「未経験だから資格取ろう」に待った!シングルマザーみやの”前進を優先する”転職論Vol.1
「人生は天職探し」だった私
大学卒業を控えて、特にやりたいことを発見できるわけでもなく、とりあえず取得した教員免許を活用して中学教師になりました。
文学部卒業の女子が一般企業に就職するのはとても難しい時代でしたが、運よく就職活動もせずに社会人生活をスタート。これはラッキーな反面、葛藤がなかった分だけ自分に合う仕事について深く考える機会を逃す結果となりました。
そのため、私にとっては教員を辞めた後こそが、本格的な「天職探し」のスタートでした。転職や資格取得の勉強を繰り返し、やりがいや自分のスキルとの適性、無理のない働き方を探す旅が始まりました。
そう簡単にやりたい仕事なんてみつからない
これまでに大幅な方向転換を伴う転職を数回している私。次こそはと期待をこめて新しい職場へ向かいましたが、どの仕事にもよい面もあれば悪い面もあり、100%満足な仕事などはありませんでした。
たとえば、教職員ならば給料はいいしやりがいもあるけど、保護者との軋轢や部活動指導などでのサービス残業のようなものなど心身ともにキツい、といった具合です。事務なら事務で、身体は楽だし残業は少ないけど給料が少なく、売り上げに直結しないからやりがいが感じにくいです。
実際にいろいろな仕事をしてみて分かったのは、 どの仕事も大変なことはある、自分に本当に合う仕事、向いている仕事などはなかなか見つからないということでした。仕事だから楽しいばかりではないのは当然ですね。
天職を探して転職(シャレじゃないです)し続けた私が今に至るまでを紹介します。
転職の一歩はこうして幕を開けた
私が教職から全くの異業種へジョブチェンジすることになったのはやむを得ない事情からでした。この転職によって、初めて自分に合う仕事についてまじめに考え始めました。
長く暮らした地から追われる
大学を卒業後、私は地元を離れて小さな田舎町へ転居。転居先の中学校で勤務しつつ、土地の仲間の繋がりから結婚相手を見つけ、結婚、出産などのライフイベントをスムーズに進めていました。ところが、ある時私たち夫婦は離婚することになりました。
大都会において離婚くらいで住み慣れた街を離れることは少ないかもしれません。しかし、私がいたのは地方の小さな町で、地元の知り合いや地域の繋がりが何よりも大切にされている場所。離婚するにあたって仲間との関係をこじらせたため、私は中学校を退職して、子どもとともに実家へ戻ることになったのです。
はじめての一般企業就職
実家に戻って私がまずしたことは、求人情報誌とネット検索。子どもがいるので、できるだけ家から近くて、残業のない職場を探しました。コンビニなどに置いてある無料の求人情報誌はエリア限定版があって便利でしたが、飲食系多め。ネットにある大手転職サイトは、職種も求人数もたくさんあるけど、地元企業の求人は少ない印象でした。
保育園を探しつつ、求人を見続けた結果、運よく(珍しく)求人情報誌に乗っていた「正社員・未経験可・事務」を発見。ずっと教員として働いていたため、一般企業で使える社会人スキルはなかったものの、事務職で近所の会社に入ることができました。
企業で働いたことのない私は、新卒と同レベルの社会知識やビジネスマナーしかないと思っていましたが、為せば成るものです。自慢できるスキルもないので、面接ではやる気だけを明るくアピール。とりあえず、人と普通の会話さえできればどうにかなるだろうと勢いで臨みました。
不安な点はシングルマザーであることでしたが、「家計を支える人だから簡単に辞めない」と前向きに判断してもらえたことは今でも感謝しています。
実務でも、 敬語や基本的なふるまいは常識の範囲内で対応すれば問題ないし、大体のことは周りに教えてもらえます。文書作成や電話応対など、初めてのことも徐々に慣れていきました。
商売の面白さに触れる
一般企業に勤めて初めて実感したのは、「企業はモノやサービスを売って利益を増やす活動をしている」ということでした。当たり前のことですが、どの会社も規模の大小や売るものの違いこそあれ、商売をしていることに気づきました。
そう考えると、子どもの頃にやった「お店屋さんごっこ」と変わらなく親しみのあるものに思えて、商売が面白いと感じるようになっていきました。素材を加工して売る、安くたくさん仕入れて小分けで高く売るなど、利益を得る方法をもっと学びたいとも思い始めました。
経理部のカッコよさに惹かれる
一般企業で働くようになって気づいたもう一つのことは、経理部の特別感、カッコよさでした。小さな企業でしたが、経理部は別室に分かれており、誰でも気軽に入れる部屋ではなかったのです。また、いつも大きな額のお金の話や聞きなれない専門用語が飛び交い、オフィスワークながらに「THE 専門職」という印象でした。
