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月夜にイエスが現れた
真中には毎晩、寝る前に外に出て、夜空を眺める習慣がある。若いころから続けている習慣で、たとえ原稿書きに没頭し、深夜三時を回っても、零時前にベッドに入るときでも、必ず外に出るのだ。
すぐ先の雑木林には、高さ二十メートルほどの楠の木が立っている。あの奇跡が起きるしばらく前から、先端の枝葉が奇妙な形を見せていることに、彼は気づいていた。
ある夜、人影が己の片手を前方に差し伸ばし始めた。敬虔な信者た
最期の瞬間は誰も苦しんでいません
ひとは弱く
ひとはもろい
だからベストを尽くしなさい
心に悔いを残さないために
あなたは必ず救われるでしょう
今を大切にしなさい
幸せに生きることです
次のためにも
心を大切にしてください
あなたの健康の鍵は
心にあるからです
わたしは
あなたがたの幸せのために
その願いをかなえようとしています
わたしは何も求めません
ただあなたは
本当の心で願えば
よいのです
信じなさい
わたしが欲しい
山手資料館の聖母子像画
彼女の真の容姿だけでも知りたい。真中は名画といわれる絵画から、そのヒントを得ようと考え、数十点もの作品を集めてみた。どれもピンとこない。大半が幼いキリストと共に描かれている。名画の中の彼女は、どれもこれも真中のイメージとは違っていた。なかには、聖母の崇高さや優美さすらなく、不気味でグロテスクなものさえあった。
真実の顔をと言ってみたところで、マリアは二千年も前の女性である。当時の状況を考えると
横浜外国人墓地に建つ白亜のマリア像
次男の死にショックを受け、もう二度と子供は作らないと誓い、不妊手術を受けた。このときの彼には、ほかにつぐなうべき方法を思いつかなかったのだ。
新たに親となる資格など、自分にはない。克彦の心に突き刺さった悔いの痛みは、その後も四半世紀にわたり、決して晴れることはなかった。
やがて長男に初孫のカツヤが生まれた。その赤ん坊の顔を見たとき、あの子の生まれ変わりだと、克彦は直感した。夢にまで見たあの子
失った時は二度と戻らない
いとおしさの哀しみを
感じないひとに
真の幸せのないことを
伝えなさい
神はあなたがたを創ったが
そのあとは
まったく関わっていません
あたかも
かかわっているかのように説くのは
神を欺く行いです
そこが天国かどうかは
この世でのあなたの人生の再現だと
いうことです
神はあなたがたを造りはしたが
そのあとは
まったく関与していません
死は絶対であり
神の与えたあなたがたの運命の中で
最も公