【詩】ふたり

この世界がきみときみの好きなひとのふたりだけだったらいいのにね。きみはそう思いませんか?ぼくは思います。ぼくはきみの世界のなかにいなくてもよくて、きみもきみの好きなひとだけを愛すことができるから。そうなればきっと、きみには「愛の形」なんて言葉も要らなくなる。なにも口にすることなくきみは、きみの好きなひとに好きだと伝えることができる。いくらきみが色んな愛を定義して、ぼくに好きだと言っても、ぼくにはそれが偽物だとしか思えないから。言葉なんて、ふたりじゃない世界に生まれた、言い訳のための手段だ。
ぼくはきみに愛されなかったから、きみのいる世界から消えたいと思う。それは至って自然なことのはずなのに、世界は実際ただひとつしかなくて、簡単に消えることはできなくて、それが拷問だと言っても誰も分かってくれないから。だから、ぼくはきみ以外の誰か、ぼくを愛してくれるひとを探すしかなかった。
そうしてぼくは、今日も言い訳で自分を飾っている。

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