GENEC8

広告やアート、とかなんでも作るという仕事と分野の違う人々を繋ぐ通訳的な仕事をしております。

GENEC8

広告やアート、とかなんでも作るという仕事と分野の違う人々を繋ぐ通訳的な仕事をしております。

マガジン

  • DISCO TEKE-TEN

    1985年から沖縄ー与論ー野沢温泉でやったお店TEKE-TENの思い出

  • 想像現実

    VR AR MRにつづき想像を現実にオーバーラップして見せる装置 IRの生まれた世界で、人々は日常を生きる。

最近の記事

引越し地獄

 先月長年住んだ文京区から世田谷区に引越しをした。会社から遠くなるし飲み屋からも遠くなるので、一応抵抗したがどこかに移らないとならないなかでギリギリのタイミングで決めて引っ越しをした。前回の引っ越しはAD JAPANのみんなに手伝ってもらって、あまりの荷物の多さに流石のアキラくんたちもウチの引越しと聞くだけで顔が曇るというくらい大変だったので、2回連続でお願いするは気が引けて、引越し業者さんを手配することにした。カミさんが見積もりを取って某有名業者より10万ほど安かったアップ

    • 流星雨の如し DISCO TEKE-TEN vol.4

        85年の夏のはじめ7月にたこ八郎さんが海で亡くなった。暑い夏だった。    我らのDISCO TEKE-TENは本当に色々なことがありながらも、大きな怪我人や病人もなくなんとか店を回せていけていた。毎日の売り上げを琉球銀行の夜間金庫に入れに行くという日課も、提供してもらった部屋での快適な寝心地も細かなところは忘れてしまっていて、一瞬一瞬の静止画のようなイメージしか思い出すことが出来ない。むしろ店のソファで寝たことや、無い知恵絞り出して対応したことなどはわりと鮮明に覚えてい

      • 久米島の夜は更けて DISCO TEKE-TEN Vol.3

         何度も言いますが限りなく事実に近いフィクションです。   アルミホイルを壁に貼って古い壁を隠したりして毎日ちょっとづつ内装を手作りすることも大事な作業だ。島で手に入るもので工夫しながら作った店の完成は閉店の前日だったけれど。なんとか店の形も出来て、島の人たちとも仲良くやらせてもらって毎日の生活は続いていった。そんなおり2番目に若いタカヒロが早朝から深夜までの生活に嫌気がさしたようで帰りたいと言い出した。大事な戦力なので困ったが引き留めたところでイヤイヤ仕事をやられても支障

        • DISCO TEKE-TEN open vol.2 

           この物語は事実に近いフィクションですから。そこんとこ夜露死苦。   青い顔してオヤジ(最年少スタッフ)が店に飛び込んできた。オヤジが借りて事故ってしまった原チャリ。近くのスナックの子に借りたらしいのだが事故って初めて持ち主は別にいることがわかった。組系の人だったのだ。幸いオヤジの怪我は擦り傷程度で大したことなく、バイクもそこまで大破という感じではなかった。ただ持ち主が持ち主だけにどんなことになるかわからない。島に馴染んできたとはいえ、なるべくそちら系の方達とは関わらないよ

        マガジン

        • DISCO TEKE-TEN
          5本
        • 想像現実
          5本

        記事

          DISCO TEKE-TEN open vol.1

           なんとかOPENにこぎ着けた俺たちだが、その時点で残りの所持金は8万ちょっと。食事もしなくてはならないし、毎日の店代も必要だ。そもそもこの時点で、船でも全員は帰れない計算になる。客が来なければ、このまま久米島に骨を埋める覚悟。というほどの気合はなかったがとにかく頑張る他ない。しかし初日は客が入らず、2日目も1組か2組だった。そもそも店も少し路地入ったところで、看板も手作りでは、怪しい店にしか見えない。これはまずいと、翌日は全員でビーチに出動。ビーチパラソルの穴を掘りながら店

          DISCO TEKE-TEN open vol.1

          DISCO TEKE-TEN 準備中

           1985年昭和60年の6月か7月。西麻布の交差点にあった天下一というラーメン屋。時間は多分深夜だったと思う。桜井とジョージの3人で六本木の長崎物語という仮装ディスコのバイト帰りだったか、328で飲んだ帰りだったかは忘れてしまった。記憶を頼りにこの話を書くが、曖昧な部分は今後仲間に直してもらわないとならないかもしれない。当時学生ツアーというのが流行っていて僕と桜井はそこのスタッフだった。女子大の前で旅行のパンフレットを配り、申込数に応じて斑尾などの避暑地、沖縄、伊豆七島などの

          DISCO TEKE-TEN 準備中

          伝統と文化は電気ヒツジの血に宿るのか

           最近AIを使って絵を描くことを試している。使ってみるとジェネレーティブAIの得意な部分や不得意な部分が見えてくる。不得意というかまだ学習していないだけなのだろうが、とにかく現時点ではいろいろなプロンプトを試しても成功率が低いものがある。ゲームの世界や美しい景観、光る街並み、ブロンド美女を使ったモデルポーズなどは比較的簡単に描き出してくれる。ただそれを日本人というしばりをつけると途端にアジア顔になり、中国やモンゴル系の顔立ちになってしまう。基本が欧米のデータ量の多さで、マイノ

          伝統と文化は電気ヒツジの血に宿るのか

          世界の大きさ ーweb3の片隅でー

           人には皆、自分の世界がある。  新しいテクノロジーと社会のあり方についてのカンファレンスの仕事をした。登壇者は20代が多くいて、もちろんおじさんおばさんもいるが、十数年関わってきたカンファレンス仕事の中では今回は特に若かった。皆自分の世界を持っていた。  最新のweb3,NFT,メタバースなどなどの技術だけでなく思想や文化まで掘り下げるとても面白くてためになるカンファレンスで、高校生になる自分の子供にも聞かせたいと思った。今までの中央集権な考えかたでなく分散型で合議でルール

