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まだ何ものをにも
汚されていない気は
無言の前奏曲を奏で

ツンと冷たいオレンジの色
山の上を染めていく

車を右車線に停め
見つめる朝焼け

さて、と現実と対峙し
白い月の下を走りだす

白んだ空には鳥が五羽連連なり
既に遠く飛行機も飛んでいる

白い月は透明な背骨を内在していた
息を止めて描かれた無数の枝の隙間に
北欧のそれのように
水墨画のそれのように
浮いていた

道ゆかば
またも白い月
電波塔の引く五線譜に乗り
どこまでも行手に浮かぶ

祖国のそんな朝の
祖国のそんな空気を吸い

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