社会不適合者F 心が死に続ける日々よ2 我慢は時には体の毒となる
前回
https://note.com/happy_deer73/n/n3b350e078ec1
2021年9月末。
「F君ちょっといいか。」
月末締めの忙しい時期、Fは恒例の教育と言う名のロジハラを社長から受けていた。
ここ数日の社長はFになにかしらの粗捜しをし、それで教育と言う名のロジハラをし、Fに攻撃を仕掛けているのであった。(まあ昔からだったが)
まあ、ただの出来ることへの粗探し、八つ当たりだろう。
Fは単純なおっさんである。
単純だから、課の人員全員でどこまで出来て、どうすれば上手く効率良く作業出来るか思考し全力で突っ走る。
自分の課を上手く回すスキルは、タワーディフェンスゲームの様に効率良く回すことである。
自分の特技と経験を応用する。
これがFのスキルであった。
生きる上で習った物、経験した物は決して無駄じゃんか(じゃない)。
上んもんが一番働かな、誰だいもついてこん(来ない)。
遠い昔の師匠の言葉であった。
結局その言い付けを守り動いて働き、親会社の上層部から社長より気に入られ、この会社はFがいれば大丈夫と言うお墨付きまで頂いてしまったのだ。
だがそれがいけなかった。
出る杭は打たれる。
結局比べられ、お墨付きまでいただいたのは社長の顔を潰したと取られたのだろう。
そこから粗捜しとロジハラが加速した。
今回のロジハラ呼び出しの件に関しては親会社の方とは話をし、メール内容も打ち合わせた上での合意のメールであった。
そんなメールだが皆の前で怒鳴り付ける
「こんなことも解らないのか?。良くそんなこともわからないで仕事してましたね?。F君これは会社全体の恥になったんですよ。F君は会社の恥さらしですよ。」
忙しい時期の毎朝5時出勤の20時帰りを続けているFはこのロジハラに流石に限界を超えた。
4日前には「なんでこんな人員配置してるんだ、全体のこと考えろ」と別の課の人員配置まで気にしろみたいな社長の発言もあった。
私がこんなに頑張っても会社の恥と言う存在だったのか。
心底心の中から、社長に対してどこかにあった小さな敬意の念から軽蔑へとその時変わったのだ。
積もり積もった怒りの爆弾がここで爆発寸前になったのだ。
机の上から2番目には機械修理用のビッグな猿レンチが入っている。
Fは昨年の精神を病んでから、体を鍛えいつでも戦えるように準備してきた。
やる、やってやる。時は来た、ただそれだけだ。
机に向かって得物を掴み、全力でフルスイングするだけ。
簡単な作業だ。
だが机に向かう前にまた自分には理性と言うものが残っていたらしい。
セーフティとして発動した暴力反対装置。
もし行動を起こしていたら書き込むことすら不可。
ニュース沙汰であった。
まずは机を叩きFは言い放つ。
「おい!てめぇのやっていることはパワハラだぞ」
すかさず社長が言い放つ
「誰に向かっててめえって言っているんだ。これはパワハラではない。教育だ。そんなことくらいで何を言っているんだ?」
そ・ん・な・こ・と・だ・と!!
ここからは論争、言葉の暴力
「てめえに言ってんだ。パワハラ、ロジハラの定義くらい把握しとけ。あんたと一緒に働きたかねぇ。限界だ、心療内科行って来る。心の限界だ」
最初に言って置くべきだったが、普通時のFはこんな狂暴な話方ではない。
Fが言うのもなんだが、普通時の会話はですます口調のありがとうございます、申し訳ございません等接客業で培ったスキルで対応している。
怒りにて目覚めたFは粗暴さで社長に対応したのだった。手は怒りと殺意を押さえる為、プルプル震えている。
社長は切れながら
「ちょっと隣で落ち着いて話をするから来なさい」
とまた2ラウンド目を開催するつもりのようだ。
だが隣の会議室に行くと駄目だ。
殺意が押さえられない。
今の状況では病院にいかなければ自分が自分でなくなってしまう。
タイムカードを切り、部屋をあとにする。
社長が
「ちょっと待ちなさい」
とうるさかったので、全力で思いをぶち込む
「うるせぇ、てめえの声も聴きたくないし、話もしたくないし、喋りたくもないし、顔もみたくないわ。
あんまり調子乗るなよ。ひどいことになるぞ?」
今回だけではなく積もり積もった分もあり辞める気もあったので人手不足のこの状況で自分が辞めればひどいことになるのも目に見えている。
他の責任者にもネチネチと八つ当たりをやっているのを見て、そこも自分的には許せなかった。
それを見て何も出来ない自分の無力な所も許せなかった。
今回のFは全力で社長に反旗を翻してやろうと食って掛かったのであった。
社長もカチンときたのか
「誰に向かって調子のるなって…」
言いきる前に一括!!
「「てめえにだよ!!」」
その一括後の社長の面と言ったら笑える程きょとんとしているのであった。ざまぁみろと言う奴だ。
怒りを込めて扉を閉め車に乗り込む。
心の状態は最悪。頭の中で自分じゃない自分が勝手に騒いでいる感じだ。
通っている心療内科に行かなければ、自分が自分でなくなる。
だが、忘れていけない存在が、社長に吠えているのが聞こえる。
開けたくないドアを開け、彼女の回収をする作業に取りかからなくてはならなくなった。