝焼けさて、と現実と対峙し白い月の下を走りだす白んだ空には鳥が五羽連連なり既に遠く飛行機も飛んでいる白い月は透明な背骨を内在していた息を止めて描かれた無数の枝の隙間に北欧のそれのように水墨画のそれのように浮いていた道ゆかばまたも白い月
2023年1月4日 12:11
陶器のカップを両の掌で静かに包む温かい立ちのぼる湯気遠くには灰色の雪雲柔らかな湯気は今をケムに巻きとどまらず妖艶な現実温度の幻影やがて湯気は窓を白く曇らせる水滴となり空を写す今の実体掌が徐々に冷えていく魂の抜けがらのよう鼻腔に残る珈琲香は飽くなき性をさがし冷たいガラス窓を超え世界を埋めようとするが降り始めた雪は窓にあたっては溶けあたっ