選歌 令和6年11月号
笛を琵琶を捨てて平家はほろびたりわが棄てるものどれ程のもの高田香澄
久々の友からの誘いブランコから飛び出すように出向くと答う高田好
濡れ縁の猫が食べるを見守りているかのような黒い蝶なり玉尾サツ子
エジプトゆ休暇の次女のこぼすこぼす老老介護のための帰国と橋本俊明
いつの間にか朝顔一輪咲いており 平和な朝のマゼンタの色山口美加代
補聴器をはづして聴かむ夕は心の襞に深くかなしも渡辺茂子
自己流の人生長く生きながら乾き過ぎたるシーツをたたむ臼井良夫
いいんだよ泣いて笑って怒っても夏の