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『若冲』 澤田瞳子 2015

歴史小説は伝記ではなく、あくまで小説である。

小説が子どもの頃より好きな私は、小説からその人物や歴史、時代背景へと興味を広げてくれる歴史小説が好きだ。

澤田瞳子さんの小説『若冲』は、歴史事実と違う大胆な設定が若冲という人物と若冲の絵を創り上げている。

2016年5月東京都美術館で開催された「生誕300年記念 若冲展」では、最大で320分待ちの長蛇の列ができた大人気の若冲。
(会期が1ヶ月と短かったなどの要因もあるようですが)


なぜ、江戸時代当時も今も、若冲に魅了されるのだろうか。
色彩の鮮やかさ、線の細かさ、構成の奇抜さなど他の絵師にはみられない独自の表現のためだろうか。
その表現は、どこからきているのだろうか。
それについて独自の展開をしているのが、この小説である。


私は、歴史に疎く、(高校で日本史も世界史も選択していません。そういう人多いんじゃないかな。また、社会と国語などが総合的に学べる科目があったらな。)
時代背景・流れや同時代に活躍した人たちなど頭にない。

歴史小説を読むことで、頭の中で徐々に相関図が作られていく。
今回は、若冲と同時代に京都で活躍した絵師たち、丸山応挙(私の中では可愛い犬の絵)、十便十宜図の池大雅と与謝蕪村、そして谷文晃らが登場する。


私が驚いたのは、先週読んだ小説にも、今週読んだこの本にも与謝蕪村が登場したことだ。
先週読んだのは、夏目漱石が主人公の小説、伊集院静著『ミチクサ先生』である。
『ミチクサ先生』には、俳人としての与謝蕪村が登場する。
私も俳句を愉しむ端くれとして与謝蕪村は絵師ではなく俳人である。
小学校の教科書で出会ってから、「菜の花や月は東に日は西に」という俳句が好きである。そして、「春の海ひねもすのたりのたりかな」のような句を詠んでみたいと思っている。

期せずして、今度は絵師としての与謝蕪村に出会うとは。

『ミチクサ先生』では、正岡子規に高く評価される俳人与謝蕪村。
『若冲』では、出生に引きづられる絵師であり、遅くに父親となった与謝蕪村。

正直がっかりした面があるが、与謝蕪村の別の面を知った(垣間見ただけであるし、あくまで小説である)ことで、俳句の鑑賞も変わってくるかもしれないよい機会となった。


話は、若冲から与謝蕪村へと移ったが、私は江戸時代の絵師たちが好きだ。



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