![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/163796859/rectangle_large_type_2_1f08feaf77c8f91c009fd647aa356e66.jpg?width=1200)
入り込み支援の正解って何だろうか?【33】普通の高校教師が、外国につながりのある子どもに日本語を教えるようになった
日本語教師を始めたい方、
学校教員を目指している方や始めたばかりの方、
お子さんを学校に通わせている保護者さん、
に楽しく読んでもらえれば幸いです!
🍀🌼🌱🌼💐🌼💐🌼🌱🌼🍀
Dさんに入り込みの支援、
こくご や、さんすう
のテストに当てられる事が多いが、
今回は諸事情より ずこう だった。
以前、リースを作る授業(屋外)に参加させてもらった事もあったが、
勉強以外の時間は、支援側としても楽しい。
Dさんは、頭いい子ども特有のすばしっこさを持つ。
以前のリース作りの際、つくしが他の生徒の手伝いなどをしていると、その隙に先の先の事をこなしてしまっている(例えばプランターの土を捨てて来る、など)。
「土捨てるのは、これとこれが終わってからだよ」
と注意する間も無く、だ。土は捨てられて、既にプランターは空になっている、という。
「Dさん、こっち持って、引っ張って!」
自分がプランター側を持ち、Dさんが絡まったつるを引っ張って、糸口を見つける、というのを行う。教室内では見られない伸びやかな笑顔が見られる。ふつうに楽しかった。
今回は空き箱を繋げて作品制作、だった。
種々雑多な空き箱、ティッシュ箱やお菓子箱やトイレットペーパー芯、ペットボトル蓋など、各自が自宅から持参した材料で作る。
「Dさんは何を作るの?」
「まだ きまてない」
決まらない と 決まっていない の間だが、日本語母語話者が聞いて理解できるレベルなので許容範囲。
「まだ〜ない」と副詞が使えているのは、
すごい👏
事前に、Dはこういうの少し苦手みたいなので手伝い多めでも大丈夫です、と担任先生から伺っていたので、
「この缶とこの箱で自動車、つくろうか」
「いいね」
ささっとタイヤに見立てた缶をセロテープでくっつけて、自動車風になった。
「いいね」
缶タイヤを下にして動かす。Dさん、気に入ってくれたようだ。
更にその上に色紙を貼ったり、切り抜いた丸型の紙をオレンジ色にペンで塗ってライトにしたりしていた。
周りの生徒の作品も見ながら制作を進めたが、改めて、子どもの想像力は無限大だ、
と思う。おとなしそうな女子生徒さんが、
めちゃくちゃデカいロボットを作ったり、
他のおとなしげ生徒さんもまた、ラップ芯を足(4本)と首(1本)にした大柄なキリンを作ったり。で、Dさんもそうだが、手の運びに迷いが無い。
皆、さささっと、組み立てる。大人が見ると、それとそれを繋げるの、無理なのではないか?と思うような接合も、大胆(無謀とも言う)なテープ使いでやってのける。
勢い余り接着ボンドを教室の床にぶちまけている男子生徒がいた。担任先生はとりあえずそのまま作業させて、最後の後片付け、他の生徒がゴミ拾いなどしている際に、
「◯!来なさい!」
ウェッティで拭かせていた。この技術もまた秀逸だと自分は思う。
やる時は思いっきり自由にやらせる。叱る時は叱る。
作業途中で叱責して床を拭かせたのでは、子ども達の創造性に水をさしてしまいかねないから。
こういった「瞬間の判断」が求められる職種ではあるよなぁ、と思う。仕事とは、全てがそうなのかもしれないが。
🍀🌼🌱🌼💐🌼💐🌼🌱 🌼🍀
隣の席の生徒さんに、
「Cもっと真面目にやってよ。つくし先生が来た時はいつもよりひどい」
的な事を言われる(生徒たちは総じて優しい性格なのでここまでの単語は用いていないが)。担任先生へ報告し、「もっとこうしてほしい、という点などあれば、教えてください」と加えたところ、
「いいんです、好きな先生だから甘えてそういう態度しちゃうんです。このままでいいです。他の生徒への指導もしてくださって、本当に助かっています。ありがとうございます」
かえってお礼を言われる。
こちらの小学校は、職員以外の大人の出入りがすごく多い。そこは学校によってスタンスが異なる。(外部の人の出入りを良く思わない職員は一定数いる、というのが学校体制上ふつうのよう)
教育学部在籍の大学生が、特に構える事なく教室に入ってきてTT(チームティーチング)をやっていたりする。ので、
そのノリで自分も、Dさんが離席している(作業している)など手持ち無沙汰のタイミングで、他の生徒に声掛けする。それは、元々は、Dとクラスメイトとの壁が出来ないように
と始めた事だったが、そういうのもまた、担任先生の邪魔になっていなかったとわかり、ほっとする。
が、入り込み指導、の正解って何だろうか?
コーディネーターさんに質問したら、以下のご回答を頂いた。
「日本語非常勤講師(教員)は、個別指導計画に基づき取り出し中心に日本語指導したり、教科の補習をしたりしています。対象の児童も複数ですから、入り込みは十分に出来ないことが多いです。
そんな中で、教室内で授業に参加できるような支援をしていただき、子どもが自信を持って教室で学習できるようになることを、入り込みに期待しています。」※ここで言う教員とは先輩先生を指す
文脈からご理解頂けるとは思うが、改めまして「入り込み指導」とは、
「在籍学級の授業中に日本語指導支援者などが入って、対象の児童生徒を支援する」事を指す。
Dさんへの入り込み支援を始めて三ヶ月が経つ。未だ模索中ではあるがとにかく、担任先生がやりやすいように、を努めてきた。
次なる課題、Dさんが「自信をもって教室で学習できる」ように、トライしてみよう!
🌿余談🌿
こちらのクラスの生徒さんと話していて気付く事がある。Dさんもそうなのだが、
前歯が無い。口を開けて笑ったりする時に、見える。
歯の生え変わりの年齢で、いわゆる子どもの歯(乳歯)が抜けて、大人の歯(永久歯)が生えてくるのを待っている期間。
個別に見る事はあっても、前歯が無い人を集団で見る機会はほぼなかったので、最初、正直、奇異な感じ(ごめんなさい🙇)がしたが、段々と見慣れてきた。
人間の、心身共に激動の時期に立ち会えることに、えも言われぬ感動の念を抱く。
出逢いに感謝し、今の自分にできる最善を尽くしていこう!と改めて思わさせられた。
※個人情報保護の観点から若干のフィクションを加えております。ご理解頂ければ幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございました❤️
ここまで読んでくださった皆様の幸せを
心よりお祈り申し上げます❤️❤️❤️