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サンポ文学 第十七話

ふいに暗がりから自転車に乗った3、4人の少年たち、と呼べそうな集団がやってきた。かちゃかちゃと音を立てて、一瞬で私の横を通り過ぎて行った。頭には学帽のようなものを被っていた。めずらしい、と思った。


振り向くともうその少年たちはいなかった。すぐにおかしいと思った。桜まつりの間は、あらゆる乗り物は禁止になっていて、その手のモノが通れないようになっている。

立ち止まってぼんやりと考える。自転車が走って行った方向から人の群れがばらばらとやってきて、私を追い越していく。人の気配がまた、辺りに溢れるようになった。


さっきの自転車の少年たちは、なんだったのだろう。この桜並木は百年以上の歴史があると聞く。もしかしたら・・・。


不思議な、と呼べる程度のものかは分からない。しかし少年たちの顔はぼやけていて、実体の無いように感じられた。


一瞬だけ、時空が重なった。
桜の樹が、覚えていることを見せてくれた。
ぼんぼりの灯りが、気迷いをした・・・。

単に目が疲れていただけ。

花まつりが再開したら、また夜のぼんぼり桜を観に行こうと思っている。また何か、不思議なことが起きないかと、期待している自分がいる。

(このストーリーは、十五話〜十七話が一つとなっています)


*このサンポ文学は、各一話が凡そ四百文字 (原稿用紙一枚分) となっています。エッセイ風創作サンポストーリーを基本としており、時にエッセイ寄り、時にストーリー寄りとなっております。                       *作者の文章能力が曖昧なため、垣根を低くした形だと書きやすいからです。このようなモノを不定期に書き継いでいってみようかなと、思っています。
*物語っている主人公の設定は四十代前半の風変わりな女子です。お付き合いいただけましたら幸いです。

本日もお読み下さり、ありがとうございます!

💙💛

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