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冬季ウツにもほどがある


やっぱり今年もやって来た。冬季ウツの大寒波だ。

私が住んでる日本海の町は、冬はじめじめと寒く、暗い。

先日は30センチほどの積雪があり、部屋にいても芯から冷えた。石油ストーブとヤカンでは追いつかない。昔湘南に住んでいたが、あの温暖な冬が懐かしい。いや、あれは冬ではなかった。ちょっと寒い春だ。湘南は常夏ではなく、常春の地だ。

湘南に初めて行った時の私はウツを患っていたが、ぐんぐん回復して行った。そりゃそうだ。常春なんだもん。ウツを悪化させるものが何もないのだ、気候的には。

ところがどうだ、日本海は。何もかもが暗い。朝、カーテンを開けると、視界に入るのはどんよりと曇ったグレーの空。太陽は日本海を照らさないのか。湘南ばかり照らして不公平じゃないか。と、気象庁にクレームを入れたくなるほど日本海の冬は暗い。

こんな気候でウツにならない方がおかしい。誰も言わないが、おそらく日本海の精神科や心療内科は繁盛してるに違いない。カウンセラーも薬剤師も大忙しだろう。ついでにマッサージやスーパー銭湯などリラックス系産業も。ウツを治すなら何だって!

しかし、しかしだ。想像を破り、日本海の人は元気なのである。寒いねー!と笑顔で喋り、あっはっはー!と笑っている。なんだか楽しそうにも見える。慣れた手つきでホイホイと雪かきをし、フツーに働き、フツーに生活をしている。カラ元気だろうか?どんな神経してるんだろう?暗い天気を見ただけでドドーン!と冬季ウツが再来するHSPな私には、彼らの精神構造が理解できない。よくこんな暗い天気の下で明るく生活できるね、と心から感心する。

・・と羨ましがっても仕方ないので、何とかウツを脱出しようと試みるが、やればやるほどウツの底にはまっていく。お笑いを見たり、映画を見たり、人と話したり・・といろいろやるたびに、どっと疲れる。こんな時は何もせず、睡眠導入剤でも飲んでさっさと寝る。とにかく寝て、寝て、もう一生分寝ました!と言うぐらい寝るに限る。

注意すべきは、アルコール。ウツの時は絶対にお酒を飲んではダメ。気分は良くなるが、どんどんお酒に依存するようになり、最後はアルコール依存症になるからだ。アルコール依存症を治すのがどんなに大変か、苦闘する知人の姿を見て来たので、苦しい時ほどお酒は飲むまいと決めている。お酒は気分が良い時に飲むべし。

とにかく寝る!寝てよけいなことを考えない!こんな時にろくな事を考えつかないからだ。冬季ウツは怖い。いっきに心を暗く、冬モードにしてしまう。ましてコロナの今、さらに心の冬モード化が進む。

さて、こんなウツウツな私のテンションを上げてくれた出来事があった。それはお仕事のギャラが入金されていたこと。そして、湘南に住む友達からお菓子の詰め合わせが届いたこと。チクショー、常春に住んで幸せなヤツめ!と思いながらも、お菓子と温かいココアと一緒にいただく。そうそう、寒いと温かい飲み物がおいしいんだよね。

それに、寒いと人の優しさが身に染みるのよ。コンビニのドアを前にいる人がちょっと開けてくれたり、雪道を転びそうになったら「大丈夫ですか?」って声をかけてくれたり。知らないおばあちゃんが「寒いね」って笑顔で話しかけてくれたり。そんなささやかなことが、この地では幸せに思える。だから日本海の人は暗い天気でも楽しそうなのかもしれない。

厳しいからこそわかる、ささやかな幸せ。きっとこの冬とコロナが教えてくれるはず。そう信じて、冬季ウツを乗り切ろう。

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