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短歌の会 覇王樹|短歌会
2023年9月15日 19:33
山口 美加代 選四十七歳の娘はRXセブンにて走りぬけしか彼岸までをも井手 彩朕子八月の思い出は濃し母子四人敗戦引揚げ無蓋車の揺れ上村 理恵子激烈に舌にしびるるサイダーを立ちて飲み干す咲く鳳仙花臼井 良夫ラフマニノフピアノ協奏曲第2 昼の炎暑を耐へし夜の贅高田 香澄こうやって生まれてきたのか プールから小さき人を抱き上げる時渡邊 富紀子燃えあがれ陽に向かい咲く
2023年8月22日 09:47
井手 彩朕子 選歌一首なりたる朝の道々にドーナッ二つ買ってゆこう山口 美加代水の面は人の声にも揺れている秘密を抱える少女のように高田 好薄ごろもまとへる人の多くなり老の施設も夏は華やぐ広瀬 美智子わが胸の欠けたるピース無きままに花もて埋めん梅雨に咲く花三上 眞知子ぽつかりとぽかりと浮ける夕暮れの雲に置きゆく思ひの片山北 悦子祖父の家更地となれるを尋ね行き愛されたはず
2023年7月22日 10:17
青山 良子 選休戦が今すぐそこにあるやうな昼月が浮く菜の花畑臼井 良夫独り子でありし淋しさえんえんと九十歳を越えても続く広瀬 美智子ゆっくりと空に溶けゆく夕焼けを弱視の吾の心に刻む児玉 南海子ストーブを二台焚いても動かない私のからだに猫が添い寝す菊池 啓子小綬鶏のちょっと来いの声姿見せず呼ぶだけの鳥一度見てみたい北岡 礼子庭隅にひっそりと咲くオダマキの花は恥じらう風
2023年6月27日 23:01
佐田 公子 選クレマチスの咲くに遅速の序列あり白、紺、ピンク趣こぼす橋本 俊明真先に告げたき人のおらぬこと母の水替え兄の水替える児玉 南海子軒下に吊られ揺れいる白きシャツ風になりたき私のように高田 好何よりも普通なること一番とわが書きながら少しさみしき藤峰 タケ子いたらなき娘を嫁がせる思ひして投稿の歌ポストにためらふ谷脇 恵子ふりむけば誰もいない春の風とうとう一人に
2023年5月14日 09:39
渡辺 茂子 選ひとひらの雲のゆくえに我が心預けておりぬ梅の香のなか奥井 満由美彩の絹莢二莢さみどりの口に弾けてああ春憐毛呂 幸ゆっくりと桜の下を歩きたり待っているよと蕾にエール浦山 増二尾根からの水を含みし雪片が時間差つけて春を呼び込む藤田 直樹早春の梅のさ枝に蕾着く音符のごとく春を奏でる伊関 正太郎
2023年5月10日 23:16
橋本 俊明 選AIの機能搭載したようなピカピカオデコの美誠ちゃんが好き高橋美香子光さす天窓のある台所 菜を刻む音 母の 後姿高田 好パソコンのゲームにはパッパと反応す異次元めける孫の指先成田 ヱツ子年々に義理を欠くことの増しゆくと時世に合はす戸閉りもする渡辺 千歳道ならぬ道と知りつつ知ればこそむべわが園にかをる柏木石谷 流花寒き朝枝に刺したるみかん喰む鵯のせはしき陽
2023年5月13日 22:22
水谷 和枝 選友の弾くギターに合わせ歌いたり心を開き空に向かいて藤田 直樹蕭々として走りゆく雪原の風は帰りの道を知らない臼井 良夫カルテにて誕生日と知る看護師の祝ひの言葉にこころはなやぐ斎藤 叡子寒卵わりて小鉢にうつし見る囲いの中で終えし鶏才藤 榮子子にはこの親には親の思いあり飛行機雲の続く初空高橋 美香子原点を探すがごとくゆっくりと私はコーヒーいつもブラック田中
2023年5月13日 22:15
臼井 良夫 選わが影を見ながら歩く夕刻に存在の無き悲しみを知る藤田 直樹道の上より見ればわが家の瓦の屋根が輝り返しをり川口 六朗暮れなずむ稜線続く房総のローマと同じ色の夕焼け高橋 美香子どの人も眼は美しと思ひつつマスクの顔に対きて物言ふ広瀬 美智子放浪の人もやうやく老いづきて残るいのちをわが傍におく高田 香澄天空の薄き空気を思いつつまぶたに描くマチュピチュ遺跡建部
2023年5月13日 22:07
広瀬 美智子 選お墓には行けないけれどこの庭のさまざまな菊をすべてあなたに高田 香澄今年もまた着たら捨てよう繰り返し黒きセーターはクッションになる篠原 和子天空よりぶら下がるごと動かざるブランコに降る落ち葉しきりに山北 悦子おふくろと呼ばれる友はゆっくりとふり向く時におふくろの顔児玉 南海子運休の内陸線の駅舎あり玩具箱からこぼれたように永田 賢之助スメタナの祖国
2023年5月13日 21:58
高貝 次郎 選今日の君取り分け話が合うようで崩したる脚組みかえしたり財前 順士湯にひたるあなたの背は若いねと言葉に出して言へばよかつた高田 香澄十四号台風明けの庭に立ち「木守柿」とふ言葉にあそぶ井手 彩朕子尖塔のクルスは秋の光受け世のなべてもを清めむとする佐田 公子姉からの電話も消えて十五年空の青さを今日も見上げる臼井 良夫地蔵堂に群がる蟻の動きとはカオスに似たる秩