【詩】無神論者

人間が生きる姿は美しくて、尊いのだとか、そんな神様みたいなこと言わないで。

ぼくは、きみたちのことを真っ正面から否定する。ぼくの言葉できみたちのことを串刺しにしたいと思っている。きみたちからどうしようもなく血が溢れて、それが致命傷になればいいのにと思っている。なのに、なのに、どうしてこんなぼくにさえも優しい言葉をかけてくるのですか?

きみたちが歴史の教科書を読むように人を語るあいだ、きみたちはどうしようもなく神様で、誰にでも優しくなれるのだとぼくは知っている。だから、ぼくは誰も信じない。神様になっているあいだ、きみたちは人間じゃないから。ぼくとは違った存在だから。本当は、自分自身が生きている自覚なんて、どこにも持ち合わせていないのでしょう?

神様が滅びることなんて有り得ないけれど、それでもぼくは、ありったけの言葉を並べ立てて、きみたちが傷つくことを望んでいる。きみたちが死んでしまうことを望んでいる。

美しい、美しくないとか、美術館を回ってるときみたいに言うなよ。

ああ、この世界はどうしようもなく神様ばかりだけれど、実のところ、神様なんてどこにもいないのだと、ぼくはずっと信じていたかった。



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