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【詩】ああ そうか 僕は

今日も一日が終わる


ずっとずっと幼い頃は

カタチを変えては

空を流れる

雲を見ることが

僕は好きだった


今では空を一度も

見上げない日もあるのに


ずっとずっと幼い頃に

飼っていた猫に

いたずらしたら

爪で引っ掻かれて

僕は泣かされた


今では涙を流したり

笑うことさえしないのに


何が変わらずに

何が変わったのか


やがて一日が終わる


ああ

そうか

僕は


なにもかも

失うところだった




今日も一日が終わる


ずっとずっと幼い頃は

自転車にとび乗って

長い坂道を

あいつと走っていた

あいつは速かった


あれからどうしているのか

笑い声もおぼえているのに


ずっとずっと幼い頃に

授業で書いた絵は

上手く書けたねと

部屋に飾られた

僕はうれしかった


あれから大好きな色は

今もずっとあの色なんだ


何が変わらずに

何が変わったのか


やがて一日が終わる


ああ

そうか

僕は


なにもかも

失うところだった



ああ

そうか

僕は



ああ

そうか

僕は





☆☆ミニ作品解説とおしゃべり☆☆

この作品の主人公は繰り返す一日が終わってしまう瞬間に、かつての遠い日を思い出して大切な何かを取り戻そうとしています。ほんの些細な事で人生観が変わることってありますよね。今回はそんな心の映りを言葉にしてみました。



※この作品は2022年12月にstand.fmにて朗読しています。よろしければ
「声」でも聴いてみてくださいね。

松本アニー★ 続・詩の朗読ラジオ


©︎ 2021 松本アニー 

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