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恐怖心の積み重ねで起きること

「恐怖心の積み重ね」が過去の恐怖が現在に影響する

ある出来事に対して、ただ怒りだけでなく、強い「恐怖心」や「不安感」を感じてしまうこともありますよね。この恐怖の感情もまた、過去の体験が関係していることが多いです。たとえば、「毒親」と呼ばれるような過干渉や否定的な態度を取る親から、「心配している」と言われただけで、自分がパニックになってしまうことがあります。

こうした反応は、過去に同じような言葉や行動を受け、そのたびに「怖い」「逃げられない」と感じてきた経験が積み重なっているためです。もし50回以上もそうした出来事があれば、今目の前の「1回分」の出来事に対して、過去の50回分の恐怖心が一気に溢れ出てしまい、「51回分」の恐怖を感じてしまうのも無理はありません。では、なぜこうした恐怖心が過去から今に繰り返し引き継がれてしまうのでしょうか?

恐怖の記憶と「トラウマ反応」

こうした過剰な恐怖や不安は、心理学では「トラウマ反応」の一つと考えられています。トラウマとは、強いストレスや恐怖を伴う出来事によって心に深い傷が残り、その記憶が無意識に私たちの行動や感情に影響を与え続ける状態のことです。

親が「心配している」と言っただけで怖くなるという反応も、過去に繰り返し体験した「親に支配される感覚」や「逃げ場のない状況」などがトラウマとなり、そのたびに強い恐怖を感じていた可能性があります。親の言葉や行動が自分にとって「危険信号」のように感じられ、過去の記憶と結びついて、無意識に体が警戒し、過剰な恐怖反応を起こしてしまうのです。

「恐怖心の再生」と「過剰反応」

こうした恐怖の積み重ねがあると、現在の出来事に対して必要以上に反応してしまうことが起こります。たとえば、「心配している」と言われただけで、「また同じことが起きるのではないか」「自分は支配される」「何かひどいことをされるかもしれない」といった不安が一気に押し寄せ、パニック状態になってしまうのです。

これは、脳が過去の経験から「これと似た状況は危険だ」という「学習」をしているからです。過去に身を守るために必要だった警戒心が、現在でも自動的に作動してしまい、過剰な恐怖心を感じるようになるわけです。こうした反応は、特に子どもの頃に強いストレスを受けていた場合に起こりやすく、その記憶が深く刻まれていると、今もその記憶が鮮明に蘇ってしまいます。

対応策――恐怖心と向き合い、少しずつ解放する

このように「恐怖心の積み重ね」によって強い反応が出る場合、対処法として以下のようなアプローチが役立ちます。

① 今の恐怖が「過去の恐怖」とつながっていることを理解する

まず、今感じている恐怖が「目の前の出来事だけでなく、過去の出来事にも由来している」ことを意識しましょう。「これは今だけの反応ではなく、過去に感じてきた恐怖も含まれているのかもしれない」と気づくだけでも、自分の反応を客観的に見つめることができます。自分の恐怖心を冷静に見つめることで、少しずつ今の状況と過去の感情を切り離しやすくなります。

② 安全な空間で感情を振り返り、少しずつ「再体験」する

過去の恐怖や不安を思い出すことはとても勇気がいることですが、安全な空間で少しずつその記憶に向き合うことも重要です。信頼できるカウンセラーやセラピストと一緒に、過去の体験を振り返り、その時に感じていた恐怖や不安を言葉にして表現することで、記憶が少しずつ「安全なもの」に変わっていくことがあります。このプロセスを「脱感作」と言い、トラウマを和らげるための方法の一つです。

③ 恐怖に対する「セルフケア」を行う

恐怖やパニックに襲われたとき、自分を落ち着かせる方法をいくつか身につけておくと良いでしょう。深呼吸やリラクゼーション、マインドフルネス(今ここに意識を集中させること)などが効果的です。怖いと感じたら「今は安全な場所にいる」「過去の出来事ではない」と自分に言い聞かせ、少しずつリラックスする練習をしてみてください。

④ 恐怖の感情を「分けて理解する」

恐怖を感じたとき、それが「今の出来事」に対するものなのか、「過去の記憶」が引き起こしているものなのかを分けて考えてみましょう。「この恐怖は、今の相手に対してのものなのか?それとも、過去の体験とつながっているのか?」と自分に問いかけることで、少しずつ恐怖の感情を整理できるようになります。

ーまとめー

「恐怖心の積み重ね」は、怒りの積み重ねと同様に、過去の経験が現在に影響を及ぼす現象です。特に幼少期や長期間にわたって不安や恐怖を感じてきた場合、それが無意識に現在の反応に現れ、パニックや過剰な恐怖を引き起こすことがあります。

しかし、その恐怖は決して「異常」なものではなく、過去に自分が身を守るために感じてきた自然な感情なのです。少しずつその感情を理解し、過去の体験を整理することで、今の出来事に冷静に対応できるようになります。恐怖心と向き合うことは大変ですが、ゆっくりと時間をかけて、自分の心を安心できる場所に戻していきましょう。

※「シズ ジャスタァ ゥレギュラー ウムン」
時々呟いてみよう!
呪いの解けるおまじない!
(“She’s just a regular woman.”)
親もただのおばさん!

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