「あなたの復刊してほしい創元推理文庫」というとても嬉しいアンケート企画。
締切は過ぎてしまいまいしたが。
前回に引き続き、アンケートのために試行錯誤した未読感想文。
後編です。
相変わらず古い海外小説ばかりなのですが、よかったらお付き合いください。
すみません、多いです。
1 ジョン・ディクスン・カーとカーター・ディクスンの
まずは著者紹介を東京創元社公式サイトから。
ジョン・ディクスン・カーはカーター・ディクスンという名義でも作品を発表していて、それぞれギディオン・フェル博士とヘンリ・メリヴェール卿という名探偵が登場します。
上述の『帽子収集狂事件』とか『皇帝のかぎ煙草入れ』とか『ユダの窓』とか。
手に入るものは片端からほとんど読みました。
どれも面白かったです。
ただ、そもそも多作で、在庫切れも多くて。
できれば出版年の早いものから順番に読みたいので、今現在、在庫切れの作品で初期のものから復刊していただけるとありがたいです。
とりあえずまだ私が手に入れていない作品の書名と公式サイトに書かれたあらすじを並べてしまいますね。
まずはジョン・ディクスン・カー名義のものから。
① ギディオン・フェル博士シリーズの
「アラビアンナイトの殺人」 宇野利泰訳
「魔女の隠れ家」 高見浩訳
「猫と鼠の殺人 」 厚木淳訳
「死時計 」 吉田誠 訳
「仮面劇場の殺人 」 田口俊樹訳
② そのほかの長編の
こちらはフェル博士シリーズではなく、歴史推理小説のようですね。
「死の館の謎 」 宇野利泰訳
「血に飢えた悪鬼」 宇野利泰訳
「亡霊たちの真昼」 池央耿訳
この中では特に「血に飢えた悪鬼」が気になります。
ヴィクトリア朝のイギリスを舞台にした歴史ミステリらしいのですが。
主人公の青年キット・ファレルは後に述べます『青銅ランプの呪』(カーター・ディクスン名義のヘンリー・メリヴェール卿シリーズの第16長編)にも出てくるらしいです。
そちらとどう繋がっているのか。
それと何よりも。
物語の探偵役がなんと『月長石』の作者ウィルキー・コリンズだとか。
え? どういうこと?
『月長石』は私が推理小説を読む習慣を持つ前から読んだことのある海外ミステリーで。
推理小説としては古典中の古典。
カーからコリンズへのリスペクト?
気になります。
③ 短編全集の
「カー短編全集3パリから来た紳士 」 宇野利泰訳
「カー短編全集4幽霊射手」 宇野利泰 訳
「カー短編全集5黒い塔の恐怖」 宇野利泰/永井淳 訳
「カー短編全集6ヴァンパイアの塔 」 大村美根子/高見浩/深町眞理子訳
短編全集の3から6が在庫切れなのですが。
特に3を。
最高傑作という表題作を読んでみたいなと。
続いてカーター・ディクスン名義のものから。
こちらもたくさんあるので取り合えず書名を並べてしまいます。
④ヘンリ・メリヴェール卿シリーズの
「赤後家の殺人」 宇野利泰訳
「爬虫類館の殺人 」 中村能三訳
「孔雀の羽根」 厚木淳訳
「仮面荘の怪事件」 厚木淳訳
「青銅ランプの呪 」 後藤安彦訳
「一角獣の殺人 」 田中潤司 訳
先ほどとの関連で「青銅ランプの呪」は読みたいです。
カーとクイーンが一晩語り明かした結論から書かれた作品だというのも気になりますし。
それと「赤後家の殺人」。
「カーの作品中でもベストテン級の名作」と言われているようなので。
ジョン・ディクスン・カー(カーター・ディクスン)の作品は。
ここまでの題名やあらすじからもわかると思いますが。
どれもなんというかおどろおどろしい感じがしますよね。
怪奇趣味というか。
そういうところがウリになってるみたいですが。
でも読後感は結構、かなり明るいです。
フェル博士やH・M卿のキャラクターによるところが大きいかも。
この二人。面白くて好きです。
とりあえず全部復刊して欲しいのですが、流石に多いと思ったので、アンケートにはカーとディクスンで二冊ずつ。
ディクスン・カーは「アラビアンナイトの殺人」と『血に飢えた悪鬼』。
カーター・ディクスンは「赤後家の殺人」と「青銅ランプの呪 」にしました。
それでも多いかも。