目指せ、資格取得
商売や会社経営の仕組み、経理職に興味を持った私は、いつの日か一般事務ではつまらないと思い始めました。 今いる会社は異動もないので、漠然と「転職したいな」と思うようになっていました。
さあ、経理になるには何が必要か、と考えたとき、思い当たったのは資格取得でした。経理経験を積むためには経理の仕事に就かなきゃいけないし、だからといって今の自分では経理職に就けない、ならば資格を取って「知識あります」アピールをしよう、という単純な発想でした。
仕事を辞めて学校へ通うわけにはいかないため、独学で取得を目指しました。
日商簿記3級
日商簿記といえば、経理の基礎ともいうべき資格。ビジネス系資格は、下位の級でもある程度は認めてもらえるようで、3級とはいえ経理未経験者が履歴書に書くにはそん色ないレベルです。
実際の学習期間は半年ほど。なんと一発合格です。勉強のために参考書と模擬試験問題集を1冊ずつ購入しました。問題集の解答にはノートやコピーを使うのもアリですが、私は直接書き込むスタイル。持ち歩いて小まめに勉強したかったので「問題集は使い捨て」の気持ちでぜいたくに使いました。
後日、2級の受験することになりましたが、独学で合格するのはかなりの難関。3級は独学でも可能ですが、2級はよほど相性のよい参考書に出会わない限り独学は難しいと感じました。
↓↓私が過去に使っていた問題集の新版が出ていました。改訂が進んでいるので、使いやすくなっているかも…。
↓↓同じシリーズのテキストも。
普通自動車免許
普通自動車免許は、スキルも資格も経験もない人が履歴書を埋めるためのものではありません。実際に運転できること前提ですが、事務系ワーカーにとって意外と使える武器になります。特に経理は取引先や銀行など、たびたび外出することもありますし、(私は実際に)上司に外出時の運転役を命じられることもありました。
免許はすでに取得していましたが、ペーパードライバーだったため、数時間の講習を受けました。使わないこともありますが、支店や支社の多い会社に勤めたい人は運転できるようにしておくと安心です。
マイクロソフト オフィス スペシャリスト
事務系で働くために必須なのがオフィスソフト。もうパソコンを使わない会社はほとんどありませんし、せめてエクセルとワードくらいはできるようにしておきたいものです。
私も資格取得を目指しましたが、マイクロソフトオフィススペシャリストは、取得までには至りませんでした。問題集や参考書も売っていますが、基本的にはパソコンを目の前にして実践することが必要。実際にやってみると分かりますが、「作業」→「本をみる」→「作業」→「疑問点」→「本をみる」…は大変です。専門学校に通いたいな、と本気で思いました。
ただ、取得はできなかったものの、勉強しておくだけで会社内での業務が格段にできるようになりました。受験するかどうかはともかく、勉強だけはしておいて損はありません。
念願の経理職へ
簿記3級取得と前後して、転職活動を実施。合格前でしたが、「簿記資格学習中」のアピールはしました。また、応募する求人は未経験歓迎の経理「アシスタント」です。業種にはこだわらず、ただし商業簿記だけ(工業簿記は難しい、2級以上)で済む第3次産業のみに絞りました。
今回の転職活動では、メジャーな転職サイトをいくつか使いました。サイトから履歴書も送れるし、ポチポチと応募ボタンを押していくだけなのでスピーディー。以前は地元に絞りましたが、「電車で1時間圏内」まで範囲を広げました。前回と違って職種を経理のみに絞り込むので、通勤時間は妥協も必要と感じたためです。
資格と実践はイコールじゃない
無事採用の連絡をもらったのは、小さな専門商社の経理アシスタントの仕事でした。店頭販売と配達を行う家庭内設備の部品卸の会社で、私の経理キャリアのスタートです。
実践経験なしで募集していただけあって、初めにもらった仕事は宛名書きと店頭販売用レジの精算。簿記の知識はあまり必要ない仕事からでした。それからも請求書の発行やファイリング、大量の伝票の会計ソフトへの入力など、簿記資格が「役立った!」とは言い切れない業務ばかりでした。
その後、経理業務をこなすようになって、簿記の知識があったからこそスムーズにこなせたことも少しはあります。とはいえ、大体のことは雑用の合間に少しずつ先輩から学び、 実践で身につけたスキルの方が資格よりも役立ったと思います。
経理ソフトを使いこなす