          世界の大きさ ーweb3の片隅でー

          未来の話(サキかアトか)

           暇な時は色々なことを考える。いや考える時間がある。もちろん新しいアイデアを形にする作業をしたり、何かの勉強をしたり本を読んだりもする。それでも暇なのでニュースアプリやマガジンの記事のお知らせなども読んでしまう。好きなので占い系の記事などもよく読む。干支、生まれ年、誕生日、星座などなどいろいろなものにあふれている。大抵は女性向けだが、12や9のカテゴリーに分かれて運勢が決まるなら、同じ誕生日のひとは同じ運命のはずじゃなきゃおかしい!とか言う気はなくて、当たるも八卦当たらぬも八

          未来の話(サキかアトか)

          オープンな仕事。

           家の五軒くらい隣に古民家を改築したカフェがある。コロナでしばらくはテイクアウトのみだったが最近は店でも飲めるようになった。大学生中心でやっているらしい。豆は全国から焙煎したものを取り寄せたり、オーナーの地元の物産を置いたり、野菜が売っていたりと今時な感じ。夕方散歩がてらコーヒーを飲みに行った。店の奥を上がったところにテーブルが並んでいてそこで飲めるようになっている。元々民家なので小上がり上がった、居間を改造した感じだ。数組の先客がすでにいる。住宅地の裏でも結構入ってるんだと

          オープンな仕事。

          やっぱり、人です。

           神楽坂にこぢんまりしたイタリアンがある。自粛で半年以上行けていないが、風の便りでは繁盛しているとのこと。そこにフロアーを仕切る女性店員さんがいて、何しろテキパキと気持ち良い動きをされる。こちらの外国人カップルを笑わせて、さりげなくあちらのテーブルにはお勧めのワインを紹介し、踊るように各テーブルを周り、所作も綺麗で爽やかな風が吹くような接客。料理ももちろんうまいのだが何しろこの人のファンになってしまう。料理がうまい店はけっこうあるが、接客が素晴らしいと記憶にまで残る店はあまり

          やっぱり、人です。

          正論を声高にいう人

           先日千代田線に乗った時のこと、夕方の帰宅時間でそこそこ満員の車内。大手町からメガネをかけた賢そうな中学生くらいの女の子と、そのお母さんらしき二人が乗り込んで来た。「車内ではマスクを着用の上、会話はお控えください。」というアナウンスが流れている。扉がしまり電車が発車すると女の子が 「混んでるじゃん!なんで半蔵門線に乗らなかったの?私いつもこの時間半蔵門線に乗ってるけどもっと空いてるよ。」 「なんで半蔵門線に乗らなかったの!」 と、ずっとお母さんらしき人に詰め寄っている。

          正論を声高にいう人

          想像現実 04 陽炎の坂

           残業を終わらせ、コンビニで弁当とお茶を買って家に戻ってきた。外で食事をする時間が勿体無い。食事もそこそこにYWYを装着する。先月のボーナスでやっと購入した。想像力なんてものは持ち合わせてないのは自分が一番よくわかっている。会社の想像力テストでも評価はCだった。それでも記憶はあるし思い出もある。俺はこれで母さんに会う。母親は俺が子供の頃死んだ。その後親父が再婚したので、気を使った祖母が母親の写真やらを全て処分してしまった。遺影も残さないのは異常だと思うが、なんらかの事情があっ

          想像現実 04 陽炎の坂

          想像現実 03 月に手を伸ばせ

           鏡の前で踊るダンサーたちに右手でサインを送ってスタジオを後にした。蒸せた空間から解放されて、ふっと息をする。ちくしょう梅雨入りはまだ先のはずだが、弱い雨が降っている。白いスニーカー履いて来て失敗だ。ニューヨーカーを気取って傘は持たない主義だ。地下鉄の駅までダッシュする。  見ているスポーツやエンターテインメントに自分なりに装飾をして加工する。それが最近の流行だ。IR当初から見ているものに勝手にイメージを重ね合わせて楽しんでいる奴らは沢山いた、例えば、ボクシングの試合を見なが

          想像現実 03 月に手を伸ばせ

          想像現実 02 想像力診断士

           ふーっと息を吐いて、小島由紀はYWYをデスクに置いた。由紀の仕事は想像力診断士、ロールシャッハテストや画像診断のようなものをYWYを用いて被験者が思い描いたイメージから性格その他を診断する仕事。以前は画像診断士をしていた。YWYの普及に伴い、ダイレクトに思い描くものを確認できるということで今企業が注目しはじめている。被験者の正直に思い描くイメージがその場で観れるため診断の正確性評価が高い。けれど今日の仕事は本当にキツかった、企業の依頼で採用候補者の想像力診断を請け負っている

          想像現実 02 想像力診断士

          想像現実 01 青春の塔

           本を読むのが好きだ。  放課後の教室。窓際の後ろから4番目の席。校庭では運動部の連中が声を張り上げ練習してる。クラスの席ってのはだいたい窓際とその横の後ろから二列までがクラスの中心で、真ん中や廊下側に成績のいい委員会系の生徒。窓際の前の方は空気に近い存在の席ってことが多い。僕の名前は大木一馬。14歳の中学生。運動はあまり得意じゃない、友達は多くはないけどいつもひとりぼっちってわけでもない。まあ普通の10代の学生ってことかな、自分的にはね。世界は今ビジュアルの時代だ。でも人の

          想像現実 01 青春の塔