でも少しずつでいいのでいずれは全部復刊して欲しいです。
2 S・S・ヴァン・ダインの
名探偵ファイロ・ヴァンスも好きです。
著者は美術批評家だったそうで、名探偵も美術とか芸術一般に造詣が深くて、物語の中で彼の語る膨大な蘊蓄が楽しめます。
私が初めて読んだのは「ベンスン殺人事件」でした。
巨匠デビュー作。
そこから順番に読んでいるのですが、『グリーン家殺人事件』以降が在庫無しになってます。
例によっていくつかは古本屋さんとか図書館を探して読みましたが、まだ手に入らないないものもあって。
復刊希望です。
「ケンネル殺人事件」 井上勇 訳
「カシノ殺人事件」 井上勇 訳
「誘拐殺人事件」 井上勇訳
「ウインター殺人事件」 井上勇 訳
こちらも全部は多いかなと思ってアンケートには二冊だけ。
「ケンネル殺人事件」と「カシノ殺人事件」を。
やっぱり出版順に読みたいので。
で。やはりいずれは全部復刊希望です。
3 ドロシー・L・セイヤーズとF・W・クロフツの
ドロシー・L・セイヤーズは。
セイヤーズは。
「ナインテイラーズ」が私は特別にものすごく好きです。
大晦日。
貴族探偵ピーター・ウィムジイ卿がたまたま訪れた古い教会のある村。
その日は教会の鐘を夜通し鳴らす特別な日でもありました。
一人体調を崩した者がいるというので急遽ウィムジイ卿が手伝うことに。
というお話なのですが。
独特の奏法で奏でられる教会の鐘がまず面白いです。私もこのお話を読むまで知らなかったのですが「転座鳴鐘術」という日本ではあまり聞いたことのない奏法だそうです。
ウィムジィ卿が訪れた日は、その中でも特別長くて大変な曲を演奏する日。
成功させようと練習を重ねてきた牧師さんと教区の人達がすごく良くて。
小さいけれど古い歴史ある村の様子、そこに住む人々、特に牧師さん夫婦。
何もかもが素晴らしく。
でも事件自体はかなり地味です。
そういうところも私はかなり好きですが。
これ。本当に好きで何度も何度も繰り返し読みました。
謎解きもそうですが、物語として素晴らしいです。
いつか再読感想文を書きたいです。
一方、クロフツは。
フレンチ警部が有名で警察小説の大家、という感じでしょうか。
私は代表作『樽』を最初に読んだのですが、読み始めたら止まらないという経験をしました。
(冒頭から数十ページ。本当にページを捲る手が止まりませんでした。)
二人の作品はそれぞれ、続々復刻していますね。
リクエストしなくても大丈夫かなと思いつつ。
二人の連作があるというのでそれを読んでみたいなと。
「ホワイトストーンズ荘の怪事件」
ドロシー・L・セイヤーズ/F・W・クロフツ 他 宇野利泰 訳(初版1985年4月5日)
以上、復刊希望でした。
ここでもう一つ。
東京創元社にお願いがあります。
厚かましいお願いかもしれませんが。
『薔薇の名前』の文庫化を。
ハードカバーは何年も前に(確か発売したばかりの頃?)購入し拝読いたしましたが。
再読したいので。
完全版が復刊予定と聞いたのですが。
やはり文庫が良いです。
どこでも読めるし。
何度も読みたいので。
そしてできれば活字を大きくしてほしいです。
ぜひ!
さて、次回は。
アガサ・クリスティーの再読感想文を始めようと思います。
海外推理小説を置いてくださっている本屋さんなら大抵一角を占めるあの真っ赤な背表紙です。
クリスティーも多作ですし、再読感想文なのでちょっと長くなりそうなので、数回に分けて少しずつお話ししたいと思っています。
毎回どうも長くなりがちなのでなるべく少しずつにしたいなと。
次回
アガサ・クリスティー再読感想文
その1「推理小説に詳しくはないけれど。」
2025年2月11日公開予定です。
散々推理小説の復刊のお話をしてきましたが。
実は推理小説。そんなに詳しくありません。
元々推理小説を読む習慣もなく、読んでもクリスティーとその周辺の、古い海外推理小説の文庫ばかり。
でもクリスティーは面白い。
私はどうしてこんなに再読してしまうのだろう。
それはきっと。
そんなお話をしたいと思っています。
#海外文学のススメ