単純作業の連続でしたが、経理ソフトの入力は楽しい業務でした。間違った仕訳をするとソフトの方が警告をしてくれるため、学びながら仕事をしていました。ソフトのおかげでひそかにミスを減らす訓練ができたと思います。
単調に毎日の仕訳を入力するだけとはいえ、月内でのお金の増減や入力すべき科目の種類によって経営の流れがなんとなくみえてくるのは面白みがありました。新ソフト導入と私の入社が重なったおかげで、結局退職までこの作業を私、メインで行うことになりました。パソコンの仕事は初でしたが、1カ月もすればプロのような顔で入力できるようになりました。
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まさかのストレートネック診断
単調ながらも少しずつできることが増える毎日を楽しんでいましたが、ある時肩と首に痛みを覚えたため、近所の整形外科医院へ行きました。診断結果はストレートネック。パソコン仕事を長くする人に多いらしい症状でした。
どうやら、新しい仕事に没頭するあまり、休憩も取らないでパソコンに向かい合っていたことが原因だったようです。それまでは教育現場で体を動かす仕事だったため、自分の骨格や筋肉が疲れやすく、トラブルを起こしやすいことを知らずにいたのも問題でした。
この診断のあともしばらく経理を続けていましたが、最終的には企業でのオフィスワークを諦め、別の仕事を探してフリーランスで働くようになります。健康上のトラブル発生は青天の霹靂でしたが、 性格や能力だけでなく体質に向いた仕事を選ぶことも必要だと考えるきっかけになりました。
ここから再び私の「天職探し」の旅が再スタートします。事務作業が辛くなった私は、「人材派遣」によってまた一から自分に合う仕事を探り始めました。
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これから就職・転職を目指す人へ
私の教職から経理への転職経験から、分かったことが3つあります。特に「自分の天職を探したい」と熱い希望を持つ人に伝えたいことです。
資格は「あったらベター・なくてもOK」
私は新たに経理の仕事に就くため、簿記資格を取得しましたが、応募した会社の多くが資格必須ではありませんでした。キャリアチェンジする場合、資格必須でないなら、未経験者歓迎の求人を探して実践からスタートするのも悪くなさそうです。
特に試験が難しい、試験勉強が苦手な場合には、資格にこだわらず、前進することを優先することをおすすめします。無理してまで、試験勉強で貴重な若い時代を無駄にすることはありません。現場に入れば、意外と資格に関係なく仕事ができるようになります。
職場によっては、有資格者の先輩たちが合格のポイントや勉強の仕方を教えてくれるでしょう。世の中には、教員以外にも人にモノを教えるのが好きな人がたくさんいます。
自分にも相手にも完ぺきを求めない
仕事選びでは、自分が譲れない部分以外ではいくつかの妥協も必要です。楽しくてやりがいがあって、給料もよくて、残業も少なくプライベートも充実…そんな職場を時間をかけて探し回るのは非合理的で、現実的ではありません。
私は教員から経理まで、自分に100%合う仕事を探してきましたが、結局、どんな仕事にも一長一短ありました。やりがい、給料、適性、残業の量など、完ぺきな仕事などはありません。また、どんな職場でも相性の良い人と悪い人がいました。
結局、 自分だってできないこともあるし、教わることもたくさんある。だったら、相手にも完ぺきを求めるべきではないでしょう。また、完ぺきに仕事をこなそうとして、無理をするのもよくないです。下手すると体を壊します。
どうせなら働くことを楽しもう
一番最後に伝えたいことは、「どんな仕事でも楽しんだもの勝ちだよ」ということです。仕事をしていれば楽しいことだけではないけど、つまらないことにもちょっとした楽しみを見つけることはできます。
教員は毎日、ハプニングだらけで大変だったけど刺激的だったといえます。ドラマの主人公気分です。経理での毎日の売上計算は、単調だけど現金と帳簿がピッタリ合うとちょっとした感動があります。膨大なデータを集中して打ち込み終わった際には、アドレナリンさえ出た気がします。
同じ仕事でも「とりあえずこなす」のではなく「楽しんで一生懸命にやる」と自分が楽しいだけでなく、スピードや正確さも向上することがあります。そうなれば、先輩に褒められ、上司に高く評価してもらえるかもしれない。すると、もっと楽しくやりがいある仕事をもらえる可能性も…。
どんな仕事も一長一短。だとしたら、動き回って探しても完ぺきな仕事なんて簡単には見つかりません。でも、今いる場所を変えようとするのでなく、 自分を変えるだけでも「天職」は意外と見つかるものです。