【詩】透明の詩
みんなと同じ青い空の下にいるはずなのに、わたしは机を持ち歩いているみたいにただただ考え続けることしかできなくて、自らの体内から毒素を取り除くことのできないわたしにひとつできることはと言えば、単に跳ねる水飛沫を見ていることだけでした。
制服が周りの誰かよりも白く見えないのはどうしてなんだろう。わたしとわたし以外で空間を隔てているような錯覚があるのはどうしてなんだろう。きっとわたしは言葉を礎に地上に立っている。大勢の虫が這っていくみたいに、言葉は常に体内を渦巻いていて、だからいっそのこと、言葉なんてすべてなくなってしまって、ただただ透き通るあなただけを見れたらよかったのにね。それなら、わたしには実体なんか必要なくて、わたし自身も透明なんだって思いこむことができるのに。青春が自分を透明だと思いこむことだとするならば、わたしにとってそれは、どうしようもなく遠い場所にあるものでした。
ラムネ瓶越しにあなたを見ていた。わたしは、わたしの捻じ曲がった思想さえも、それはきみなりの真っすぐだろうとあなたに言って欲しかったよ。けれども、もしいつか、あなたがそう言ってくれる日が来たのなら、そのときあなたはきっと、既に何かしらの色で染まってしまっているのでしょう。
見える景色が、綺麗なものが、どこまでも曇らないでほしいと願った。
透明になれなかったわたしだから、ああ、あなただけはずっとあなたの青春のなかにいて
ひとり希う透明の詩