【詩】偽善者
今日も太陽と一緒に倫理がきらきら輝いて、暗視ゴーグルをつけているぼくたちは、それを見て、一瞬にして目が眩んでしまうんです。ねえ、教えて。きみにはいったい、いくつ目があるつもりなの?ぼくは思うんです。きみが思うほど、きみには真面に世界が見えていないんじゃないかって。
優しいふりをしたきみは、正義感が強くて、悪いことが許せなくて、だから主観が星になることも気にせず許すことが出来るんだね。だからぼくは、多様性を主張するきみが、いつか百個くらい目をつけて生まれ変わることを願っています。でもそのときにはきっと、きみは得体のしれない化け物だって言われて嫌われてるんだろうね。きみと同じように優しいふりをした人たちから。
ねえ、知ってるんでしょ。客観なんて幻想なんだって。太陽が雲に隠れて、積乱雲が立ち込めて雨が降ったとき、わけもわからず気分が晴れてくるぼくには、どうしようもないくらいぼくの世界しか見えていないんです。
まあ仲良くしましょう。別々の世界を生きながら。
ぼくもきみも等しくいい人なんかじゃない。